カヤック日記


2002年8月の出来事!

8月4日にツアーでイルカを観察に行った。この日は年に何回も無いベタ凪ぎでのんびりとイルカとの交流を楽しめた。

背びれを確認してからはパドリングをとめ浮かんで待っていると、イルカは興味を示しながら徐々に私たちに接近してきた。

私はいつもどおり背びれを1頭1頭確認しながら見ていたが、なんとある個体の背びれが大きく欠けてしまっていた。全体上部の3分の1くらいが無くなってしまっていた。
傷口は痛々しくまだ新しい傷だった。もしかしたら群に新しく加わった個体かもしれないと思ったがスノが確認出来なかったので、その背びれの欠けた個体を良く見るとスノ※と確認できた。

ほんの4日前に観察したときに背びれには小さな欠けがあっただけなのに、この数日でこんな大きな傷になった原因がなんなのか分からなかった。

まだきれいだった頃のスノ 99年2月13日撮影 スノは若い雌で98年に館山で群が確認された時、既に産まれて数ヶ月のコドモだった 鎌形の背びれが目印で体が大きくなってからも他の個体とはすぐに見分けがついた。 その後元気に育ち、弟が生まれてから母親のノッチ(フック)※から離れて泳ぐようになった。

母離れをした後、群れに4頭いる雄にちょっかいを出される事が多くなり体全体に歯でつけられた細かい傷が増えてしまい痛々しかった。 この頃から時々群を離れ1頭で泳いでいる姿が見られた。 雄の行動に嫌気がさしたのかもしれない。

最近は相変わらず傷は多いものの群にいる事が多くなり、仲間とうまくやっているのかなと思ったが今度は大きく背びれが欠けた。 ここまで大きな傷を雄が負わせる事があるのか分からない。 とにかく痛そうで見てられないが本人はいつもと変わらずカヤックを見に来てくれた。 なんとか元気で立派なオトナイルカになってほしいものである。



スノは洲崎(すのさき)で最初に確認されたので地名にちなんで名付けました。 ノッチは背びれにある欠けからnotch=刻み目という意味で名付けました。
ちなみに97年まで御蔵島で観察されていた頃は同じ理由でフックと名付けられていました。群唯一のオトナ雌です。
(資料提供:御蔵島バンドウイルカ研究会)

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