今月は海亀観察をしていて良かったと思えた月だった。 9月1日から毎晩、根本海岸と同じく様子を見に来ていたが、今日は23時過ぎに到着した。巣の方に歩いて行くと砂の表面に細かい凹凸があることに気が付いた。これは!と思い、巣を見る前に近くにあるドブを見た。やはり、子亀は街灯の明りに惑わされ海に帰れず道路に近いドブに何匹も落ちてしまっていた。ビニール袋を持ってきて一匹ずつ拾い上げる。急いでいたのでサンダルで入ったドブはヌルヌルでぞっとしたが開き直って探し回った。あっという間に数十匹を見つけたが、まだまだいるはずだと思ったので用心深く探した。 一段落ついて、やっと巣に行くと拳大の穴が開いていて子亀の足跡は巣から出て、そのまま海とは正反対の方角に向かっていた。足跡はさっきとは別の更に深いドブにも向かっていた。行ってみるとやはり何匹もいる。ドブの深いところでは子亀が「海に着いたのかな??」という感じで泳いでいる個体までいた。結局この夜、ドブなどで見つけて保護し海に放流した子亀は95匹。もういないと信じて作業を終了したのは、ちょうど2時間後だった。夜中なのですぐ近所に住む「うみなり(海の家)」さんなどに助けを求められなかったのが残念だった。次の日に「うみなり」さんにこの事を話すとやはり予定日が近いので海岸に見に来たが怪しいヘッドランプ姿の人(亀を拾っていた私のことですね)がいたので帰ってしまったそうだ・・・。 そして、この後向かった根本海岸でも同じ作業を更に2時間以上続けなくてはならないとは想像さえしていなかった。結局この朝、日が昇るまで子亀探しが続いた。根本ではこの晩127匹もの子亀を保護し放流した。この根本の巣は7月20日発見だったため、予定日はまだ少し先の9月15日過ぎと考えていたが、巣発見時には産卵後数日経っていたことも分かっていた。(母亀の足跡が非常に判別しにくい状況だった) 今回までの事で街灯が子亀のナビゲーションを狂わすのは明らかになり、白浜町に街灯と海亀の問題を考えてもらえるように資料をまとめようと思っていた。しかし私が報告をするまでもなく街灯問題はほとんど解消された。お世話になっている牧水亭(根本の食堂件民宿)に地元の町会議員さんがやって来た際、街灯の問題を知るなり工事をして海岸前の特に問題のあった街灯を消してくれたのだった。こんなに話が早いとは驚いたが、早速その晩1匹の子亀がまっすぐ海に帰った足跡が残っていた。来年からは産卵の時期も街灯は消してもらえそうだ。 今回の事で海亀観察が一段落したような安心感を持つ事ができたが、他にもキャンプ場の問題などいくらでも考える事があるので観察を続けたいと思う。 |