急に冬が来たように今月に入って西風の日が多くなり気温も寒くなった。館山の海岸はどこも西に面しているのでいつもは穏やかな内房の海岸が白波に覆われる。西風は吹き始めると数日止まず、しかも10mを超す強い風が吹くことも度々。
おかげで今月はイルカ観察もツアーもできない日が多かった。それでも自分がカヤックの練習をするにはこの西からの強風は都合が良い。必然的に毎年この季節は強風の中での練習が増えてよい経験の積み重ねになっていると思う。ただしこんな日に長い時間乗っているのは厳しいので、いつもより早めにカヤックを片付けるとビーチコーミングを楽しむ。 この季節は美しい貝殻が多い、どうやら急に水温が下がり比較的温暖な海域を好む種が淘汰される季節らしい。貝にはかわいそうだがこの季節の楽しみの一つでもある。中でもタカラガイは素晴らしい。種類も多く覚えるだけでも一苦労だが、時々完璧な美しいものが見つかるともう一個ないかなあ、とまた歩き続けてしまう。 もうひとつこの季節になると楽しみなのは冬の海鳥が戻って来ること。ウミネコばかりだったいつもの岩場に少しずつ種が増えていく、セグロカモメやオオセグロカモメが来てウミウが来てユリカモメが来る。海上では小さくかわいいウミスズメに遭遇できる季節でもある。
ユリカモメはイルカに驚いて海面に跳ねる小魚を狙うためイルカの上空で鳥山をつくる。ウミウは南房総のいくつかの岩場や崖を糞で白く染め直しに来る。
若いセグロカモメは怖がりもせずに140cmほどもあるという大きな翼を広げてカヤックのすぐ上を掠めていく、そんな時は思わずパドリングは止まり、口は開いたまま空を見上げてしまう。みなパドリングを楽しくさせてくれる海の仲間です。
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