カヤック日記


2004年11月の出来事!


冬凪 今年もウミウがいつもの場所に陣取り、海岸にはイソギクとツワブキの鮮やかな黄色い花が咲き始めました。
トベラの実も赤く熟してきれいです。
海上ではカモメが繁殖地から南下して行く様子を良く見かけます。
ついこの間、北に飛んでいくカモメ達を見送ったばかりのような気もしますが、今年もあっという間に冬が来たようです。
今年は昨年以上に暖かく、まるで冬を通り越して春が来てしまったかの様な小春日和が続いています。
それなのに鳥たちはいつもと同じように同じ季節に戻ってくるので何だか違和感のあった月でした。
海上も凪が多く、カヤックを楽しむには最適な条件が揃っていました。

トベラの実







海亀の調査は26日に終了しました。 この日、掘り出し調査をした根本の8月19日産卵の巣で私は初めての経験をしました。
この巣は孵化の時期にあたる産卵後60日が10月18日でしたが巣からの子亀脱出を確認できずにいました。 その後、孵化率確認の為に更に1か月以上の時間を置きこの26日に掘り出したのでした。
すると驚いた事に砂の中から子亀が5頭出てきました、その内4頭は生きていましたがかなり衰弱した様子でした。

産卵後98日に達する事になります、非常に驚くと同時に対処に悩みました。 海に戻してもまともに泳ぐ事も出来ないと思ったからです。
しばらく日のあたる場所に置いて様子をみていると個体によっては徐々に動きが大きくなり少し移動したりし始めました。
ヒレの状態が悪く、まともに歩けず歩く度に転倒してしまう個体もいました。
その後、波打ち際に持って行き試しに最も活発な1頭を水に漬けてみました。 するとこの個体はヒレを大きく動かしだし、砂の上に置くとしっかりと歩き出しました。 さっきまで閉じたままだった目も見開き、蘇ったという言葉がピッタリで、まるでミイラが生き返ったかのようでした。
これは大丈夫!と思い徐々に水に慣らし、間もなく海に帰すことが出来ました。

砂の中から出てきた子亀 次いで他の個体も海に帰しました、ヒレの悪かった個体も海に浮かんでいる方が楽なように見えました。
孵化予定日から1カ月以上、産卵日から98日の出来事でした。
その日は子亀を海に帰す内に時間を費やし巣内の状態を調べられず次の日に続きを行いました。 すると巣内には91個以上の孵化に成功した殻が見つかりました。
思った以上に孵化が成功していた事に安心しましたが、その巣内からも1頭の生存した子亀が見つかりました。

今回のように生きた子亀が100日近く経った巣で見つかった事は大変な驚きでしたが、九十九里の一宮で長年アカウミガメの産卵を調べている秋山章男先生によると、九十九里では8月に産卵された巣の場合、珍しい事ではないそうです。
基本的に出来るだけ海亀の繁殖に直接手を加えない方針ですが、今回のようなケースでは放ってはおけませんでした。
今回海に帰した5頭がその後、生き延びる可能性は低いと思いますが砂の中で死んでしまうよりは幸せなのではないかと思いました。


秋山章男先生のウェブサイト「HP九十九里浜自然誌博物館」
http://homepage2.nifty.com/beach99/


お知らせ
NHK「おはよう日本」で南房総、冬の楽しみとしてシーカヤッキングが紹介されます。
12月4日(土)8:00〜8:15
是非ご覧下さい。



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