2005年の房総はストランディングで明けました。 国立科学博物館で海棲哺乳類のストランディング対応、調査をしている山田先生から2日夜に連絡を頂き、早速現場を見に行きました。
千倉の道の駅「潮騒王国」の目の前に漂着したのはなんとザトウクジラです。
8.5mほどの若い雄でした、特徴的な長い胸鰭には鯨に寄生するフジツボがまだ生きていました。
真っ暗な夜の岩場に浮かびあがる大きな胴体はなんだか不気味でもありましたが、考えてみると私自身がザトウクジラを見るのは十数年ぶりということもあり、近くの海を泳いでいたであろうその姿を見て感激しました。
また今回も生きて出会えなかった事が残念でしたが、南房総の沖が南北に季節移動をするルートのひとつなのだと思うと何だか嬉しくもなりました。
以前、白浜町の海岸で伊豆大島に沈む夕日を背景にいくつかのブロー(潮吹き)を見たことがありました、多分ヒゲクジラで多分ザトウクジラなのでは?と思いました。
もしかすると毎年ここを通って遥か数千キロも泳いでいくのかもしれないと思うと鳥肌が立つくらい感動しましたが、今回のように若くして死んでしまうザトウクジラを見るとその旅の厳しさを感じました。
そんな中、今度は楽しそうに舞い戻ってきたアザラシもいました。
テレビでも随分取り上げられた鴨川に現れたカモちゃんです。
同一個体であるということが分かったのは驚きですが、なんでまた?と不思議ですね。
今回も見に行きましたが、その時は海岸に沿ってずっと泳いでいたので私達も歩きながら見ていました。
ところがシーワールドのアザラシなど鰭脚類の水槽の前に来たら移動を止め、そこでウロウロしていました。
やっぱり仲間の声が聞こえるんでしょうか…?
泳いでいる姿がなんだか本当に楽しそうで、水槽で退屈そうなアザラシとは随分違うイメージです。
水族館ではあまり鰭脚類をじっくり観察する人は見かけません、ショーで動かされているアシカは人気がありますけど…。
すぐ後にアザラシが何頭も飼われているのに目の前の海でマイペースに泳ぎ回る1頭のカモちゃんに人だかりが出来るのも頷けます。
そして海の中を自由に泳ぐ姿や自分の思うままに舞い戻ってくる姿を見ているとザトウクジラの時とは逆に海の旅は楽しいものなのかも?と思ってしまいました。
多分どちらも正しいのかもしれませんね。
カヤック乗りは海棲哺乳類のもの真似をしているような遊びです。
いつかはアザラシやクジラのように自由に海を移動して泳ぎ回りたいという願望を叶える為に最適な道具です。
カヤックに乗ってみると海での生活を少しイメージできるような気もします、それに少し彼らに近づく事が出来たような気もします。
と同時にカヤックを漕いで海から陸に帰って来た時には残念なような安心するような、不思議な気分にいつもなります。
こんな時、自分はやっぱり陸の動物なんだなあと思います。
手がヒレに進化するまでにはまだまだかかりそうですね。
国立科学博物館 海棲哺乳類情報データベース URL
http://svrsh1.kahaku.go.jp/
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