カヤック日記


2005年5月の出来事!


富山町小浦港に引き上げられたコククジラ 今月は房総半島に多くの鯨類が漂着しました。
最初はゴールデンウィークに人気を集めた袖ヶ浦に現れたコククジラです。私も6日には工業地帯を泳ぐその姿を見に行きました。千葉の海岸でコククジラという希少種を目にする事が出来る奇跡に鳥肌が立ちました。

その後11日には前日に対岸の横須賀に現れたという情報を元にカヤックを車に積んで富津岬に向かいました。
1日岬周辺でカヤックを漕いでそのクジラに出会えることを期待していました。 ところがその道中で神奈川の石井さんからの電話でコククジラが富山町の網に混獲された事を知りました。既に富山町を過ぎて北上していた私はがっかりしながらUターンをし、南に向かいました。
私が予想したよりもこのクジラは遥かに南下していたことになります。

海に行くつもりでいたのでラフな格好でしたが、準備もないのでそのまま国立科学博物館のお手伝いという形で調査に参加しました。 外観では表皮に付着したフジツボとクジラジラミの多さに仰天しました。右の写真の尾びれの赤みがかった部分は全てクジラジラミです。

調査は引き上げられた港のスロープで夜半までかけて内臓のサンプル採取などが行われました。 次の日は朝から骨格などの処理が行われ、昼過ぎに終了しました。
人気者になったこの若いコククジラは東京湾に迷い込み、あげく網にかかって死んでしまうという残念な事になってしまいました。
しかしこの個体を調べさせてもらう事で数の激減してしまった北西太平洋のコククジラの生態解明に役立ち、将来仲間の保護に繋がる事を期待したいと思います。

ハマヒルガオ 千葉では他にも埼玉の吾妻さん経由で14日に情報のあった旭町のスナメリ、21日にはカヤックツアー中にコククジラと同じ富山町の沿岸でハナゴンドウと思われる縄に括られた3頭の死骸の漂着発見をしました。 また24日にも東京湾内で1件情報があり対応しました。
これほど多くのストランディングに対応した月は初めてですので千葉の海はどうなってんだ!!という感じでした。

死んだものばかりの話で千葉の海は物騒みたいですが海岸にはハマヒルガオが満開で他にもハマボッスやテリハノイバラが咲き始め、浜が一年で最も鮮やかになる季節を迎えています。
代わって先月紹介したスナビキソウは花を間もなく終えますがスナビキソウに集まる蝶アサギマダラも去年の様に確認することができました。

マークの付いたアサギマダラ






写真のように翅に印を付けた蝶を見かけたら是非ご一報下さい。
アサギマダラは花の蜜だけを吸わず葉に含まれる成分を目的としているらしく花が終わった後もスナビキソウに集まります。
あと1ヵ月くらいはアサギマダラ調査の季節が続くでしょう。

アサギマダラと入れ替わるように6月にはアカウミガメの産卵が始まります。
季節ごとに房総に訪れる様々な生物達に終われるように今年もあっという間に一年が終わりそうです。

お礼
OWS海のトークセッション第16回「カヤッカーによる南房総、海辺の記録」
に参加してくださった皆様、スタッフの皆様。 雨の中お越し頂きありがとうございました。

テングサを干すおばあちゃん










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