カヤック日記


2006年7月の出来事!



どんよりの館山湾

ツチクジラ調査 なかなか梅雨が明けず、どんよりとした涼しい日が多かった今月、またも館山湾で大きなクジラが打ち揚がりました。種はツチクジラで10.4mもあるオスでした。
涼しい日が多かったのにこの調査の日は快晴、一日中暑さに悩まされながらの調査となりました。

漂着動物の調査は季節を問わず多くの場合海岸で行われる為、大変な重労働になります。しかし国立科学博物館のチームは雪の中、猛暑の中と日本全国の調査に出かけていきます。
私も千葉県で漂着が起きた時には出来るだけお手伝いに参加しますが場合によっては1日カヤックを漕ぐよりも遥かに激しい運動量で筋肉痛を経験する事もあります。

今年2月に起きたカズハゴンドウ大量漂着の特別展示を現在国立科学博物館上野本館で行っています。興味をお持ちの方は是非、足を運んでみてください。
「カズハゴンドウのマスストランディング,あの日、イルカたちに何が起きたのだろう」
期日:平成18年7月21日(金)〜9月3日(日)
会場:国立科学博物館 新館1階 系統広場脇
詳細はこちらをご覧下さい。 http://www.kahaku.go.jp/event/2006/07iruka/index.html

軽石









クジラ以外にも様々な物が海岸に打ち寄せられます。
例えば今年の夏は太平洋岸で軽石が多数見つかります。漂流時間の目安になるフジツボやエボシガイなどの付着生物の少ないものや見られないものが多く、どこか近くで発生したものと思われます。 軽石は火山噴出物で以前、三宅島が噴火した年にも多くの軽石が打ち寄せられていました。今年も急に多くなったので地震との関係が無いか少し心配でもあります。

カツオノエボシ、美しいものにはトゲがありますね… 他には海水浴客とサーファーの天敵、カツオノエボシも見られるようになりました。写真のようにとても美しい生物ですが海岸に漂着してからも刺す事があるそうですので裸足で踏んでしまわないよう気をつけてください。
また多くの海岸性植物の種子も浮力に頼り黒潮に乗って南房総の海岸に辿り着きます。 例えばスナビキソウもそうで、この7月始めには根本の海水浴場内に新たな株が見つかりました。多分種子が漂着し発芽したものと思われます。 関東でも生息域の環境が悪くなり見られる機会の減った種ですのでこの株も大切に見守っていきたいと思っています。

涼しく水温も低かったので心配しましたが海亀の産卵も順調に増えました。
これまでに上陸が平砂浦で4、根本で1、滝口で3、砂取で1、和田で1見つかり産卵まで確認できたものは根本で1、滝口で1の計13回の母亀上陸が確認できています。(〜060731)
キャンプ場の産卵地である根本海水浴場は梅雨明けが遅かった為か人出が少なく産卵には適した状態が続きましたが、これから夏本番となり母亀や子亀を悩ます事が多くなりそうです。
今年も少しでも多くの子亀達が海に帰る事を期待して調査していきたいと思います。




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