カヤック日記


2006年9月の出来事!


根に絡んだ子亀 今月前半に本州に接近した台風12号と月の後半に接近した台風14号による波の為に根本海岸の海亀巣は3ヵ所とも波を被りました。
今年は海岸の形状が良かった為、何日も水没するような事はありませんでしたが残念な事に今のところ9月7日前後に孵化予定だった巣では動きがありません。
また9月30日前後に孵化予定の巣でも今のところ動きが見られません。運良く生き残ってくれると良いのですが…。

それでも今年も同じ白浜町で孵化を確認することが出来ました。 14日の午前中に孵化予定の巣を見回っていたところ巣周辺で子亀の足跡を見つけ辿っていくと7月25日に産卵を確認していた巣に繋がっていました。
砂の表面には拳ほどの大きさの穴が開いており、そこから無数の足跡が広がっていました。
しかし残念なことに今回も足跡は海の方角ではなく巣から最もよく見える街灯の方へ向かっており、最終的に街灯に近い小さな河口周辺に集まっていました。
川とは呼べないほどの小さな河口には大雨の時に上流から流れてきたゴミがたくさん積もっていました。
その中に消えていく足跡もあり2002年9月の日記にも書いた白浜町名倉のケースを思い起こさせました。

ゴミの中で… 案の定ゴミの中に埋もれるようにほとんど動くのを諦めた子亀が見つかりましたが不幸中の幸いで河口のゴミに埋もれていたのはこの個体だけでした。 他には川の中で植物の根や海藻に絡んでいたもの、川の隅でグッタリしていたものが見つかり、全体で4個体が見つかりました。
弱っていたものは潮間帯に放し、他の3個体は絡んでいたものを取り除いてやり、そこからは自由に歩かせました。
すぐに海に浮かべてやるのが本当に良い事か分かりませんし、河口で足跡が消えていた他の仲間がどこに行ったのかの手がかりを得る為にも自由に歩いてもらいました。

歩き始めると案外元気を取り戻しパタパタと素晴らしい速度で移動を始めました。 しかも3個体とも渇き気味の川の中を真っ直ぐに海に向かっていきます。
今までも街灯につられておかしな方向へ向かっていた足跡が川に入ると乾いた川だったとしても、そこから海に向かっているケースがありました。
今回も川の中には海に向かった無数の足跡があり子亀には川に出る事さえ出来れば本能的に川を横切らず海に向かうことが出来る仕組みがあるのかもしれないと思いました。


もうすぐ海です しかし今回、根本海岸で行なった街灯のナトリウム灯への交換を産卵地全体に広めてゆく必要を強く感じました。
昨年、今年とナトリウム灯の効果を検証しなければならないと考えていましたが産卵、孵化ともあまり順調とは言えず、あまりデータを残せていません。
それでも今年、根本海岸で見られた母亀の足跡には昨年までに見られた大きな蛇行はほとんど見られず、街灯の影響のない平砂浦、丸山などの足跡に近い直線的なものとなりました。
少なくとも母亀については効果が現れたのではないかと感じています。あとは街灯の見える位置にある巣で孵化した子亀が真っ直ぐに海に向かった証拠を見つけたいと思います。
10月にも根本海岸にはまだ2ヶ所の孵化予定巣がありますので、今年ももう少し様子を見続けたいと思います。

低圧ナトリウム灯への変換については2005年4月の日記をご覧下さい。




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