カヤック日記


2007年11月の出来事!



蜃気楼の中を漕ぐカヤッカー

11月も終わりに近づいて南房総の海はやっと冬に入った感じです。
急に気温は低くなったものの、まだ水温は高い為、海面上にある暖められた空気の中を行くカヤッカーは案外快適です。
それでも寒い日はあります。漕いでも漕いでも寒い時もこれから増えてきます。 そんな日にはウェアの選択はかなり重要になります、特に最先端の素材を使ったカヤックウェアはとても暖かく冬の海を楽しむのに欠かせません。 冬のアウトドア、特に水に関わる遊びでは着るものが違うだけで楽しみだけでなく安全の度合いも大きく変わるのは確かです。 それよりそんな日は漕がなきゃいいのに…という御意見もありますが真冬の海もやはりシーカヤッキングは楽しいのです。

冬の海中の様子 低い気温の中、水面近くで暖められた空気によって内房では毎日のように蜃気楼(下位蜃気楼)が見られます。対岸の三浦半島はまるで空中都市のようにゆらゆらと浮かんで見えます。(写真上) 水中も冬ならではの素晴らしい透明度で海面から覗き込むと海底では海藻がゆらゆらと漂い海面では小魚が群れを成して通り過ぎてゆきます。

また16日には外房で今年初めてウミスズメの飛来が確認でき、その後も内房のいくつかの海域で数回確認する事が出来ました。 昨年の冬は全く姿が見られず大変心配していましたが今年は高い頻度で出会うことが出来そうです。 (写真下)
見られる確率が高くなるのは外海でしばらくシケが続いた時で、そんな日には内房の穏やかな入江に見られることが多いようです。 普段外海でプカプカと浮かんで暮らしているウミスズメもシケの時には穏やかな海域を求めて集まるのだと思います。 海岸からの距離は100mくらいまで近づく事もありますので案外身近な場所で観察する事が出来ます。

ウミスズメ 他にはユリカモメが目立つようになりました。 内房のあちこちの沿岸で騒々しく鳴きながら餌をとり合っていました。 この漁の仕方はまったくの他力本願で水中で大型魚が小型魚を海面や浅瀬に追い込んでくれて始めて成り立ちます。

大型肉食魚により追い立てられた小型の魚は密な群れになって海面や浅瀬に向かって逃げていきます。特に浅瀬は大型の魚が侵入できない安全地帯と本能的に思うのでしょう。 しかし水中深くまで魚を追っていく事が出来ないユリカモメにとってはチャンスです。海面で跳ねる魚や水中の騒々しい様子に気付いたユリカモメが海面に来た小魚を狙って水に飛び込み餌を捕りはじめます。 するとその騒ぎに気付いた他のユリカモメも数百メートルの範囲からその場所に集まり餌を得ようと大騒ぎになります。 これにより小魚はまた海中へ逃げていきますから今度は水中で待機していた大型魚の食事の番です。

そうやって小魚達はまた追われる事になり、またまた海面近くへ逃げるしかなくなるのでユリカモメはある一定の場所で待っていれば、また次の食事の時間がやってくるというわけです。 小魚にとっては生存を賭けた恐怖の時間、大型魚やユリカモメにとっても生存を賭けた貴重な食事の時間というわけですね。

ユリカモメの採餌





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