今年も海を渡るものたちの季節がやって来ました。
海上はそんな生物で賑やかです。
沖合いでは南半球から飛来し、更に北を目指しているハシボソミズナギドリ(写真右)が伊豆諸島などで繁殖中のオオミズナギドリと混ざりながら、ひっきりなしに飛んで行きます。
長旅で疲れ果てたものは海上で休んでいて、繁殖期以外は陸に上がらない為、人をあまり怖がりません。
16日には珍しい鳥も訪れました。
名前はオオアジサシ。(写真下)
親戚のコアジサシは東京湾の埋立地でも繁殖しているので身近ですが、オオアジサシは太平洋では東南アジア、オーストラリアで繁殖しその他の季節には小笠原や先島諸島、尖閣諸島などに訪れる種です。
本州でも時々観察されるそうですが私は初めてでした。
大きな体におしゃれなヘアースタイル、遠くからでも会った事の無い鳥とすぐ分かる、かなり個性的な鳥でした。
見慣れた風景の中にたたずむその姿は何んだかとても不思議な感じでした。
ルートを間違えたのか、それとも今まで見たことの無い世界を見に来たのでしょうか?
14日にはシロハラトウゾクカモメ(写真下)が館山湾で4羽ほど観察できました。
これも私は初めてです。
トウゾクカモメ類は他の海鳥を脅かして吐き出させた餌を得るといわれている為こんな怖い名前です。
一見するとその他のカモメ類特有の体色ですが、近くに来ると長い尾が目立ち「長い尾=怖い」を弱い鳥に知らしめる役割があるのかな?と思いました。
カモメ類に似せて接近しておきながら、近くに来てからは一見してそれと分かるというイメージ先行で怖がってもらった方が仕事の手間が省けるのでしょう。
なかなかうまく出来たデザインですが、弱い鳥の立場になってみれば困ったものですね…。
図鑑によると繁殖地はユーラシア、北アメリカの極北部とあります。
その他は海上生活とのこと、分からない事だらけの鳥の一種のようです。
この日は館山湾奥沿岸でしかカヤックを出せないような天気、雨風ビュービューでしたが、こういう時は沖にいる鳥も湾内に逃げ込んできます。
ですので珍鳥遭遇の期待は少しありましたが、うまい具合に出遭えました。
海岸では小さな花を咲かせたスナビキソウに「海を渡る蝶」アサギマダラ(写真下)がやって来ました。
毎年の事ですが、スナビキソウに誘われて海さえ渡って来るこのチョウには驚きます。
9日には白浜町の根本沖で南から飛来したアサギマダラを確認、カヤックに乗る私の目の前を掠めて必死に陸を目指していました。
私も必死に追いかけてみたところ、真っ直ぐにスナビキソウ群落へ到着、早速成分補給していました。
最初に私が見つけた位置から群落までは少なくとも200mは離れていましたので驚きです。
今年は数が少ないように思いますが、時期がずれているだけかも知れません。
興味のある方はツアーの前後や海辺の自然観察ツアーでも観察会を出来ますので御相談下さい。
海はこの1か月で随分暖かくなりました。
しかしまだまだ水の透明度は高く、海岸も静かです。
風の強い日も多かったですが、この季節に漕がないのは勿体無い!という感じです。
是非遊びに来てください!!
参考文献
日本の鳥550‐水辺の鳥
桐原政志/解説 山形則男・吉野敏幸/写真 文一総合出版
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