今年も子ガメに会いました。
しかし子ガメがいたのは産卵地の砂浜に注ぐ小さな川の中でした。
これは私が調査を始めてから何度も見ているシーンで子ガメたちは街灯の見える陸を目指して川に落ち、そこに密生するクレソンやゴロタ石、様々なゴミに遮られ動けなくなってしまったのでした。
私のやっている調査では通常は夜間に子ガメが出てくるところを待って見る、という事をしないので孵化が順調で浜に子ガメを見なれなければ「良い年だった」という事になります。
ただしツアーでは希望を頂いた場合、子ガメの出てくる可能性のある巣を案内させて頂いています。
しかし南房総は産卵頻度が低い為、子ガメが見られる確率は非常に低く、主には産卵が行われている砂浜環境を見ていただく事がメインになっています。
今回は8月2日に産卵された巣をお客さんと27日の夜に訪れました。
運良く脱出した穴と鮮明な子ガメの足跡が見られましたが周辺に子ガメは見当たりませんでした。
足跡を辿ると案の定、多くの子ガメが山側に立っている街灯の明かりを目指していました。
そのまま川に落ちたところまでは追跡できましたが真っ暗な中、ゴロタ石や植生に隠れているのか見つからず、その時は探すのをやめました。
後日、日中に様子を見に来ると弱った子ガメが10匹ほど見つかりました。中には川に棲んでいるカニに攻撃されたらしく怪我をしたもの、食べられて死んだものも一体ありました。
弱いものが他の生物に食べられると言うのは自然の摂理ですから仕方ないのですが、大元の川に落ちた理由である街灯にはやはり問題があるはずです。
過去にも同じような内容を書いた日記がありますので見てみてください。
2002年9月の日記
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2006年9月の日記
産卵日から60日ほど経った巣では孵化が終わり巣内には殻と死んでしまった卵が残されています。
産卵から90日を過ぎると私は白浜町の巣に限り掘り出して巣内の記録をとります。
白浜町に限定している理由は単に人手不足の問題からです。(出来れば見つかった巣は全て調べたいのですが…)
写真のように巣から取り出した卵を孵化したもの、死んだものに分け、更に死んだものの状態を記録しています。
穴掘り、腐った卵の臭い、寄生虫など、あまり楽しくない部類の作業ですが記録としては、ここまでやって、やっと夏の間の調査が報われると思っています。
この穴掘り調査をしていると今年も秋だなあ〜と感じますが、他にも海には秋を感じさせてくれるものが沢山あります。
中でもセセリチョウの海上飛翔はカヤッカーが見慣れていても良いような秋に普通の風景のひとつです。
普通秋には西に渡って行くといいますが、この秋はあまり定まった方角に飛んでいなかった感じがします。
急に寒くなったので戸惑っているのでしょうか?
海上でのチョウの飛翔はまだしばらく続き、もう少しすると多分ウラナミシジミがハマエンドウを目指して飛んできます。
その他にも様々な種が飛んでいるようですが、海上で捕虫網を振り回した事が無いので詳細は不明です。
今年は振り回してみようかな?海上で網を振り回している、変なカヤッカーを見つけたら無視して通り過ぎてください…。
参考文献
海をわたる蝶 日浦 勇 著 蒼樹書房
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