今月はいきなり出だしから訂正をさせて頂きます。
先月の日記に書いたカンムリウミスズメの群れですが、少なくとも近くで観察する事の出来た7羽の群れについてはカンムリウミスズメではなくウミスズメの夏羽でしたので訂正させて頂きます。
その他の群れでカンムリ様の頭部が見られた(ように見えた)ので全体がカンムリウミスズメの群れと思い込んでいましたが、写真を確認しなおしたところ最も近くで撮れていた群れに関してはウミスズメの特徴を確認しました。
北方で繁殖するウミスズメを繁殖期に関東で見た事により温帯域で繁殖するカンムリウミスズメだ、とする思い込みもあったかもしれません。
ウミスズメを繁殖期に千葉の海で観察した事は以前にもありましたので、この季節のウミスズメの関東での行動についても興味が沸いてきました。
…が今回の簡単明瞭なはずの間違いは残念です。
今年もウミガメの産卵シーズンになり6月に入ってからは南房総市白浜町の砂浜を調べに通っています。
ただ今月はとうとう白浜町での産卵は一度も無く、上陸Uターンも1回だけでした。
こんなに産卵が遅いのは初めてです。
他に館山市平砂浦、南房総市の丸山で上陸は確認できています。
来月にはここで産卵の報告が出来るものと思いますが、何だか心配です。
ウミガメの産卵調査に行くと大抵の砂浜でシロチドリの繁殖に関わる行動も観察できます。
千倉では久しぶりにヒナを見ることが出来ました。(写真)
周辺では親鳥があたふたしているのですぐに引き上げましたが、親鳥の特有の鳴き声による指示に従って動かなくなる様子は何度見ても興味深いです。
写真のように一旦うずくまると全く動きません。
親鳥は周囲で飛び回ったり、こちらの気を引くために傷ついたふりをするなど必死です。
それでもここはサーファーくらいしか来ないらしく、いつも出かけている白浜町のシロチドリより人に対する警戒心が低いようでした。
人の出入りが激しい海岸では、こちらが気付く前にシロチドリの方が先に行動を起こすので双眼鏡があってもなかなかヒナが見つかりません。
そういう海岸では危険を察知したら動かなくなるヒナは気付かれずに踏まれるなどの犠牲になっている可能性は高いと思います。
特にこれからの季節は海岸清掃や海岸整備が始まります。一斉の海岸清掃では多数の人が一気に砂浜に集り、更にはゴミを燃やすのでシロチドリのヒナは逃げ場を失うだろうと思います。
少なくとも地面に直接産んである卵はウズラの卵のような保護色で見つけるのが難しく、被害にあいやすいでしょう。
それにしても海水浴場にはならない砂浜の清掃は何の為に行なうのでしょう??
館山市、南房総市では盛大な焚火が行なわれ、遥か遠くからでも煙が見られます。
野焼きを禁じている自治体が指導、実施している海岸清掃でこれほどの野焼きをやっているのでは何の為に禁じていたのか良く分かりませんね。
今月は南房総では珍しいフルマカモメを2回見ました。
しかし1回は衰弱個体、もう1体は死骸でした。
やはり南房総に来ること自体何か問題を抱えていたのでしょうか?
弱った方の個体は砂浜の近くで浮いていたところを小学生達が救い上げ(?)翼をきれいにタオルで拭いてあげていました。
一見良いようですが、羽についた脂を拭き取るので水鳥には逆効果です。
まだ何とかなりそうだったので、お願いして海に帰してもらいました。
でも「トンビの赤ちゃんが海に落ちてたんだ!」と一生懸命助けてあげようとしている姿は感動的でした。
一方死骸で見つかった個体は冷凍し(家の冷凍庫で…)国立科学博物館に送る事になりました。
この種の生態を知る上で役立てば、と願っています。
梅雨といえばアジサイですが元々海岸性のガクアジサイは岩礁の背後にある山の麓に沢山咲いています。
でも、もうそろそろ出番が終わり、夏らしい海岸の様子に変わります。
月の後半にはスカシユリの鮮やかな花が見られ、ハマゴウやハマユウなど夏の花も咲き始めました。
そんな館山市の太平洋に面した砂丘では非常に大きなハマボウフウを見つけました。
食用になるので大きくなる前に採取されてしまう事が多いですが、この株は沢山の花を咲かせていました。
種子を沢山残し周辺には子孫が広がってゆくことでしょう。
白浜の海岸ではシケで海藻が非常に多く打ち揚がったお陰で栄養豊富となり砂浜の植物が元気です。
特にオカヒジキがとても大きくなっています。
これも食用になり、時々ハサミで採取した跡が見られます。
知っている人は新芽だけを採って株自体を大切にしているようです。
もうひとつ南房総市の太平洋岸(和田町)でグンバイヒルガオの株が見つかりました。
本来、もっと南方に分布するとされる種ですが館山市では定着した群落が見られ、南房総では毎年ところどころに発芽が見られます。
冬を越して群となるにはなかなか難しいようですが、見つけた時には記録をしています。
今回見つかった株もまだ小さいですが、その後どのくらいまで育つか見続けようと思います。
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