今月は都内などでは湿度と下がらないうえに気温が高く大変だったようですが、こちら南房総では湿度は高く大雨の日もありましたが風は涼しく、比較的心地良い7月でした。
さてっ夏本番!と言いたいところですが、なんだか涼しくて泳ぐと寒そうなくらいの日が多いです。
しかし、そんな日こそカヤック日和です。
照り返す熱で裸足で砂浜を歩けないような日も海に浮かんだとたんにス〜っと涼しくなります。
水面すれすれを行くカヤックでは水面上の水で冷やされた空気の層の中に入っていられるからのようです。
カヤッカーにとって海上はどこも天然クーラー空間というわけです。
先月、ウミガメが産卵に来ない!と書きましたが、その後も南房総市白浜町に関しては芳しい状況ではなく、産卵を確認できたのは8日と9日の根本海岸での上陸2件だけでした。
他に上陸しUターンしたのは1件(先月は2件)で卵は見つかりませんでした。
毎日歩いているのに張り合いが無い感じですが8月にラッシュになるのか?と怖い気もします。
その他、館山市平砂浦海岸や千倉から和田町(和田港以南)までにかけての産卵地ではいつもと変わりないような感じです。
産卵調査を始めると良く見つけるウミガメのストランディングも4件といつもの頻度のようです。
ただし、ひと月に1人で4件もウミガメの死骸を見つかるというのは本来は多すぎなのでしょうか?
それとももっと数が多かった昔はもっともっと多くのカメが打ち揚げられていたのでしょうか??
ウミガメ調査で浜歩き(もしくは浜自転車行)をする時は普通、潮間帯の砂の締まったところを歩きます。
ですので漂着物や砂浜で餌捕りをしているシギなどには良く出会います。
しかし砂丘に見える海浜植物も時に気になり、そういう時は歩き難いフカフカの砂丘の縁を歩いてみます。
靴の中は砂だらけ、ソールと足の間にズンズン入りこんできます。
植物の間の砂地などを見てみるとバッタやクモや小さな甲虫などがチョロチョロピョンピョンやっています。
甲虫はマニア向けの超小さなものが多く、バッタもトノサマバッタ型のものショウリョウバッタ型のものなどがいます。
砂の上を徘徊しているクモも数種いるようで、小さいけれど数は多く見られました。
考えてみれば夏のいきものといえば昆虫です。
しかし昆虫と海岸はなんとなく結びつかないと思い込んでいた私も何年か前にアサギマダラに遭遇してから「あれ?そうでもないか。」と感じていました。
流れでチョウに注目していましたが、この7月は海岸で見かける他の昆虫も見てみました。
あくまでウミガメ調査のついでのレベルですが。
たまたま写真を撮ったのをきっかけにヤマトマダラバッタ(写真)に着目してみました。
この種は千葉県のレッドデータランク(A)最重要保護生物にあって、砂浜海岸のみ生息する種です。
どうも人間による環境改変について行けていないでいるようです。
しかし意識して見てみると、かなり局所的ではあっても多数見られる海岸がいくつか見つかりました。
いずれも砂浜が緩やかで砂丘と砂浜の境目は勾配ではなく、海浜植物が示す程度の場所で、その緩やかな砂丘にハマニンニク、コウボウシバ、オニシバなどの海浜植物があるという特徴がありました。
こういう場所は探してみると大変少なく、人が住んだり道を造ったりもしていない、ほぼ利用していないような海岸でも堤防は築かれていて緩やかで草に満たされた砂丘というのは無くなっています。
僅かに残されたそういう場所には、当たり前のようにヤマトマダラバッタが多数見られました。
ちなみに日本固有種との事ですが、全国的に絶滅が心配されているとの事。
南房総にどれくらい生息地が残っているのか、じっくり調べてみたいと思っています。
もうひとつもたまたま写真を撮ったのがきっかけですが、シロスジコガネ。
きれいな模様のコガネだなあ…と思ったくらいでしたが、帰ってインターネットで調べてみると海岸の松林に住むとあります。
幼虫は砂浜に…、これは完全に海辺の生き物です!※
調べてみると幼虫はウミガメの卵を食べるという報告もありました。※
残念ながらまだ本文を読む事が出来ていませんが…。
レッドデータランクでは千葉(C)要保護生物とヤマトマダラバッタのように減っている心配は少ないようですが、海辺昆虫としてはかなり魅力的です。
幼虫がウミガメに関わっている点でも興味深いです。
こちらも気長に生息地を記録してみようと思います。
昆虫ばかりを探していてどうも下ばかり向いて歩いていましたが、時々見上げるとウミネコの群れがひっきりなしに南下して行きます。
今年生まれた真っ黒の子ウミネコも混じっていて、頑張ってオトナ達について飛んでゆきます、頑張ってほしいですね。
そいうえばまたまたグンバイヒルガオを太平洋岸で見つけました。
前回よりも大きな株です。
発芽する頻度は思った以上に高いのですね。
それと白い花のハマゴウを見つけました。(写真)
最初は初めて見る花だなと写真を撮りに歩いてゆくと明らかにハマゴウの花の形と葉の形で驚きました。
そいうえば今月末発売の「Kayak」誌の私の連載は海浜植物編です。
なかなか興味を持ち難い対象ですが、海岸環境を考える上でも重要な生物ですので是非今度は海岸で浜の花探し、してみてください。
※千葉県レッドデータリスト(動物編)
http://www.bdcchiba.jp/rdb/rdb-kaitei1/rdl_an_2006.pdf
※愛媛県レッドデータブック、昆虫類、シロスジコガネ
http://www.pref.ehime.jp/030kenminkankyou/080shizenhogo/
※亀崎直樹,1984,ウミガメの卵を食害するシロスジコガネの幼虫について,エコロケ−ション(南知多ビ−チランド、南知多生物研究会会報),4(1):3−4,
お知らせ
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7月末日発売
店頭希望小売価格=840円(税込み)
藤田連載の「カヤック乗りの海浜生物記」は海浜植物編です。
どうぞ宜しくお願い致します。
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詳しくはこちらのページをご覧下さい。
http://www.skz.or.jp/koichi/kayak/index.html
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