カヤック日記


2009年8月の出来事!



8月の海 今年の夏は雷も無く、台風も影響なく過ぎ、気温も高すぎることなく南房総の海はなんとも平和でした。 今日やっとクロヴァンという名の台風が近所を通ろうとしていますが。

穏やかで安定し、暑すぎることもなく、10年前よりも透明度の高くなった房総の海を漕いでいると温暖化とか海洋汚染とかが改善された後の平和な未来の海を想像できるような気がしました。
私が生まれた東京の川は昔、あぶくが被うような底の見えない暗い川でしたが、その川も最近では透明で海底の砂利をはっきりと見る事が出来ます。
その水の変化は当然その川が注ぐ東京湾に直に影響しているのでしょう。 多分少しはいろいろな事がよい方へ進んでいるのだと思います。

シーカヤックに乗ると、海はいつでも手の届くところにあり、時には浴びたり、泳いだりしながらその汚れを感じ取る事に敏感になります。 臭いや感触、色合いといつも漕いでいる海なら尚更でしょう。 上陸地である海岸の環境変化にも敏感になるかもしれません。
きっとサーファー、ダイバーもそうでしょう、漁師さんは多分もっとそうだと期待したいですね。

南房総市太平洋岸のグンバイヒルガオで初の開花! 一方では温暖化が進んでいる事が感じられる出来事もありました。 先月、南房総市の太平洋岸で発見したグンバイヒルガオの株でなんと花が咲きました。
種子が黒潮に乗り、流れ着いたとしても関東では越冬は出来ないとされていたグンバイヒルガオが北緯35°台で開花したのは初例でしょうか? 同種の年越しは館山市の太平洋岸で確認出来ていますが、更に北上し越冬をする可能性がありそうです。

グンバイヒルガオは写真のようにとても美しい海浜植物ですので、身近にその花が見られる様になった事に何となく嬉しさを感じてしまいます。 しかし越冬を繰り返すとなると、それは奇妙な出来事なのだと考える必要もあるのですね。 ちなみに温暖化は人間活動だけが原因ではないと言われています。 そもそも今起きている温暖化は自然変動であるという見解です。 詳しくは「正しく知る地球温暖化」赤祖父 俊一 著を読んでみてください。
だとすると多少時期は早まったにしてもグンバイヒルガオは来るべくして、この房総にやって来たのだと感じたりもします。
でもしかしこれ以上、夏の気温が上がったらあまり漕ぐ気がしなくなりそうですね…。

根本090804巣柵 海岸キャンプ場で有名な根本海岸もやっと本来の静かで広々とした姿に戻りました。
夏休みにはヒートアイランドという島(?)等から逃れてきた人々が房総のキャンプ場に大挙して訪れます。 お盆に至ってはその密度は悲惨なレベルです。

そんな中にウミガメの巣があるという事は未だにあまり知られていませんが、時にはキャンプをしていた人がウミガメがやって来た事に気づく事もあります。 写真の簡単な柵は8月4日にあるテントのすぐ脇に産んだ卵を保護する為に、それに気付いたそのテントのキャンパーと管理事務所の人によって作られたものです。
夏の間も運良く台風にも流されず、人にも荒らされず秋を迎えようとしています。 問題は今日やって来た台風の高波ですが、多分大丈夫だったのではないかと思います。
根本海岸のほかの巣では台風9号接近時の高波で流されたものや浸水したものもありますので、この巣では是非無事に子ガメに巣立って欲しいものです。 子ガメが無事に海に帰ったことを10月のカヤック日記で御報告できたら嬉しいです。


キョウジョシギたち 写真はウミガメ調査行でほとんど毎朝のように顔を合わしたキョウジョシギたちです。 たいていいつも打ち揚がった海藻の中の餌をあさって夢中ですが、私が歩いてくると警戒して見えなくなるくらいまで飛んで行ってしまいます。
しかし日を重ねるにつれて慣れてきているような感じもしました。 8月の後半には一部の個体は写真のように近くの岩に飛んでいって私が去るのをソワソワと待つ程度になりました。 「またあいつだよ〜ブツブツ」と言っているのが聞こえるようです。
しかし私の方は実際のところ本当にいつも会っている「彼ら(彼女ら)」なのかは分かりません。 だって顔が似すぎです…。

根本のライフセーバーの皆にも毎年よく会います。 彼らは早朝から厳しい練習をしていて、日中は暑い中を監視業務と毎年大変だと思います。
朝会うと必ず全員で挨拶をしてくれて単調な調査行には嬉しい事でした。 ただ同じようなユニフォームや帽子を着て真っ黒な姿は何となく皆似ていて、なかなか見分けがつかない点はキョウジョシギたちと似てるかも。
今年も本当にご苦労様でした。

ハマカンゾウと館山湾 もう海岸は秋の様子でいろいろな海岸でハマカンゾウが咲いています。 カヤックを漕ぐには最高の季節が今年もやって来ますね。 是非この秋もひと漕ぎしに来てください!



参考図書
「正しく知る地球温暖化」赤祖父 俊一 著 誠文堂新光社





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