秋を過ぎ、またミユビシギが東京湾にやって来ました。
数は多くありませんが、房総のあらゆる海岸で時折見られます。
北極圏周辺で繁殖し越冬の為に南半球まで下る途中かもしれません。
鳥は相手を見下ろせる高い位置にいる時は優位に立っている安心感を感じるらしく、堤防などにいる姿をカヤックから見上げて観察するには砂浜で歩いて観察する時と違って案外近づき易くなります。
みんな揃って寝ぼけたつぶらな瞳でこちらを見つめてきます。
かなりかわいいです。
そういえば南房総の東京湾側の定置網ではシャケが多数獲れて話題になりました。※1
以前から時々市内の川を遡上しているのを見たという話を聞いていましたが、それほど多くのシャケが泳いでいるとは驚きです。
太平洋岸の白浜町の川でも知り合いが釣りあげ、写真を貸してもらいました。(右写真)立派なシャケですね!
東京湾奥などでは稚魚放流が続けられているので、その子たちが戻ってきたのでしょうか?
それとも、細々と時々迷入していた個体の子孫が徐々に増えた結果、分布を南下させつつあるのでしょうか?
この東京湾での鮭大漁ニュースも、もし過去に稚魚放流をしていなければ自然な分布の拡大という面白い事実としてスッキリしていたはずなので、やっぱり人が手を加えると何だかややこしくなる例のひとつだなあと感じました。
魚と同じように移動スピードの速い蝶でも分布を拡大させているとされている種がいくつかありますが、これもマニアによる放蝶の可能性が議論されたりします。
蝶などで分布の変化について話題になるのは温暖化との関連が疑われる北上の例が多いですが、今回の鮭は分布域南下ですね。
写真は南房総の東京湾岸の風景です。
ここにシャケがやって来ると思うと不思議な感じがしますね。
今の時代、本人達の意思に関わらず多くの生きものが飛行機や船に乗って世界中を移動しています。
もっと時間が経つと野生生物の本当の自然分布を確認するという事は不可能になってしまうのではないでしょうか?
分かるのは「ここにもいる」という事実だけで、彼らはどうやって広がって来たんだろうと想像をめぐらしたり、調べる楽しみが失われてしまいそうです。
海流や気流、種毎の移動能力、生存に適した環境などに応じ複雑な自然要因によって区切られていた分布が満遍なくなってしまう退屈さもあります。
出かけた先で見慣れない生物を見るのは旅の楽しみの一つだと思いますが、それも減っていくのでしょう。
人の影響で減った生物が多数ありますが、人の影響で分布を広げる生物もいるというのは種の絶滅や減少と同じように何だか残念なことです。
最近ずっと館山湾に「ちきゅう」という名のとても背の高い船が浮いています。
ホームページ※2によると海底下から7,000メートルを掘りぬいてマントルへと到達できるそうです。
凄い!
地球の中身を取り出すという事を海で浮きながら行うというアイデアが面白いです。
しかしシケの時のバランスが悪そうで勝手に心配しています。
船底からの高さは130m!と桁違いに高く、館山の市内では随分内陸からでもタワーだけが見えて、あれ?あんなの建ってたっけ?と思ったほどです。
最上部からの眺めはどんななのでしょう?
例えば上の写真は鋸山山頂近くの展望ポイントからの風景ですが、これで330mを少し切るくらいです。
ちなみに千葉県は県最高峰が最低(愛宕山408m)という、あまり自慢できない特徴があります。
なおさらこういう高いものが目立つわけです。
それでも房総は周囲が海に囲まれているので登ってみると山頂からは海が見渡せることが多く、それが楽しみです。
山というほどでなくても南房総にはあちこちに見晴台があって軽い散歩からハイキング気分の山まで揃っていて案外楽しめます。
海が荒れてカヤックツアーが中止になってしまった時には臨機応変に海眺めハイキングもお勧めです。
※1
房日新聞 10/30「内房定置網にサケ続々 27日には1トン」
http://www.bonichi.com/News/item.htm?iid=3383
※2
「ちきゅう」情報発見サイト 地球発見
http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/
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