左の連続写真はヤマトマダラバッタが夏の砂浜の熱さにオロオロしている姿です。
データサイズを抑えたかった都合で小さな写真になってしまいましたので分かりづらいですが、脚先が熱くなると脚を交互に上げて堪えています。
本人は保護色で砂と同化していると信じているのでしょう、カメラを向け続ける私に見つからないように動かずにやり過ごしたいのに砂が熱くて耐え難いという状況に陥っています。
しかしとうとう我慢できなくなったのか少しは温度が低いであろう漂着物の上に飛び移り熱さから逃れました。
でも天敵がいればこの時に見つかってしまうのかもしれないですね。
我々が夏の砂浜でアチッアチッを連発して裸足で海まで走っていく時の事を考えると、このバッタは凄い忍耐力ですよね。
熱いところ我慢させてゴメン。
これを見るとバッタでもやはり夏は砂が熱いという事が分かりますが、特に問題が無ければ普通彼らはハマニンニクやハマヒルガオなどの海浜植物の葉の影で過ごしています。
大木の木陰のようにそこは涼しいのでしょう。
このように海浜植物群落はまず彼らの食べ物として、そして暑さや天敵から身を守る場所としてとても重要なわけですね。
海浜植物群落が減るにつれて数が減り、今では絶滅危惧種とされるこのヤマトマダラバッタ(千葉県ランクA、最重要保護生物)が暮らせる海岸が南房総にはまだ残っています。
これ以上そういう場所が減らないよう願っています。
先月の終わりにハヤブサの若鳥を見た場所に漕いで行ってみました。
やはり今回も若鳥が見られ親が面倒を見ています。
来年はここも繁殖地として調べる事になるかもしれません。
ここは海食洞窟もあり、そこではクロサギが以前から繁殖しているのを確認していましたが、イワツバメも多数群れて繁殖活動をしていることが分かりました。
イワツバメの群れはハヤブサの動きに敏感でかなり警戒している様子でハヤブサが飛ぶとイワツバメは上空高くに昇りやり過ごします。
いずれもとても速度が速く美しい鳥ですし、その行動は見ていて飽きません。
ただカヤックから見上げながらカメラを構えてその速度についていくのはなかなか厳しかったです…。
海岸ではハマユウ(ハマオモト)やスカシユリが盛大に咲きました。
ただ暖かくなるのが遅かったからか時期が短かったように感じます。
太平洋岸のグンバイヒルガオ群落でも花が満開になりました。
なかなか人の立ち入らない目立たない場所にひっそりと咲くここのグンバイヒルガオは夏らしい花色が美しいです。
しかしここに来る時の私はウミガメの産卵調査中でマウンテンバイクで砂浜を漕ぎつつなので汗だくヘロヘロだったりします。
記録を終えたら暑さにやられる前に退散する感じです。
勿体無いような気もしますが、本当に砂漠のように暑いのです。
そんな海岸で涼しい顔をして胴長を着て糸を垂れている釣人の忍耐力には飽きれます、もうバッタなみですね!
夏になるとカメ調査で朝が早くなるからか良く出会うのが小さなピョンピョン飛び回る小生物。御存知ハマトビムシです。
写真は漂着したイカに取り付いてお食事中です。
打ち揚がった有機物はなんであろうときれいに食べ尽くしてくれます。先日はライフセーバーの人にこれは何ですか?と聞かれました。
彼らがいつも練習する神奈川の海岸では見られないのでしょう。
フナムシ、ハマトビムシ、ハマダンゴムシがいない海岸なんて本当の海岸とは言えません!
気持ち悪いとか言っている人は夜の海岸に行ってみましょう!もっとウジョウジョ彼らが砂の中から出て来て総出で海岸掃除をしてくれています。
地道な活動ですね…。
それなのに気持ち悪い扱い、さらには海岸掃除の時に彼らの主食である漂着海藻を根こそぎ片付けてしまったりする事で彼ら掃除屋を失い、それを餌にする海鳥の餌場も無くしてしまう事になります。
人のする事は本当に自然の摂理に適っていませんよね。
ハマトビムシ等の砂浜の掃除屋を主食とするシギやチドリの数で、そこの海岸の砂の中の生物密度がある程度想像できそうです。
それは、その砂浜に人の手がどれほど加わっているかの指標にもなると思います。
海岸清掃では有機物を適度に残し、砂を掘り返さないで掃除すれば砂浜の生態系に悪影響が少なく人にも気持ちの良いバランスのとれた海岸が成り立つと思います。
ちなみに最後の写真は館山市の太平洋岸の平砂浦海岸。
ここは滅多に海岸清掃が行なわれないにもかかわらず分解に時間のかかる人工物以外の漂着物はとても少ない海岸です。
それは膨大な数の浜の掃除屋が暮らしているからでしょう。
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藤田連載の「カヤック乗りの海浜生物記」は「海はみんなの家」編です。(変なタイトル…)
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