カヤック日記


2010年9月の出来事!


和田のサーフを飛ぶシギたち 先月お伝えした南房総のスナメリ。
今月も暇を見つけては出かけましたが海岸からも海上でも見つからず…。 あの2日間は一体なんだったんでしょう??

2日目の発見時には数キロ離れて別の小群も見られたほど数が多かったこと、1つ目の場所では岸から50mほどまで接近しボラの群れを追っていたことなどから、鈴野ほか2010,の報告にあるように「秋に岸寄りでの発見が増加する傾向」「秋に岸寄りの海域を利用するのは餌生物の出現と関係があるかもしれない」と同じように考えられそうです。
ということは、その餌と共にスナメリはもう去ってしまったということなのかもしれません。

ボラはスナメリに追い詰められ水面にジャンプを繰り返したので写真が撮れ、写真を東邦大学の白木原先生にお願いして魚類専門の方への同定をお願いしていました。 白木原先生→大気海洋研の猿渡先生→神奈川県立生命の星・地球博物館の瀬能先生と御紹介で「ボラ」と同定できました。 本当にありがとうございました。

根本海岸に打ち寄せる台風12号の大波 スナメリは見つからないものの、ミユビシギのフラッグをまた確認する事が出来ました。
まず2日と3日にそれぞれ1羽を見つけました。 ただし先月末に見た場所と近く、フラッグの組み合わせも同じものがあったため、山階鳥研では同個体の滞在として記録上は同一個体の扱いになりました。 私も多分同じ個体だと思っていますが、フラッグに記号などの個体識別の為のしるしがなかった事が残念です。
その後11日にも同じく和田町で1羽発見。 これは時間がたっている事と羽色が淡く先月のものと印象が違うという事で新規登録されました。 その後はミユビシギは見つかるもののフラッグは見つからず過ぎました。

南房総には今月とうとう台風がやって来ました。
今年は台風がサボっていて逆に何だか気持ち悪かったのですが、秋になってやっとやる気になったようです。 一方ではせっかくウミガメの子が無事巣立っていたので「今年はこのまま全部の卵が波を浴びずに孵化したら良いなぁ〜」という風にも思っていたので複雑です。

台風12号の高潮で巣から流出したウミガメの卵 白浜町の巣は12号台風の接近と上げ潮重なった時に残った全てが波を被りました。 これで卵が死んでしまったかは分かりませんが、根本の8月11日、8月21日の2ヶ所が孵化前に波被りを受けています。

特に8月21日の巣では台風の最も接近した25日に巣から流れ出てしまった卵をひとつ確認していて(写真)、地形の様子から他の卵は既に海に流れてしまったようでした。
この巣は産卵の様子をツアー参加の方や海岸でキャンプをしていた人たちと共に観察していましたので、その大変な苦労を思い返すと何とか残りの卵には生きていて欲しいなという気持ちが強くなります。

全ての巣であれほどの苦労をして母亀が産卵をしていく事を想像すると、改めてその環境の悪さにガッカリします。
改善を、せめてこれ以上の悪化を防がないと…と思います。 南房総市には先月ここで書いた事をまだ伝えていないので、ちゃんと伝えておきたいと思います。


台風12号の高潮に洗われるツルナ ところで大波が寄せる事で大いに喜ぶものもあります。
それは種子が波にさらわれる事で海流に乗り、分布を広げるという戦略を持った海浜植物たちです。 写真はツルナ、ほかにハマユウ(ハマオモト)、スナビキソウ、ハマヒルガオ、グンバイヒルガオなどが有名です。

浮力と耐塩性を備えた種子はいつか旅に出る日を、そしてどこか新たな海岸へ打ち揚げられるのを待っています。 打ち揚がる為にも、陸から海へ旅立つにも台風の大波は大切なものでしょう。
ツルナはその方法で太平洋の多くの熱帯〜温帯域の海岸に見られます。 英名が「ニュージーランドほうれん草」なのは有名ですね。 ちなみに案外美味しいです。

タンポポが風を使うように彼らは潮の流れを使うわけですが、風よりも海流を利用する事で有利なのは海流は川のように永遠に流れ続けているというところでしょうか。
一方、風はそのうち止んでしまいますが、その日その日で流れの向きが様々というところが有利ですね。

新たに見つかったグンバイヒルガオの株 台風の風などにうまく乗った場合はどれほどの距離を移動する場合があるのでしょう?興味深いです。
最後の写真はスナメリ探しの際に新しく見つけたグンバイヒルガオの株です。 無事に旅を終えてここに辿り着いたのですね。
この大きさなら年を越して花を咲かせるようになりそうです。 ただ海水浴場のそばなので夏前に重機で掘り返されたりしなければですが…。

南房総では珍しい植物ですが、希少種というわけではないので自然界の為に護る必要性は低いかもしれません。
護るか護らないかは人の気持ち次第という事になりますね。
さぁどうしましょう…。








台風一過の夕日




















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