今月は南房総でも雪が降りました。
昨日31日は朝起きると庭に5cm近くも積もっていましたので雪景色の海辺を撮りたいと思い早めに出かけましたが海辺は水温の影響が大きいのでしょう、全くというほど雪がありませんでした。
水温が2ケタを下ることの無い南房総で雪景色の海岸を撮るのは難しいです。
ここのところよく通っている海岸に猛禽類が多い事に気付きました。
午前中にはハヤブサがヒヨドリを捕食しているシーンが見られ、日中にはミサゴが沿岸を舞いながら水面を泳ぐ魚を探し、山側ではノスリがホバリングしています。
見晴らしの良い海辺では観察できる可能性が高いのかもしれませんが、同じところに突っ立っていても向こうからやって来てくれる感じです。
ハヤブサの捕食シーンは何度見ても口が空きっ放しになりそうな光景です。
大抵はヒヨドリの群れが水面に出たときを狙っていますが、海上に追い込む事もあるようです。
最後は上空から群れの中にほぼ自由落下の速度で滑り降り1羽を蹴飛ばし水面に落とします。
そして戻ってきて水面に落ちたヒヨドリを掴んで調理場に持って行きます。
右の写真はハヤブサがヒヨドリの群れの1羽を蹴落とした(左下の飛沫)後に舞い上がるところです。
この後優雅にUターンして来て獲物を持ち去ります。
ヒヨドリの群れはハヤブサが現れると遠目にも明らかに動揺し特に攻撃を受けた後には群れの統制も乱れつつ全力で岸を目指します。
彼らの立場になって想像してみるとゾッとする場面なのは良く分かります。
この場合、見ている人が捕食者の目線に立つか、被捕食者に立つかが分かれますね。
ミサゴ(下写真)は水面上高くから魚を探して沿岸を偵察しています。
ボラのような水面でプランクトンを食べながらのんびり群れで漂っているような魚は要注意です。
ボラたちはカヤックで近寄ってもこちらになかなか気付かず2mくらい近づいたところでドタバタと慌てて逃げて行くくらいですから空高くから見下ろしているミサゴに気付くのはなかなか難しいでしょう。
よく掴めるなと思うような大物を持って飛び去るミサゴを案外頻繁に見られます。
ただ個体数は多くないようで場所は限られています。
ノスリ(最下写真)は陸の小動物を探しながらのホバリング。
お正月なら「あ〜やっぱりお正月は凧揚げですね〜〜」と見過ごしてしまいそう(?)なほど定点で舞っています。
そんな場所には大抵トビも多数飛んでいますが、上空でピタリと止まる事は無いですしノスリの腹側は比較してみると白っぽいのですぐ見分けられます。
ところで最も身近な猛禽類と言えるトビに餌を投げて楽しむのはもう昔の事と思っていましたが、先日館山のとある宿で名物として餌付けをしているところがある事を知りガッカリしました。
猿やトンビをはじめとした野生の動物に餌をやる弊害は良く知られていて、与える餌によっては動物の体にも悪いのですから「時代遅れ」と言われる前にやめた方が良いように思います。
餌付けを保護と勘違いしている場合もありますが、それは餌場や棲息適地が開発などで失われた本当に数の減った生物に対して行なう事で十分個体数が確保されているであろうトビには必要ありません。
むやみな野生動物の餌付けは保護にはならず自然の世界のバランスを積極的に崩している事になってしまいます。
動物保護の観点からすればむしろトビだけが自然界では得られないはずの多量の栄養を得て個体数を増やし勢力を拡大するなら自然界で競合している他種が人には気付かれないうちに数を減らしている可能性もあります。
まずミサゴ、ノスリなどの猛禽類との巣環境での競合があるかもしれません。
巣適地が同じようであれば数で圧倒するトビに追いやられている可能性はあるでしょう。
これら海辺に暮らす猛禽類は海に面した断崖や樹上といった同じような条件の場所に巣をつくりますが、主に樹上に巣をつくるトビと高い密度で営巣すればトラブルの元となるでしょう。
他にもトビは他種の獲った餌を脅かして横取りするという事を行ないます。
右の写真はチュウサギが潮溜まりで獲った小魚をトビが追い回して奪おうとしている様子です。
サギには時々しか獲れない貴重な魚を飲み込む前に追い回されるという余計な消費が発生しています。
カロリーで計算してみたら、トビがいるときには魚を獲らない方が採算が良いのかも…。
この時は結局空中で魚を落とし奪われてしまいました。
トビは餌付けの他にもカモメと同じように漁師が捨てる魚を得る事も習得していて自然状態では得られない餌量を得ています。
しかしサギはあまりそれをしません。
港や餌付けでも餌を得られるトビは自然の中からしか餌を得られないサギよりも有利な餌条件に恵まれているにもかかわらずサギの餌を奪うのですから、サギにはどう見ても不利です。
これでは数のバランスが崩れていると想像できます。
トビのほかカラス、カモメ類は賢く人の様子をよく見て上手に暮らしていますから放っておいても大丈夫でしょう。
それよりも賢い彼らから餌を奪われたり競合している鳥がいる事を想像してみると、これら賢者の保護は弱者の立場を追い詰める結果になってしまうのかもしれません。
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