ウミガメの産卵調査は31日で無事終える事が出来ました。
いろいろ心配もありましたが調査自体は問題なく済みホッとしています。
あとは孵化ですが白浜町の6月産卵の巣では今のところ変化が無く、多分6号台風による波被りで卵が死んでしまったと考えられます。
調査主地としている白浜町根本海岸では6月25、28日、7月6、17日、8月18日と今年は5ヶ所の巣があります。
ただし今年は卵確認を行なっていませんのでボディーピットと呼ばれる巣を掘った跡が確認出来ているだけです。
あと期待できるのは3ヶ所。
しかしこの台風12号の波により多くの巣は浸水しています。
なんとか頑張って無事巣立って欲しいものです。
写真は8月の根本海岸キャンプ場。
今年は驚くほど空いていて混んだのはお盆の数日だけでした。
毎年これくらいの人出だと私は本当に心休まるのですが…。
ただ今年はこの海岸で9月10日-11日に屋外コンサートが行なわれます。
いわゆるフェスという形態のものです。
後援と主催にかかわっている南房総市には、まだ孵化を終えていないウミガメの巣がある事は伝えてあります。
このようなイベントは多くの人たちに豊かな環境が残されていることを知ってもらえる良い機会ではあるかもしれません。
ただ心配なのはその人密度の高さです。
砂丘に密生する海浜特有の植生や小生物の住処である潮間帯を圧迫する人の踏みしめの影響がどれほど環境影響を与えるのかを判定するのは難しいです。
私も音楽が大好きですから開放感ある美しい海辺で好きな音楽を聴けるのはきっと素晴らしいことだろうと想像できます。
一方では人気の無い、静かで鳥やウミガメがひっそりと暮らす海辺にこそ本当の自然を感じるのも確かです。
それらをちょうど良い位置で保ちあう事が出来るのか…考えてみても実際のところは分からないですから最低限保ってほしい事は伝えましたので、あとは見守るつもりです。
良い機会ですのでイベントが終わった後に環境評価をしてみたいと思っています。
「昨日ここでイベントがあったの?」と感じられるくらいに立つ鳥跡を濁さずであって欲しいですね。
海岸には仮設舞台などが設置されるそうですが、海岸地形への手加えは無いそうです。
期待する事はまず何よりも「ウミガメの巣が無事である事」、「海浜植生の踏みしめが最低限で済む事」の2点ですが、その他に十分留意して行なって欲しい事の1つがゴミの問題です。
海岸のオートキャンプでは非常に多くのゴミが発生します、車で心行くまで物資が運べるからですが、食糧の入っていたパックを主体に浮き輪、ビーチベッド、簡易テーブルセット、更にはテントまでがゴミになる場合があります。
これらが放置されたまま秋になる事も過去には随分ありましたが、最近は管理が行き届くようになっていたり近所の有志の方が拾い集めてくれたりで何とか環境が保たれています。
今回数千人(?)規模の入場を考えているようですからゴミの問題はどれほど行き届くのか、やや心配しています。
余計な心配だった…となれば良いのですが。
またイベント主催者もホームページ上では「SAVE A BEACH 全国で急速に減少しているビーチを守りたい。」と唱えていますから心配ないと期待しています。
写真のウミガメの巣を守るための柵と思われるものは千倉から和田にかけての海岸で毎年見られるものです。
誰かがウミガメの上陸を確認した時に柵を作ってくれているのだと思います。
もっと簡易なものもありますが、いずれにしても誰かがここのウミガメを見守ってくれているようです。
私がこの地域を調査するのは不定期に6-8月の間、各月2日程度です。
この地域での主な調査目的は「少なくともこの地域でもウミガメが確かに上陸しているという事実を記録する事」と「調査主体としている白浜町の足跡との比較対照」というものです。
ですから他の方による発見痕がある場合は日本ウミガメ協議会への報告への記載は行なっていません。
万が一、2重報告になるのは避けたいという事と一応最初に見つけた人に報告の権利があるという考えによります。
ただ毎年シーズン後に送られてくる集計報告書を見ても私以外にこの海域の報告が見当たりません。
実際数が集計されていない事で南房総市が産卵地として軽視する可能性を心配しています。
そもそも南房総市がここを産卵地だと知っているのかも分からないのですが…。
今年もウミガメ産卵調査の際にフラグという足環の一種を付けているミユビシギを見ました。
このフラグの色で南オーストラリア州で装着された個体と分かります。
これも集計されて役に立つデータですので後で報告します。
皆さんも見つけた時には
こちら
まで報告してみてくださいね。
ちなみに今年は昨年までよりも画素数が高く、感度も良いカメラを得られた事でいろいろと楽に撮影できるようになりました。
画素数が高いと撮影時は小さく写ったものでもPCで拡大すれば十分な情報が得られますし、高感度でも画像が荒れにくいのであれば感度を上げてシャッター速度を早められるので動きの激しい種でも簡単に止められて失敗を減らせます。
これで撮影が下手でも能力以上の記録が得られる事に加え、無理して近寄らなくても撮れることから対象生物に負担を強いる必要も減ります。
テクノロジーの進歩はこういう意味ではとても良いことだと思います。
写真のミユビシギも十分離れて撮り、元の画像上ではちっちゃ〜く写っているものですが、鳥はこちらに気付いて見ていますね。
真夏の雨の中、冬の色をしたダイサギにあいました。
夏羽ではクチバシが黒くなるといいますがこの子は冬色の黄色です。
図鑑によると普通のダイサギはユーラシア大陸で繁殖し日本では繁殖しないので夏にみられないとのこと。
それで夏に日本にいるのはダイチュウサギという亜種だそうです。
なんだかこの種は意外と分類が明瞭でないようで、私も不安で海鳥のページにいまだにダイサギのページをつくっていません。
一方この白いサギ、一般にはそのまんまシラサギと呼ばれていますけどコサギ、チュウサギ、ダイサギとサイズを元に大雑把な名前が付けられています。
昔の人はもう少し大らかだったのでしょうか。
引用、参考元
GREENROOM CAMP
http://www.beachcamp.jp/index.html
山階鳥類研究所「フラッグの付いたシギ・チドリ類を見つけたら」
http://www.yamashina.or.jp/hp/ashiwa/ashiwa_index.html#11
日本の鳥550 水辺の鳥 桐原政志、山形則男、吉野俊幸 著、写真 文一総合出版
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