カヤック日記


2011年11月の出来事


アサギマダラ♂



















マルバグミ果実 10月に一旦秋を迎えたと思いきや春みたいな暖かな日が多かった11月でしたが、それに誘われるように春に逢いに行けなかったアサギマダラに遭遇しました。
春に見られる時と同じくスナビキソウの地下茎から吸汁中でした。 「花の蜜じゃなくて??」と思われると思いますが、これは特に雄に多い行動でフェロモンの原料となるピロリジジンアルカロイドを摂取しているといわれています。
この物質はスナビキソウの含まれるムラサキ科などの植物に含まれていて、オスはこれを蓄えて繁殖地で発香しメスを誘うそうです。

また鳥やクモなどチョウにとっての捕食者達は味覚的にピロリジジンアルカロイドを避ける可能性があり、防御物質として利用している可能性があるとも言われています。
この物質はわれわれ哺乳類にとっては肝臓毒性や発ガン性の可能性があるそうですから哺乳類でないとはいっても捕食者達が本能的に避けるのも頷けます。
その他にもアサギマダラなどマダラチョウ類の生存にとってこの物質は様々な役目を果たしていると考えられています。

大島桜咲く だから数少なくなってしまったスナビキソウを求めてわざわざ南房総にやって来るのですね。
以前スナビキソウ群の沖数百メートルでたまたまカヤックを漕いでいたところ、アサギマダラが沖から飛んで来て真っ直ぐにスナビキソウ群落に向かうのを観察したことがあります。
もっと沖から嗅ぎつけて飛んできたのだと考えられますから、いったい彼らの鼻はどのくらい利くのかと驚かされました。

この暖かさに春先に岩礁帯の周辺で実をつけるマルバグミもたっぷりと実をつけていましたし、オオシマザクラも花をつけていました。 いつまでも暖かすぎて人間も体調が狂いそうでしたが生き物たちは完全に狂ってしまったようです…。

そういえば、普通11月頃はタカラガイの漂着が多いのですが、今年は少なかったような…。 タカラガイが揚がる理由は水温低下なのですが、あまり揚がらなかったのはもしかすると高い水温の影響かもしれません。
気象庁のサイトで調べてみたところやはり今月は平年よりも1-2度ほど海面温が高かったようです。

イソシギ どうりでサーファーが多かったわけです。
きれいな波もありましたし、いつもより長く秋の温かな水を楽しめているようですね。
海辺の生き物たちは水温の影響を受けて気の早い春を満喫(?)していましたが上空は間違いなく季節がやって来ているようで、ひつじ雲がきれいな日もありました。 12月初日は急に寒くなりましたし、水温も徐々に下がってくる事でしょうね。

海岸ではミユビシギ、シロチドリ、イソシギ、クロサギ、アオサギ、カワセミが目立ちました。
写真のイソシギは餌を採る場所を巡ってケンカをしていました。 初めて見たシーンでしたが結構しつこくて激しく、驚きました。
しかし、そこを去って1時間後くらいにそこを通るとさっきの2羽と思われるイソシギが仲良く餌を捕っていました。 仲がいいんだか悪いんだか?

仲良く採餌していた時には上空にトビが沢山飛んでいて、トビはシギを襲うことは無いと思いますが、なんだかそちらが気になっているようで2羽ともチラチラと上空をチャックしつつの採餌でした。 心配事がある時には同種が近くにいるのは少し安心なのでしょう。
ここはハヤブサもいるので、そういう心配でしょうか?ハヤブサがシギを狙うのかも疑問なのですが。

海上ではウミスズメたちがやって来る頃です。
今年も元気にピヤピヤ言っている姿が見られると思います。

ひつじ雲



















引用、参考
旅をする蝶 アサギマダラ むし社

気象庁 「日本近海 日別海面水温」




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