カヤック日記


2012年1月の出来事


夕日往くイルカに付き纏うカモメ類 昨年の元旦に館山市沿岸でイルカに遭遇したことをここで報告いたしましたが、今年も新年を迎えた16日にイルカに遭遇する事が出来ました。
2011年夏にも館山市の太平洋岸でイルカが時々見られると漁師さんから聞いていて、何度か言われた辺りを探していましたが見つける事が出来ませんでした。
そして半年が過ぎた1月になって、久しぶりに行ったその場所でイルカを見る事が出来ました。

この時見られたのは4頭で、背ビレの形やジャンプした時の姿からミナミハンドウイルカだと思われます。 次の日にも同じ場所で観察が出来ましたが、その後姿が見られなくなりました。
31日には昨年の元旦にイルカが見られた海域にも行ってみたところ、またほとんど同じ場所でイルカを見つける事が出来ました。
この時も数は4のようで特徴ある背ビレの個体が同じく見られたことから、おそらくこれら2010年9月以降に館山市の太平洋岸で見られるイルカの小群は当初の3頭を含む同じミナミハンドウイルカの群れだと想像しています。

暴れてます… 2010年の夏から数えて1年半以上経ち数が増えた事から出産があった可能性は高いと思います。
…という事は群れに雌が含まれている可能性がありますね。

行動範囲は1998年以降定着していた群れと不思議なくらい一致していて、この特定の海域にミナミハンドウイルカにとってどんな好条件があるのでしょうか?とても興味深いです。
2010年に観察していた時点では以前の群れほど人馴れが見られず、観察接近による行動変化が多く見られたことや移動範囲が広く遊泳も早いなどの条件から、しばらくは岸からの観察の方が良さそうだと考えています。

1つ目の観察ポイントと、もう1つの観察ポイントの距離は約10km離れており、またその間の区間では過去の観察時にもイルカに遭遇した事が無く、おそらく定置網を避けてかなり沖を行くのだと考えています。
このような条件からするとカヤックで漕ぎながら探し、観察するよりも岸から車を使ってポイント毎に探索、観察する方が無難なようです。

ジャンプ! カヤックで間近に観察したり、水中で撮影をし、個体識別を行ないたいですが、もう少し我慢して行動パターンが掴めたらその段階に進もうと考えています。
あまり気長に構えていると群れが去ってしまう可能性もありますが、焦って観察しイルカに嫌われた挙句去って行ってしまうという事だけは避けたいと思っています。
なので今回も観察場所はここで明記していません。
断続的な観察であっても継続する事で何か貴重な情報が得られるかもしれませんから大切に見守っていきたいと思っています。

イルカの観察で海辺のやや高くなった岩の上などに数時間も立ち続けていると周辺には鳥たちがやって来ます。
観察している場所は山が海に迫っているので海辺の鳥と山の鳥が混在している賑やかな場所です。
ハクセキレイ、イソヒヨドリ、ヒヨドリ、に加え鮮やかなショウビタキやメジロ、ホオジロ、ムクドリ、モズなどが入れ替わりやって来ます。 空の上ではトビが多数舞い、海上にはミサゴ、ノスリやハヤブサも時々現れます。


ショウビタキ そういえばイルカが好んで沿岸に長い時間留まるのはほとんど人家の見えない海岸線です。
イルカが落ち着く場所としてはやはり人気が少ないのも条件になるのでしょうか?
それとも環境が厳しいために人が岸に住まない様な場所は海が豊かだということなのでしょうか?

いずれにしてもイルカの見られる場所と鳥の密度の高い場所が一致しているのは面白いことだと思います。
そういう場所はこれから先も手付かずに残しておいてあげないと彼らの居場所がなくなってしまうかもしれないですね。









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