アカウミガメの産卵シーズンが今年も終わりました。
6月から毎朝白浜町の根本、砂取から川下という海岸を歩き、母ガメの上陸した足跡を探します。
またこの間の各月数回ずつ南房総市の名倉、千倉から和田、館山市の平砂浦という産卵地も自転車を用いて産卵痕を記録しています。
8月に入ると6月に産卵された巣での子ガメの脱出の確認も同時進行します。
更にはこれらの調査時にはいくつものウミガメの死骸漂着にも出くわし、報告します。
ウミガメ産卵調査は手探りで始めた2001年から10年が過ぎました。
しかし毎年のNPO日本ウミガメ協議会への報告と、このホームページでお知らせしている内容以外の発表はしていません。
記録内容は母ガメの上陸回数、位置、痕跡の計測が主ですが周辺環境の記録として多くの写真を撮影しています。
これらがいつどうやって役に立つのかは分かりませんが、なにか問題が起きた時に持ち出せば要望に説得力を持たせる事ができるかもしれないと考えています。
元々、発表する為や、ウミガメを保護する前提で記録を取り始めたのではなく、現状や実際に起きたことを記録し、南房総でのア
カウミガメの産卵の実際を知る事が目的でしたので、私自身の目的は果たせています。
しかし記録した内容はやはり公表する事で多くの人の目に触れ、少しでも多くの情報を必要としている研究者の役に立てるかもしれません。
発表するのはなかなか大変なのですが、10年を区切りに何か形にしておく必要も感じています。
頑張らないと…。
ともあれ今シーズンの南房総でのアカウミガメ上陸状況をお知らせします。
(根本、砂取、滝口、川下、名倉、千倉、瀬戸浜、白子、丸山、和田=南房総市、平砂浦、布良=館山市)
日付は上陸日(平砂浦、千倉〜和田は毎日観測でないので足跡発見日)
6/4川下(8/22脱出)、6/10川下、6/12滝口(8/25脱出)、6/9名倉、6/22砂取、6/22砂取(8/22脱出)、6/24川下(8/26脱出)、6/25砂取(8/23脱出)、6/27川下、7/4平砂浦、7/4平砂浦、7/4平砂浦、7/6滝口、7/7滝口、7/9布良(砂取港漁師さんより情報)、7/11根本、7/13根本、7/17川下、7/18平砂浦、7/22川下、7/23砂取(鈴木祐一さんより情報)、7/25名倉(海の家「うみなり」さんより報告)、7/27名倉(海の家「うみなり」さんより報告)、7/31
川下、8/6滝口、8/7根本、8/8根本、8/8滝口、8/14滝口、8/19平砂浦、8/23滝口、8/27根本、8/27根本といった状況です。
今年は台風のウネリは南岸を中心に2回ほど入ってきましたが、いくつかで浸水があり、脱出がまだ確認出来ずにいる巣もありますが、ほとんどは冠水せず無事で過ぎています。
上陸回数も順調で南房総のアカウミガメにとっては良いシーズンだったようです。
ただし今回も街灯の光に引き寄せられた子ガメを海岸道路の側溝の中などで14個体発見し海に放しています。
写真は放した後に海に繋がる潮溜まりを泳ぐ子ガメです。
親ガメの自然状態での遊泳は過去に小笠原や、南房総でエスキモーロールしながら観察した事がありますが、子ガメの遊泳をちゃんと見たのは初めてでした。
ヒレの使い方など同じくヒレを使うカヤッカーとしてはとても興味深いものでした。
今度パドリングに取り入れてみたいと思います。
今月は珍しい鳥にも逢いました。
コグンカンドリという種で、図鑑によると分布は太平洋・インド洋
の熱帯・亜熱帯海域およびトリニダード諸島となっています。
日本には台風通過後などに概ね日本全土に飛来する事があるそうですが、南房総ではかなり珍しいでしょう。
写真のように頭が白いのは幼鳥で、まだ経験値が浅いために本来の生息地から離れてしまったのでしょうか?
場所は南房総市白浜町滝口地区。
この時はセグロカモメを追い回して餌を奪おうとしている様子でした。
追われていたセグロカモメも、迷鳥とは言えませんが本来はこの季節にはユーラシア、北アメリカ北部で繁殖中のはずで、多分怪我などを負っていて旅が出来ずに留まっていた個体でしょう。
過去、2004年にはもっと珍しいグンカンドリを確認していますが、写真が鮮明でなかった為に種同定に少し自信がありません。
2004年9月グンカンドリ観察について
2004年9月の日記
こうやって時々遠くからやってくる生き物に遭遇するのも定点観測の面白さのひとつですね。
更にもうひとつ珍客がありました。
こちらの方が珍しいようですが、残念ながら死骸の漂着です。
写真の魚で、なんだか変だな…と見つけたときは見入ってしまいました。
胴体の後が埋もれてるな。と思ったら無かった!
なんだこりゃ?と思い、ふとマンボウとおんなじ形だ!と気付きました。
マンボウのコドモかぁ〜珍しいと思いつつ調べてみるとクサビフグという近縁種でした。
検索したところ国立科学博物館の魚類研究室が引っかかり、連絡したものの繋がらず、もうひとつ載っていた神奈川県立生命の星・地球博物館でも情報を集めているとの事で連絡しました。
クサビフグを持って帰り冷凍庫で凍らせて発送しました。
その後標本処理され博物館の資料として登録されました。
少なくとも南房総での確認は珍しいようで詳細を調べられているようです。
結果や発表に繋がれば楽しいなぁ…と少し期待しています。
それにしても面白い魚でした。
今月は夏とは思えないほど富士山が見え続けていました。
本当に毎日のように!
こんなのは私が館山に来てから初めてで、気象による影響の説明を聞いてもやっぱり不思議な感じがしました。
昨年、九州で間近で見た桜島、阿蘇山の影響もあり火山に興味が強まっています。
南房総南端から見渡すと富士山、伊豆大島、三宅島、御蔵島といった日本で有数の火山が見渡せます。
2000年の三宅島の噴火はたまたまイルカを見に白浜の海岸に行った際に遥か水平線に上がる真っ直ぐな白い雲を見ています。
「なんだか変な雲だな?」と思い家に帰ったところ三宅島噴火のニュースを知りました。
三宅島は御蔵島にイルカを見に行く際、1999年に寄ったばかりでしたので身近に感じる事が出来ました。
1986年にも噴火している伊豆大島もいつ噴火しても不思議はないのですし、火山としては印象の薄い御蔵島さえ「過去100年以内には噴火していないが、過去1万年以内に噴火などの火山活動のあった火山」に分類されています。
ましてや富士山となれば…今年はいつも見えていただけに噴火したら館山からでも噴煙を望む事になるなぁ…とよく考えました。
昨夜(8/31)のフィリピン地震による久しぶりの津波注意報にしても、いつでもそういう事が起こりうる事を忘れずに過ごしていきたいですね。
参考図書
日本の鳥550 水辺の鳥 増補改訂版 桐原政志 解説・山形則男 写真・吉野俊幸 写真(文一総合出版・ネイチャーガイド)
活火山富士―大自然の恵みと災害 読売新聞特別取材班+小山真人 著(中公新書ラクレ)
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