カヤック日記


2013年1月の出来事


紅葉したハマボッス 南房総の海岸線は秋と春が一緒になったような姿になっています。
ススキが大風に揺られ、岩場の海浜植物は紅葉のピークを迎えました。 小さな小さな地べたの紅葉はモミジやイチョウのようにもてはやされませんが、静かに地味に静かな海岸を彩っています。 全国的に雪に覆われた日も南房総の南端には雪が降らず、しかしその更に南に見える伊豆大島には雪が被っています。

他所は冬真っ盛りといった、その頃からセイヨウタンポポ、ハマダイコン、スイセンが咲き始めました。 イソヒヨドリ、ノスリなどの行動も忙しなくなってきました、もう繁殖の下準備が始まっているのでしょうか。
こんな感じで黒潮という暖流にいつも暖められているこの海岸には冬が見つけられません。

海の中も春らしくなってきました。
浅瀬には海藻が盛大に繁ってパドルにしつこく絡んできます。
海藻の合間に見える海底には魚が隠れていて静かに侵入すればじっくりと水中の様子が楽しめます。

館山湾、沖ノ島の海 この季節はプランクトンが少ないですし、海藻で濾すようにして濁りが消えるので海藻の森の水はいつもきれいです。 風弱く晴れていればやや厚手のアンダーに防水性のアウターの2枚で漕いでも汗ばむくらいです。
やっぱりシーカヤックは冬です。少なくとも関東なら天気さえ選べば年中できる遊びなのは間違いないのですね。

とは言え凄まじい北西風の風が延々と数日吹き続けるのが普通ですから、その合間を縫ってという遊びです。 そんな厳しい日が続くからこそ合間の穏やかな日がますます素晴らしく感じられるのかもしれません。
冬ですから寒い日はもちろん寒いです。それでも釣りカヤッカーは冬の案外寒い日でも関係なく漕いでいて、というか浮んでいて、頑張るなぁ〜と感心してしまいます。
漕いでいるツーリングのカヤッカーより浮んでいるだけの釣り人の方が辛いはずですが、それほどに獲物の魅力が勝っているのでしょう。
カメラなカヤッカー、バードウォッチングなカヤッカーも増えるといいなぁ…とか思いますが、なかなかいないですね。残念。

イルカ、この写真で4頭と確認 今月は久しぶりにイルカを見つける事ができました。
以前いた7頭の群れの一部は伊豆半島東岸で確認されていますが、そのうちの4頭が房総沿岸に居残った様子です。 ただし離れた距離での撮影でしたので、細かい特徴の分かる写真が撮れず正確な事は言えません。

また近くで背ビレの写真を撮れればと思い、通いましたが、その後は残念ながら一回だけの確認に終わりました。 懲りずに通ってチャンスを得たいと思います。
とにかく彼らが元気に泳いでいる姿を確認できた事は本当に幸運でした。

今月は年4回発行の季刊誌「Kayak」の発売もありました。
「カヤック乗りの海浜生物記」には海の生物の夜の生態や睡眠について書いてみましたが、調べものなどをしながら書いていると自分で書いた事に興味が増すのがいつも面白いです。
今回も日が落ちてからの海鳥の行動の移り変わりに目が行くようになっていました。


白く美しいノスリ ある日、夕日を撮りに行った海岸でミユビシギ(写真は先月の日記の3枚目にあります)を見つけ、ほぼ真っ暗になるまで観察できたのですが、発見したあとから暗さで見えなくなるまでずっと磯で餌を獲っていました。
食べていたものは分かりませんでしたが、とにかく食べ続けていました。
潮の上げ下げで海になったり陸になったりするところ(潮間帯)の生き物を食べている彼らにとっては太陽の有無よりも水面の状態に合わせて行動する事の方が大切なのは想像がつきます。
また南半球から渡ってくるような鳥ですから闇の中でも目は利くのですから、ますます太陽にあわせる必要はないのでしょう。
あの後どれだけ採餌を続けるのか確認してみたらまた何か面白い事が分かりそうですが、なかなか大変ですね…。

空気が澄んで夕焼けが夕日がとてもきれいな季節です。 是非、海に沈む夕日で終える一日を過ごしに来てください。




夕日とススキ(ハマススキ?)























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