カヤック日記


2014年2月の出来事


餌を受け渡した直後のハヤブサのツガイ。




















写真:餌を受け渡した直後のハヤブサのツガイ。

先月少し触れましたハヤブサの繁殖活動の確認ができました。 今まで使われた事のある2ヶ所の営巣候補地ではなく、同じエリアの違う岩の窪みにメスが出入りしているのが確認でき、枯れ枝の巣材も見えました。 以前には途中で巣を放棄して別の場所に巣を作り直すこともありましたので、まだ分からないですが、とりあえず繁殖は進行しているようです。
いつものようにカヤックで海上からの観察ですが、半日で巣の位置と親鳥の行動がいろいろ観察できました。 2羽で飛行している写真はオスからメスへ空中での餌の受け渡しを終えた直後です。 受け渡しの瞬間は残念ながらうまく撮れませんでしたが、これを見て今年も繁殖観察ができることを実感することができました。 十分に距離を置いて観察することで影響を最小限にして、頻度もあまり高くし過ぎないように注意したうえで観察を続けたいと思います。 少なくとも漁師の人たちや、磯上の釣人よりは距離を保てているので、ハヤブサにとっては慣れた距離であると考えられる範囲で観察しています。

南房総市岩井の巨大なソテツ。樹齢1000年以上と言われています。




















写真:南房総市岩井の巨大なソテツ。樹齢1000年以上と言われています。

今月も自転車で海から山にかけてを漕ぐことを繰り返しました。 主には良く知った海岸に流れ込む川を選び、地図で自転車を漕ぐのに適しているか想像してから、実際に走ってみるという感じです。
房総の川の多くは水量が少なく海岸線をカヤックで漕いでいても、あまり存在感がない様な川が多いですが、そんな川の河口に広がる砂浜もその細い川から運ばれてきた土砂で形成されているのだと思うと、大きな川よりもむしろ興味が湧きます。 それに細い川ですから、源流も身近な場所のはずです。
実際に遡って行ってみると、そんな細い川でも上流域にダムがある場合が多く、ダムから下は極端に水量が少なくなっています。 更に上流に行ってみると川辺は脆い岩の崖がとても多く、どこでも崖崩れが多発していました。
崩れた岩は砕かれながら川に落ちていますので、増水した時に徐々に下流に流れていけば最後には海に出て砂浜に積もった砂の仲間になり、砂浜を維持したり拡大してくれたりします。 崖崩れがこんなに普通だからこそ房総には良い砂浜がたくさんあるのだと納得しましたが、それは本来の姿で、ダムが川を寸断してただでさえ細く弱い水の勢いと、砂を奪っている様子を見る限り、そのような川の下流にある砂浜の将来が心配になりました。
砂浜では砂の安定を狙って様々な人工物が設置されていますが、人が造ったもので過去に供給された砂をいつまでも保つのは無理なのではないでしょうか?

山中の崖崩れ、すぐ下の川を埋めて、橋の一部を破壊していました。小規模なものは普通に多数みられます。































写真:山中の崖崩れ、すぐ下の川を埋めて、橋の一部を破壊していました。小規模なものは普通に多数みられます。

河口に流れ着いた砂が留まる一方で、陸の方に吹き飛ばされ砂丘になる砂があり、海の流れに乗って深場や下流にいく砂があって、また川を下ってやって来る砂があるという、自然の繰り返しの形でしか砂浜は保てないのではないでしょうか? (…ということは、もし地面の隆起や噴火による造山がこれから先なかったとしたら、遙か遠い将来にはすべての山は土砂となって川を下って、海辺になるということなのですね。)
ダムの環境への影響はいろいろなところで取り上げられますから、頭ではある程度分かっていたつもりですが身近な場所の実際の状況を見ることで、サイズこそ小さいけれど注意が必要な事だと今更ながら感じました。 その砂浜がウミガメの産卵地であったなら、砂浜の減少は当然大きな問題ですし、砂浜や砂丘に依存している海浜性の植物、砂浜に生息する小さな生物、それを餌にする海鳥たちにとっても深刻な問題になるでしょう。
大きなダムは影響が大きく問題視されることが多いですが、こういう小さなものの積み重ねによる環境変化についても注視しておく必要を感じました。 そういう点でも自転車は有効な手段になりそうです。

館山市最南端の海岸、布良のあいど浜の雪景色。




















写真:館山市最南端の海岸、布良のあいど浜の雪景色。

今月は日本中が大雪に見舞われましたが、滅多に雪の積もらない南房総の南端にも雪が積もりました。 昨年も雪が積もり、念願の雪景色の南房総の写真をやっと収められたと思っていたのですが、2年連続はとても珍しい事と思います。
大雪の影響で千倉の花畑では最盛期を前に花が倒れてしまったり、山に行くと林道が雪の重さで倒れてきた樹木で通れなくなっていたりとこちらでもいろいろな影響があったようです。 我が家も数時間の停電がありました。それでも山梨はじめ、異常な雪に大変な被害を受けた地域に比べればなにも起きなかったに等しいのかもしれません。 南房総は幸運な暮らしやすい土地なのだと再確認したりもしました。

八丈島(左)と御蔵島と三宅島(右)。




















写真:八丈島(左)と御蔵島と三宅島(右)。

大雪の後には空気がきれいになり、滅多に見られない八丈島を今までになくくっきりと見ることができました。 八丈島は写真の左の島です。 右は三宅島と御蔵島が重なったもので、一体化して見えますが右の山頂が三宅島山頂、左の山頂が御蔵島山頂ということも確認できました。
三宅島は南房総から100qほど離れていますが、八丈島はさらに100qほども離れています。 それでも標高が850m以上もあるおかげで南房総からでも少し高い所にいれば見ることができるのです。 三宅島は775m、御蔵島は851mといずれも南房総の山々とは違い、島と言っても高い山ですね。
ちなみに千葉県は日本全国で最も最高標高の低い県という平べったい土地で、なんとこれだけ広い県で最高標高は408mだったりします。 ということはこちらからは見えていても八丈島から千葉県はほとんど見えないのでしょう…。

鮮やかなオオキンカメムシ。




















写真:鮮やかなオオキンカメムシ。

雪の後には山に入ると所々で写真の鮮やかなオオキンカメムシを見ました。 常緑の木の葉の下で仲間たちと集団で越冬していたものが、振り落とされてしまったようです。
常緑照葉樹の森が広がる南房総の山は冬でも青々していて、花は見られなくても鮮やかな緑に癒されます。 その種類も多様で、図鑑を持ちながら自転車を漕いだりして、新しい樹木の名前を覚えることを楽しんでいます。
また山には神社や祠が非常に多く、どこにでも見つかるという感じです。 どんなところにいても誰かに見守られているような感じになります。
そういえば、とある山頂では不思議なものを見ました。 その山頂は水平距離で海岸から1qほどしかないのですが、高さは170mあります。 そこに1mから2mほどの大きさの石が転がるようにあるのですが、それらの石に水で削られたような痕と貝類が穴をあけて棲んでいたような小さな窪みがあるものもありました。 専門的な知識がないので分からないのですが、まるで海辺にある石にそっくりで、どうしてここにそういうものがあるのだろうと不思議でしばらく眺めてしまいました。

不思議な石たち。




















写真:不思議な石たち。

家に帰ってから、昔に津波で流されてきた石、津波石ではないかな?と考えてみたりしましたが、縄文海進の時代に水面が今より高かったとはいえ2〜3m程度です、それでも南房総は隆起を繰り返していて標高20mくらいのところからサンゴなどが見つかっているのです。 が、それにしても標高170mのところで海辺のような石に出会うのはなんだかとても面白いなと思いました。
ただし、もっと調べないと成因はよく分からないので、確かな事ではありませんので…ご了承ください。 分からないから面白いのですが。
こういう海だけを見ていたら見えない「海」を知るヒントがまだまだありそうで房総低山自転車散策はまだまだ飽きそうにありません。

雪の港とアロエの花。




















写真:雪の港とアロエの花。






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