カヤック日記


2014年4月の出来事


浮島近くの岩場に見られた重油の漂着。























写真:浮島近くの岩場に見られた重油の漂着。

先月東京湾湾口で沈没した船舶から漏出した重油の漂着は収まってきたようです。
沈没現場海域に近い浮島周辺海上では微量の油膜が見られ、僅かな臭いもしましたが限られた範囲に留まっていました。
周辺の海岸線を見る限り、人の出入りする砂浜や港の油については十分処理されたようです。

ただし東京湾の中でも人目に付かない海岸線は多く、そういう場所の処置は後回しになっているようです。
写真の岩場は沈没現場に近い鋸南町勝山の港近くですが、徒歩でのアクセスは難しい場所で、御覧のようにひどく汚染されていました。
このような場所は後回しになっているだけで、これから順に処理が行われるのかもしれませんが、今回の漂着範囲の広さから想像すると対応が期待できないような気がします。
とりあえずはもう少し状況を見守り、小規模の油に関しては自分でも出来るだけ除去していくという対応をしていきたいと思います。

海藻の森。





















写真:海藻の森。

写真のように海上は海藻が密生し、春の新緑ならぬ新海松に染まっています。
海藻のこの独特の褐色を表現するのはなかなか難しいですが、日本語は素晴らしく海松色(みるいろ)なんて素敵な名前がついているのでした。
褐藻は大抵これに近い色ですが、ワカメは茹でたら緑になりますし、ヒジキは黒くなってしまうので生きている姿を最初に見た時には食卓で見る姿との違いに少し驚きます。
海松色はフィールドでなければ出会えない色のひとつのようです。

海藻の森には小さな生き物が海松色に擬態して暮らしています。
カヤックのデッキやスプレイカバーの上でそれらの海藻を振ると細かな生き物が落ちてきます。
特に目立つのは写真のようなカマキリみたいなナナフシみたいな細長いものです。
ワレカラという名前がついていて虫ではなく甲殻類、エビやダンゴムシの仲間で、四方に伸びた鎌状の脚で海藻にとり付いて生きています。
写真の背景はスプレイカバーですが、しっかりしがみ付いてしまい、なかなか離れてくれませんでした。
泳ぎながらだと案外見るのが難しくって、しかし陸にいたのでは出会えない生き物のひとつですね。
こういう観察にもカヤックはお手軽で便利です。

ワレカラの仲間。




















写真:ワレカラの仲間。

先月繁殖活動が確認できたハヤブサのツガイはなんと今月に入ってから、別の場所で巣を確保しました。
写真はちょうどその変更後の巣に入って行ったメスの姿です。
前の候補に入っていくと思っていたら、昨年の巣穴に入って行ったのでビックリしましたが、この時に確認できました。

ここは昨年にもヒナが無事巣立った場所で、やはり安心なのでしょう。
しかし巣材を散々積んであった前の候補はどうして捨てたのか?前にもこういうことがありましたが、その時は巣材を盗みに来るトビが親鳥のいない間に出入りしているのを見ましたので、それを嫌ったのかな?と考えていました。
実際のところは分かりませんが。
今回もともあれ、繁殖は続いている様子です。

巣へ向かって飛ぶハヤブサ。




















写真:巣に向かって飛ぶハヤブサ。

潮干狩りに最適な季節、つまり昼間に潮がよく退く季節なり砂浜を自転車で走るにも快適な季節になりました。
気候も快適ですし、砂浜も広い、それでいて砂浜にはサーファーか釣り人くらいしかいないという季節です。
先日、和田の砂浜を走った時には海岸道路を走っていたレンタルのアシストサイクルに乗ったカップルが多分真似をしたのでしょう、砂浜に入って来ました。
やや、大丈夫かな?と思ったら意外とスイスイ走っています。
この手があったか!と思いましたが、やはり自然の中ではマンパワーで遊ぶのが一番ですのでマウンテンバイクの太いタイヤに頑張ってもらいましょう。

貝殻の浜を歩くマルチビゴミムシダマシと思われる甲虫。




















写真:貝殻の浜を歩くマルチビゴミムシダマシと思われる甲虫。

海辺も春になって生き物が多くなってきています。
海浜植物は様々な花を咲かせていますし、砂丘の植生の下にも藻場と同じように小さな生き物の暮らしが見られます。
先日は写真の5oほどしかない小さな丸っこい甲虫がたくさん砂浜を散歩していました。
似たような種が多くて同定が難しかったのですが、どうやらマルチビゴミムシダマシのようです。
ちょっと酷い名前だという意見もありましたが、仕方がありません…。

砂浜を自転車で漕ぎ、時々止まっては観察を楽しむことで、こんな地味に暮らす生き物たちのお蔭で健全な美しい砂浜、砂丘が維持されているという事を実際に見て感じてもらえる機会になればよいなと思っています。
もちろん広い砂浜を走るのは気持ちが良いですし!
夏は海岸が暑くなりますから自転車ツアーを予定していませんので、是非この5月には砂浜を走ってみてください!

鮮やかなハマエンドウの花。




















写真:鮮やかなハマエンドウの花。




お知らせ



「kayak〜海を旅する本」Vol.44
発売中
店頭希望小売価格=840円(税込み)
藤田連載の「カヤック乗りの海浜生物記」は26「回遊」編です。
どうぞ宜しくお願い致します。

購入御希望の方は写真をクリックしてください。





過去の日記一覧へ