写真:館山湾沖ノ島での台風前の夕焼け。
今月はきれいな夕焼けと夕日を海上で沢山見る事が出来ました。
ただほとんどは個人的なパドリングの時で、残念ながらお客様と見る機会にはあまり恵まれませんでした。
週末に重なることの多かった台風が影響し、ツアーの中止が多くなってしまった事も影響しています。
しかし台風を含め自然の出来事は全て地球を維持するために必要な物理現象なのですから、文句を言っても仕方ありません。
その中で生物は生きて来て進化し、我々ヒトのような生き物も現れてきたのですし、そのうえでシーカヤッキングのような楽しみも与えられているのだと考えれば、漕げる日があるだけでも幸せな事なのかもしれません。
写真:テトラポッドの上で夜に備えるウミネコの群れ。
ただ最近の異常とも感じられる自然現象の規模の大きさがヒトの活動による影響をどれくらい反映しているのかは気がかりです。
真っ赤な夕日もヒトが作り出し空気中に放った塵が今ほど多くなければ、これほどには真っ赤にはならないのかもしれません。
しかしやはり自然の中で見るそういう劇的な地球の表情はやはり目を引き付けられ思考を停止させるくらい興味深いものだと思います。
今月訪れたいくつかの台風はいずれも大型で日本を目指すかのような進路で南房総もかなりの被害が見られました。
そんな台風の前後には夕日が赤くなる日が多く、また雲も普段とは違った激しい表情を見せます。
また台風が去った後には空気が澄んで深い濃い色の空とくっきりとした太陽や月に出逢えますので、南房総のような自然豊かな環境で暮らすうえでそれはとても楽しみな事です。
写真:日没後の館山湾。
今回、このページでは皆さんに実際に海でお見せできなかった、海上や海辺で出逢った夕焼けを多めに載せてみました。
中止でお越しになれなかった方も、これらの写真を見て南房総での夕焼けを見ながらカヤックや自転車を漕いでみたいと思われた方も、是非ツアーにご参加ください。
カヤックツアーは通常15時頃解散となっていますが、ご希望を頂いた場合には時間をずらして夕焼けツアーも実施しています。
少し寒い季節に入りましたが、これからは更に空気が澄んで夕焼けのきれいな季節ですし、日没後に上陸し片づけた後に見る星空も南房総は想像以上にきれいです。
写真:秋の雲と伊豆大島。白浜より。
今月は自転車ツアーの時期に入った事もあり、内房、外房の自転車ツアーエリアの状態の確認にもよく出かけました。
スポーツとして自転車に乗った事がない場合、自転車はこれからの季節には風を切るので寒いのではないか?と思われる方も多いようです。
しかし実際には日差しがある日には汗ばむほどで、冬の間に水に浮かぶのは気が引けるという方には最適な運動になるでしょう。
実際、私は前の冬の間に自転車を漕ぐ頻度を増やしたことで体重を随分減らす事が出来ました。
ダイエットにもおすすめですね。
写真:スケールの大きな富津の海岸線。
シーカヤックは岸に沿って海側を進み散策しますが自転車では岸に沿って岸側を進みます。
潮の干満を考えるとそこは海だったり陸だったりする場所ですからある意味同じ場所を違った方法で進んで行っているのだという事になります。
しかし水がある時と水がない時でそこに見られるものが全く違うという事が自転車に乗って海岸線を見てみると良く分かります。
海の水辺には多くの亡骸が見られます、多くは貝の仲間で水の中で暮らしていたものが外殻だけを打ちあがらせて、その水の中に存在していた事を示しています。
水の上を漕いでいた時には見えなかった生物の存在が、陸の上を行く時にむしろ多く確認できるというのは面白い事です。
写真:富津の魚つき林から見下ろす東京湾。
単に房総半島といっても貝殻の種類は非常に多様で、しかも海域によって大きく様変わりします。
南房総で私が見慣れた微小で美しい貝殻は、東京湾を北上した例えば富津のような東京湾の中央部にはほとんど見られず、代わりにきめの細かい砂の中で暮らしている大型種の貝殻が海岸を埋め尽くしています。
自転車でそのような海岸を見た後に漕ぐことで、そこの海に理解が深まりやすいと思えます。
また海岸に近い森の中を自転車で漕いでみるとそこの海がなぜ豊かなのかを実感することができます。
そういう森は魚つき林として保護されていたりすることもあります。
写真:砂丘上のハイネズ群。細い道は地元の良い散歩道になっている。
富津の砂丘では南房総ではあまり見られないハイネズが広い範囲で茂っていて見晴らしがよく、しかし砂がしっかりと留められたとても自然的な雰囲気の漂う楽しい遊歩道も見られます。
館山市の平砂浦の砂丘などは松枯れで農薬散布、伐採、植林など問題が見られますが、防風の役目は低くても飛砂の影響を十分に抑えながら遊歩道としても明るく親しみやすいハイネズ砂丘を広げるのは将来的な管理を含めても良い方法なのではないでしょうか?
写真:マークを付けたメダイチドリ。水色のフラッグと呼ばれる印が脚に取り付けられている。
今月も9月の九十九里でのトウネンというチドリに続き、マークを足に付けた鳥に逢いました。
今回は南房総で、メダイチドリという同じくチドリの仲間でした。
これはやや大型のチドリでマークも大きく確認しやすいものでした。
フラッグというプラスチックのマークに今回は文字も記入されており、それは一度再捕獲があった事だと分かりました。
報告は済ませましたので、後日調査機関から詳細の連絡があると思います。
写真:夕焼けに照らされた崖と青空を同時に映し出した水面。
最初にこのメダイチドリがマークを付けられて放たれたのが宮城県は「鳥の海」という海に接した汽水湖でした。
ここは2011年の震災の際に大変大きな被害を受けた場所で、今でもその影響は強く残っているそうです。
そのような場所で変わらず鳥の調査が行われている事に驚きましたが、そういう場所であるからこそ生物の動態や数をしっかりと記録していくことが大切なのだろうと思いました。
またその鳥に出逢ったことで私自身は鳥の海という場所の状況に興味を持つ事が出来、インターネット越しではありますが復興はまだまだこれからなのだという事実を知りましたので、マークを付けたこの小鳥は貴重なメッセンジャーとしての役割も果たしているのだと感じました。
鳥の海周辺含め、多くの被災地の完全復興を願いたいと思います。
写真:西岬への日没。
鳥の海(亘理町観光協会)
渡り鳥と足環 - Bird Banding - 環境省/山階鳥類研究所
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