カヤック日記


2014年12月の出来事


大時化の館山湾と館山市内を望む岩場。ハマボッスはタネを満たして春を待っています。




















写真:大時化の館山湾を望む岩場。ハマボッスはタネを満たして春を待っています。

明けましておめでとうございます。
昨年はカヤックツアーを通常営業に戻しましたので、久しぶりにお会いできたお客様や、初参加のお客様にもお会いする事ができるようになり、やはり再開して良かったと思いました。
また今年も自然の動きには十分注意しながら、しかしだからこそ安全に楽しめるツアーを行っていきたいと思っております。
マウンテンバイクを使った海岸散策の方も今まで以上にルートに工夫を凝らして、無理なく安全に楽しんで頂けるよう更にルート探索を続けています。
今年は特に砂浜に特化した今までのルート設定に、海を見渡せる小高い海に接した丘などもルートに加えることで、間近から見る海辺の姿に加え、高台から海を俯瞰することで見えてくるものも、知って楽しんで頂きたいと考えております。
徒歩よりも機動性に優れ、気楽に行動範囲を広げられるという自転車の利点を最大限に利用することで、様々な角度から海を知って頂けるようなツアーにしていきたいと思っております。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

鋸南町の小高い丘から望む富士山と大黒山。徒歩だとそこそこ歩く海岸からの道のりも自転車ならちょうど良い距離です。




















写真:鋸南町の小高い丘から望む富士山と大黒山。徒歩だとそこそこ歩く海岸からの道のりも自転車ならちょうど良い距離です。

この12月は非常に風の強い日が多くなりました。
もちろん凪もあったのですが、晴れるとほとんど必ず吹くのでなかなかポカポカしながらのんびり漕いで楽しむという日は少なくなりました。
しかし、大風の日こそ自転車日和です。
時化た中でカヤックを練習するのも大切必要ですが、海には限度がありますので、そういう時はすぐに切り替えて自転車に乗ります。

良い事に房総半島は北側以外は海に面した海岸線がありますので、風向きを考えてクルマで自転車を運んで行けば、山に遮られて風の当たらない場所にすぐ行けますから、晴れていればポカポカを満喫できます。
それはカヤックの場合も同じなのですが、房総半島の東の海岸線では遙か沖からやって来る高いウネリが寄せている場合が多く、しかも崩れる波を避けるために岸から少し離れれば今度は山から吹き下ろす風が沖に向かっているので、あまりのんびりできる状況ではなくなってしまいます。(それを楽しむことももちろんできますが!)
その点、自転車は…というより陸は、やはりその辺りの安心感は大きく違いますから、時化ていても海で遊べる良い方法だと思います。

冬ならではの透明度。




















写真:冬ならではの透明度。

「海で遊ぶ」というのは必ずしも水に浸かるということでもないと思います、ビーチコーミングも、海を撮影することも、単に潮風を浴びる事も「海で遊ぶ」ことに含まれるでしょう。
実際にそうやって通年海に接することで海への理解が深まりますし、冬のカヤックはちょっと…と思っている方も陸から徐々に冬の海に慣れていくことで冬にカヤックに乗るという事にも違和感がなくなる場合もあるでしょう。
とにかく来てみることが大切です。
多くのサーファーは冬の海を上手に楽しんでいます、カヤッカーもこれからもっとそうなっていくと思います。
衣類が進歩したことで低水温はそれほど嫌なものではなくなりました。

冬の海に一度出てみれば、夏には見られない高い透明度の水と、夏にははっきりしない遙か遠くの山々を水平線に見ながら漕ぐ水面の気持ち良さを実感してもらえるでしょう。
適切な衣類は必要ですが、それさえあれば今までなんて勿体ない事をしていたんだろうと気付いて頂けるでしょう。
それにカヤックはサーフィンのように水に浸かるのではなく、カヤックという暖かな殻に下半身を包んだうえに、海の水の中でも特に暖かい水面の上に浮かんでいるのですから、少なくともスキーよりは格段に暖かい遊びなのです。
冬に手を水に浸けてみると温く感じるというとウソ見たいかもしれませんが、風に当たって寒い時には手を水に浸けて温めます。

下位蜃気楼で宙に浮かんだ伊豆大島の一部と雲。




















写真:下位蜃気楼で宙に浮かんだ伊豆大島の一部と雲。

暖かい水は上昇しようとするので水面は普通暖かい水が漂っています、その水によって温められた水面直上の空気はその上にある冷たい空気とは混ざり合わずに一枚の透明の暖かな板のようになり、その影響によって光が屈折して蜃気楼を起こします。
水の暖かい南房総では冬にそれが普通に見られ、特に対岸のある西側の海岸線では対岸の三浦半島や伊豆大島の縁、水平線の遙か向こうの雲や沖を行く船舶が光の屈折によってレンズの様な縁の丸い物体となって宙に浮いて見えています。
東京湾の蜃気楼はあまり有名ではないので気付かないで過ごす人も多いのですが、冬の南房総に来られたら是非一度水平線をじっくり眺めてみてください。
出来れば双眼鏡がカメラの望遠レンズを通して見てみると更に面白さが増すと思います。

それでも風が強い日や寒い日には海を避けるのが普通でしょう。
しかし我々は漁師さんではないので海が時化て仕事ができないから行かないというわけでなく、むしろそういう日には貝殻も沢山打ちあがりますからむしろ収穫が多いかもしれません。
繰り返し寄せる波の形は様々で飽きませんから波だけを撮るために海に行くのも良いと思います。
海が大時化の時ほど地球が生き物だと感じる日は無いと思います。
波は地球の身体の一部としては最も動きの激しい場所のひとつで、地球が動いているという事を簡単に実感させてくれます。

真ん丸な姿が面白いイワタイゲキ。




















写真:真ん丸な姿が面白いイワタイゲキ。

また海辺の厳しい環境に暮らす植物の様子も興味深いものです。
果たしてどうやって養分を得ているのか分からないような岩の上にしがみ付いて暮らす植物や、まるですっかり枯れ果ててしまったかのような根っこの様な長く硬い茎を岩の上に這わしている植物、砂浜の中にポツンと芽を出している草。
どれもただでさえ厳しい海辺の中で更に冬という厳しい季節をうまく凌ぐ術を持って暮らしています。
そういう海岸を歩くのも楽しいですし、マウンテンバイクで軽いオフローディングを楽しみながら進み、軽く汗を流しつつ彼らの生活を垣間見るのも面白いもので、豊富な緑に囲まれた山の中で植物を見るのとはまた違った植物たちの姿を知る楽しみがあります。

日没が早いこの季節にはやはり夕陽をじっくりと楽しみたいものです。
澄んだ空気の中に沈む夕日は、うまく水平線に落ちる場所から眺めれば蜃気楼の影響を受けて、いわゆるダルマ夕陽となって楽しませてくれることもあります。
水に触れたように見えるところが蜃気楼で歪み、また周辺に雲がある場合にはその影響無受けて、その時々に面白い形の太陽となって水平線に消えていきます。
これも冬の房総に来たら欠かさず楽しんで帰って頂きたいもののひとつです。

紅葉したイソギクの葉。




















写真:紅葉したイソギクの葉。

冬の海を楽しむには、カヤックを漕ぐにも、自転車を漕ぐにも、夕陽を眺めるにも大切なのは防寒です。
衣類の選択を知ることで冬はもっと楽しくなります。
現在のアウトドアウェアはとても軽く、着膨れすることなしに真冬を楽しませてくれます。
もちろんハイテクウェアーなんかに頼らずにトラディショナルな衣類で!とか、気合で!順応で!というのはもちろん、つまりそれも防寒です。
個々に適した好みの方法で良いのですから、是非今年の冬は防寒について少しだけ学んで実践してみてください。
1年のうちで4分の1は冬なんですから、寒いからと引っ込んでいるのはとても勿体ないかもしれません。

夕陽を仲良く眺めている(?)トビとアオサギ。




















写真:夕陽を仲良く眺めている(?)トビとアオサギ。



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