カヤック日記


2015年3月の出来事


ハマダイコンの花が満開です。




















写真:ハマダイコンの花が満開です。

今月前半はなんだか寒くて曇っているという日が多かったですが、後半になってやっと春らしくなってきました。
それに合わせて海辺の植物も芽を出したり、花を咲かせたりし始め、風が猛烈に強い日や不安定な日も多く、しかしそれも春らしい感じがしました。
そんな中、22日には野島崎沖で下の写真のような竜巻が見られました。
晴れている中、遙か沖に大きな積乱雲があり、それだけでもなかなか見応えがあったのですが、その下からヒョロヒョロとした尾っぽのような雲が伸びてきました。
写真は望遠で撮ったものなので、はっきり見えますが実際にはかなり小さく見えました。
しかし下に写っている船から想像すると、竜巻雲はその船よりも遠い位置にあったようなので、実際のサイズはかなりのものだと思います。
ちなみに家に帰るまでに私は強い雹に見舞われましたし、同時に雷も光はじめました。 その後、随分長い間光っていましたので、広い範囲で非常に不安定な状況だったようです。

野島崎の沖に見えた竜巻雲。































写真:野島崎の沖に見えた竜巻雲。

興味が湧いたので気象庁の竜巻分布図を見てみると日本では黒潮に接した沿岸部の、特に沖に向かって突き出した辺りに竜巻が多く発生していることが分かりました。
今回の雲も黒潮上空辺りにあり、黒潮の水温の影響を受けて発生した積乱雲のようだと感じていましたが、野島崎も黒潮に接する代表的な岬のひとつです。
黒潮の水温の高さと、それに接している地上の気温の低さが関係しているのでしょうか?
調べてみたところ、以前茨城県(地上)で起きた竜巻は黒潮から流れ込んだ水蒸気が発生の原因のひとつだったという記事がありました。
日本経済新聞 「つくば市の竜巻、黒潮に起因 水蒸気運び巨大積乱雲に」2014/10/28http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG28H0V_Y4A021C1000000/

今回、竜巻が見られた今月22日の関東の天気図と黒潮の流れを重ねてみると下のようになりました。(地図図法が違うので少々ずれてます)
高気圧の重くて冷たい空気が低気圧に向かって上昇し始める辺りに、黒潮水面から暖かな水蒸気が湧くのが想像できます。
竜巻と積乱雲はこの後ゆっくりと東に進んで、竜巻は5分ほどで消えました。
こういう日は竜巻が起きるんだと覚えておくと今後の参考になりそうです。

3/22.15:00の天気図と黒潮流図




















図:3/22、15:00の天気図と黒潮流図を重ねたもの。引用:海洋速報(海流図)3/15-3/22観測3月22日、15時の天気図(tenki.jp)

以前、カヤックツアーの昼食休息のために大房岬に上陸したところ、間もなく館山湾の海上に竜巻が発生し、消滅するまでを見たことがあります。
海面に巻き上げられた水が巨大な円筒に巻き上げられていて、浮いていた自衛艦が小さく見える様なかなり大きなものでした。
この竜巻は徐々に塩見方面の岸に向かいましたが、運よく上陸寸前で消えました。 この日は雲が速く複雑に動く非常に不安定な日で早めの休息上陸をしたところでした。

他にも小規模なものではつむじ風のようものも海上で見ていますので、こういう気象現象が実際にカヤッカーが巻き込まれた場合にどういう事になってしまうのか考えておかないといけないと感じます。 しかし、海上竜巻に対するカヤッカーのためのマニュアルは無いと思います。
天気図でおおまかな予測はできそうですし、雲をよく見ていれば避けられそうですが、結局のところ突然の事ですので台風よりも厄介です。
海面に突き出た上半身やパドルが風を受けて巻き上げられないようカヤックを転覆させて脱出し、艇に掴まっているのが良さそうな気がしますが、それでも周辺の水が巻上げられるのでどういう事になるのか…。
少なくとも様々なものと一緒に高く巻き上げられた挙句落下させられてしまう、地上でのケースよりも表面張力がある事と巻き上げられるものが水だけである点では地上よりは水面の方が安全そうです。 しかし艇を失ったりした場合の竜巻の去った後の方が問題だったりするのかもしれません。
いずれにしても不安定な日には岸沿いを行く方が良さそうです。

岩礁に守られた入り江と夕日。




















写真:岩礁に守られた入り江と夕日。

こういう海で出逢った様々な雲や気象現象をきっかけに、いろいろ調べたり考えることをしてみると海と空との関係の面白さが分かり空を見るのが楽しくなります。
結果的に自分が海へ出る時の安全確保にも繋がるので、海に行けない日にも空を見て楽しむのはカヤッカー(に限りませんが)として良いことだと思います。
また気象現象は単に見て楽しむものとしても最上級のものだと思います。
刻々と姿を変えて一時も同じ形を保たないうえに、写真にして留めてみるとその一瞬一瞬の姿も人間では作りだせない最高の芸術作品になっています。
美術館に行くように、それを見渡すために海に出掛けても良いくらいですね。

後半は晴れてくれる日が多かったこともあり、夕日の写真を撮りに行くことが多くなりました。
ある日も夕日を撮っていると外海から岩礁で隔てられている入り江で多数の昆虫が舞っているのが見えました。
前にも見たことはありましたが、これほどの数ではなく、今までこれらの種を確認することもなく過ごしてきていました。
この昆虫の周りでは水中の生きものによるらしい波紋があちこちで発生していて、時々小魚が水面に跳ねています。

夕日が沈むころを「夕まづめ」と言って魚が餌を食べるために動く時間として釣人は重要視していますが、この浅瀬の夕まづめの出来事も捕食活動なのだろうか?と考えましたが何せ相手が小さ過ぎて捕食したかを確認できません。
この昆虫を捕獲して種を確認し、魚も捕獲して種を確認して胃内容物を確認すれば良さそうですが、なんとなくそこまでは探究心が湧きませんでした。
写真ではどうやらガガンボという脚の長い大きな蚊のような昆虫とトウゴロウイワシによるイベントのようだというところまで分かりました。
この昆虫が海面で産卵し、その卵をその魚が食べているという事だとしたら大変面白いのですが、そこまで辿り着けるか…。
もし分かったらここでお伝えいたしますが、ちょっとマニアックすぎますかね。

海上を飛翔する昆虫のそばで跳ねる小魚。




















写真:海上を飛翔する昆虫のそばで跳ねる小魚。

夕焼けを撮った後の夜の海岸は本当に静かで、特に月のある日の真っ暗ではなく濃い青の空は結構好きな環境です。
この月末は月がきれいで、青い空に黄色っぽい月がきれいでした。
昼間にも良く見かける青い鳥、イソヒヨドリは結構夜目が効くらしく磯の苔が生えたあたりでしきりに餌を捕っている様子でした。
もしかするとこれも先の水面にいたガガンボなどでしょうか?それとも甲殻類?

夜になったついでに先月お伝えした白浜の海岸線の街灯に取り付けられたヒサシ(ルーバー)の効果を確認してきました。
光量は抑えられているようですし、一応は下向けに光を放つ効果はあるようです。
ただ街灯の正面前方からではなく、脇から見た場合の明るさが気になりました。
もちろん海岸からも光は良く見えていて、果たしてこれで効果があるものか?
5月の終わりか6月にはウミガメの産卵が始まります。まず母ガメがこの光に対してどのような態度を示すのか、彼女らの足跡から推察してみようと思います。
もし大きな反応が見られた場合には子ガメにはもっと直接的な害が発生するので孵化の季節までに対策をしなければならなくなるでしょう。

夜も活動していたイソヒヨドリ。




















写真:夜も活動していたイソヒヨドリ。

都市生活をしていると暗闇が怖いという感じがしますが、海辺には闇の中でこそ活き付き、気付く事ができる自然があります。
今回のような水面での昆虫や魚の営み、崩れる波に浮かぶ夜光虫の光、ウミガメの産卵上陸、足元の漂着物に夜な夜な集まる様々な生物の姿など。
海岸を人工光で照らすことでこのような生物が減り、更には人の眼が人工の強い光に幻惑されることと、空が照らされることで月や星の光も見えにくくなり、当たり前のように天の川の見える南房総の海岸でするキャンプの良さをわざわざ消してしまうのは大変勿体ないことです。
そのうち黒くて怖いからと海の中にもライトを設置してしまいそうな人の闇への大げさな恐怖の方が、むしろ怖い様な気がします。
暗さを保つことが生態系を保つことに関わっていると考えている人がまだ少なく、見栄えのする植物やかわいい動物を生かすことが自然保護だと考えられているのだろうか?という場面も多く、これではむしろ目立たずに数を減らしていくものたちの姿は目に入らないだろうと心配になります。
自然の中では大きさやかわいさや見栄えは関係なく、全ての生命が平等に役割を持っているということは実際に現場に足を運んでもらう事でしか伝えられないのではないかと感じています。

潮溜まりに映った月。




















写真:潮溜まりに映った月。



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