カヤック日記


2017年8月の出来事



朝のウミガメ調査前に遭遇した海に落ちる虹。




















写真:朝のウミガメ調査前に遭遇した海に落ちる虹。

今年もウミガメ調査が終了しました。
結果は以下のようになりました。

0615千倉南(BPあり)、0615和田浦(BPあり、他者柵あり)、0621滝口(BPあり)、0626平砂浦(BPのみ)

0703滝口(BPあり)、0710平砂浦(BPあり)、0715滝口(BPあり)、0715滝口(BPあり)、0716滝口(BPあり)、0717根本(BPなし)、0720根本(BPあり)、0720白子(BPあり、他者柵あり)、0720和田(BPあり、他者柵あり)、0721砂取(BPあり)、0721砂取(BPあり)、0721滝口(BPあり)、0722滝口(BPあり)、0723根本(BPなし)、0723滝口(古いBP、5月上陸?)、0725平砂浦(BPあり)、0729砂取(BPなし)

0803瀬戸浜(BPあり)、0803瀬戸浜(BPあり)、0804根本(台風5により卵流出でLSにより発見〜保護〜移植、見逃し?5月産卵?)、0810和田浦(BPあり、山口様報告)、0818瀬戸浜(BPあり、他者柵あり)、0818白子(BPあり、他者柵あり)、0818和田(BPあり)、0821平砂浦(BPあり)、0822根本(BPあり)、0822根本(BPなし)、0828瀬戸浜(BPあり、他者柵あり)

千倉で見つかったウミガメの上陸痕。海岸に並べられたテトラポッドの間を縫って上陸し帰海なければなりませんでした。













写真:千倉で見つかったウミガメの上陸痕。海岸に並べられたテトラポッドの間を縫って上陸し帰海なければなりませんでした。

32か所で上陸確認、うち28か所にBP(ボディーピット、産卵痕跡)がありました。
ただし掘り返しての卵確認しない方針での記録です。
うち2か所は今まで調査対象外であった和田浦港以北の海岸で、いずれも現地在住の方から頂いた情報をもとに現地確認しました。
また上記の(他者柵あり)は藤田発見時にすでに他の人により柵なり目印なりが施されていたものですので、二重報告などのトラブルを防ぐために日本ウミガメ協議会への報告には載せません。
また、今夜(9/1)前後に台風が15号が沖合を通過していますので、明日以降、高波による卵の流出確認などを行う予定です。

ひとつの釣り糸に2羽もシギ、チドリが絡まって死んでいました。













写真:ひとつの釣り糸に2羽もシギ、チドリが絡まって死んでいました。 せめて生分解性の釣り糸を使ってほしいです。

今回気になったのは私の見逃しか、調査を始める前に産んだのか分からない未確認だった巣がふたつも見つかったことでした。
8/4に高波により流出したことでライフセーバーの目に留まり保護された根本海岸の卵も、それまで全く知らずにいました。
調査前の5月産卵であれば8月にはすでに孵化している時期ですし、移植した卵は腐っているような様子もなかったので見逃しの可能性があると思いました。
大潮であれば普通に波の来る場所に卵があったので、私が海にいった時点で既に波をかぶっていて足跡が消えていたのか、人の足跡によって発見する前に足跡や産卵痕跡が分からなくなるほどだったのかもしれません。
今となっては分からないのですが、しかしまず見逃すことはあり得ないような場所でしたので不思議でした。

もう1か所の上陸日未確認の方は足跡がなく、たまたま産卵痕跡のボディーピットだけが見つかりました。
足跡がなく、確信が持ちにくい状態でしたが、ボディーピット以外に考えられない痕跡でした。
これは卵も確認していないのですが、5月に上陸したのではないかと考えています。
5月の後半は調査すべきなのかもしれませんが、100日を超える連続の活動はなかなか大変だな...と感じています。

写真:大シケの少なかったこの夏にはグンバイヒルガオとオカヒジキが凄まじい勢いで群落を海側へと拡大しました。













写真:大シケの少なかったこの夏にはグンバイヒルガオとオカヒジキが凄まじい勢いで群落を海側へと拡大しました。

現在6月1日から8月31日までの92日間の毎日の調査を行っていますが、ツアーとの兼ね合いを考えるとこれがぎりぎりのようにも感じます。
また以前には9月に上陸したケースもありました。
毎日調査は南房総市の白浜の海岸だけで、その他の調査海岸である館山市平砂浦海岸と南房総市の千倉南から和田港の南側までの海岸線は不定期調査で、実際にはさらに多くの上陸があるはずです。
特に平砂浦海岸は大変貴重な場所で、もしできるならば毎日調査をしたいのですが、到底無理です。
やるなら夏季のツアーは休んで調査に集中するという事になってしまうでしょう…。

「夏季以外の快適なカヤックシーズンにカヤックをする」という事が定着して、夏季のツアー頻度を調整できるようになれば、もしかしたら平砂浦の調査頻度を上げられるかもしれないと考えたこともありましたが、実際のところなかなか難しいです。
平砂浦海岸にはウミガメ以外にもグンバイヒルガオなど他のエリアで見られないものも多く、夏季のウミガメ調査のついでに行う記録はとても大切です。
千倉〜和田方面でのシギ類の記録や植物の記録も大切です。
いずれも広大すぎて手が付けられていない感のある海岸で、訪れるのは釣り人かサーファーと地元の散歩の人くらいです。
記録すべき貴重なものが埋もれたままになって、無いことになってしまっています。

平砂浦海岸の西半分の様子。ここが無くなれば館山市の健全なウミガメの産卵場所はほぼ無くなると言えるでしょう。













写真:平砂浦海岸の西半分の様子。ここが無くなれば館山市の健全なウミガメの産卵場所はほぼ無くなると言えるでしょう。

調査を継続するうえでツアーでの営業は欠かせません、ツアーに参加していただいている皆さんのおかげで続けられている調査です。
それがあってはじめて調査が続けられているので、フィールドワークとツアーのバランスをうまくとっていく事がこれから先も南房総の海辺の記録を取り続けていけるかの条件となっています。
そしてなにより調査で得られたものをフィードバックする場所として直に、現場でお伝えできるツアーが欠かせません。
記録を取る意味は南房総の海辺の自然についての記録を残したいという事と、ツアーに参加していただいた人に伝えることで果たせるわけなのです。
このような形でツアーを行ってきたことを良く理解してくださっている方々に支えられて今までやってきました。
これからもフィールドで見つけた情報を伝えながらカヤックや自転車を楽しんでいただきたいと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。

ハマナデシコの季節になりました。













写真:ハマナデシコの季節になりました。

メモ

コアホウドリの漂着死骸を滝口で1、平砂浦で2発見、山階鳥類研究所へ郵送。
和田でミユビシギにフラッグ、足輪確認。南オーストラリアからの飛来と確認。
平砂浦で新たにグンバイヒルガオの群落確認。
塩見でグンバイヒルガオの漂着種子の発芽確認。





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