カヤック日記


2019年7月の出来事



写真:夏らしい海になってきました。















写真:夏らしい海になってきました。

今年も6月から例年通りウミガメの産卵調査を始めているのですが、上陸頻度が低すぎるようで心配しています。
おかげでチドリの繁殖の様子に神経を注げていたという良い点もありましたけれど。

6月25日には南房総市東岸で1か所の上陸を発見、6月29日に根本海岸で1か所の産卵上陸を発見し、やっと動き出したかな?という印象でしたが、7月に入っても17日に館山市の南岸の平砂浦海岸にて1か所、23日に南房総市東岸で2か所という程度でした。
数は少なかったですが、いずれも卵が産んである様子なのは救いでした。
しかし23日に発見した上陸の痕跡は、人工物に遮られて満足のいく産卵ができずに母ガメが去って行った典型的な足跡でした。
既に造られているものをウミガメの産卵のために撤去するというような事ができるような時代になるには、あとどれくらいの時間が必要なのだろう…と思ったりします。
そうしている間にウミガメの上陸は減って来て間に合わなくなるだろう…。
いや、もう間に合わないのかもと。

写真:23日、白子の海岸でのウミガメ上陸足跡。延々と35mほど堤防に沿って歩いていました。




















写真:23日、白子の海岸でのウミガメ上陸足跡。延々と35mほど堤防に沿って歩いていました。

日本中でまだ大丈夫と言っても房総半島にやって来るウミガメの遺伝子は絶えてしまうかもしれません。
そうして限られた、保護の進んだ地域のウミガメだけが生き残っても、長い目で見ればウミガメの生きる力は弱まっていってしまうのでしょうから、千葉県のように産卵にやって来るウミガメが元々比較的少ない場所でも、想像以上に重要な意味があるはずだと思います。
そういうことはウミガメに限らず、同じように海岸環境改変により繁殖に問題が起きているチドリのような鳥にも同じことが言えると思います。
海岸の形を変えることと、過剰な人の侵入は十分に配慮されているようには思えない状況です。
それでも南房総には海水浴場として観光のために利用される海岸以外に、ほとんど人の来ない海岸がまだまだありますから、その点では運が良いと言えます。
せめてこれらの人の利用頻度の少ない海岸だけはこれ以上環境改変をしないで生き物のために残しておくという余裕を残してほしいと願っています。
一度手が入れば後戻りはありえないのですから。

写真:雨の中、親鳥の下に潜り込むヒナたち。













写真:雨の中、親鳥の下に潜り込むヒナたち。

6月1日に抱卵を確認し、23日に孵化した根本海岸のコチドリのその後をフィールドノートから…。
7/2 ヒナ4羽確認
7/3 キャンプ場開設のための海岸清掃実施 コチドリ親子は川の向こうに移動していて問題なし
7/4 雨本降り 親鳥が抱雛 目視1羽のみ
7/5 潮間帯まで出て行って採餌 4羽確認
7/7 親鳥とあまり変わらない体色になった 少なくとも2羽目視
7/8 2羽目視 深さ数pの渡河可能に
7/10 ヒナは見えないが親鳥は落ち着いて採餌しているので問題なし?
7/11 雨 海岸西端辺りで行動 主に採餌し一段落すると親鳥の腹の下に潜り込む 数未記載
7/12 キャンプ場開場 キャンプ場内西寄りで採餌など通常行動
で、見られなくなって記録を終えています。

写真:館山市の平砂浦海岸で見つかったグンバイヒルガオの新芽。















写真:館山市の平砂浦海岸で見つかったグンバイヒルガオの新芽。

11日には数を記載していませんでしたが、2羽しか見られず、8日辺りまでに2羽が死んでしまった可能性が高いようでした。
そして12日を最後に姿を見なくなりました。
ヒナが飛べるようになってキャンプ場が賑わい始めたこともあって移動したのだろうと考えたいですが、雨の時に親鳥の腹の下に入るような状態でしたので飛翔はまだまだだと思うのですが?
どれくらいの期間で飛べるようになるのか確認できずに終わってしまった感じで残念です。
飛べないまでも行動範囲はどんどん広くなっていましたから、どこか歩いて行ける範囲で移動したのかもしれません。
しかしもし飛んだのだとすれば孵化してから20日で飛翔可能になったということになります。

写真:仲良く会話をしながら歩いているかのようなキジの母子。













写真:仲良く会話をしながら歩いているかのようなキジの母子。

一方、今月16日には同じ白浜町の海岸でシロチドリの巣を発見しました。
この時はまずハヤブサが海岸で降り立っているのを遠目に見つけたのですが「あんなところで何をしているのだろう?」と思い接近しながら観察していると飛び去ってしまいました。
すると今度は波打ち際の方から、今までに見たことがないような速さでハヤブサが立っていた辺りに向かって走っていくチドリが見えました。
そしてそれはシロチドリで、しかも抱卵の姿勢でさっきまでハヤブサがいた辺りに座ったのでした。
ハヤブサがいて抱卵できずにいたのは間違えないようです。

写真:かわいそうに放棄された卵。













写真:かわいそうに放棄された卵。

その後、ほぼ毎日抱卵を確認していましたが、25日には抱卵している親鳥の姿が見えず、巣のところに行くと卵がひとつだけ残されている状態でした。
そして、そのまま巣は放棄されました。
卵が減っていましたから少なくとも孵化したヒナがいると思い、前日24日に親鳥が珍しく巣から離れていた様子を撮影した動画をよく見たところ少なくとも1羽のヒナが写っているのが確認できました。
そしてこの10日ほどの間、いつも抱卵していたのがメスでしたので、やはり16日の発見時には抱卵中だった雄鳥がハヤブサに襲われたのだろうと考えました。
19日にもハヤブサがこの海岸を訪れて地面から1mもない超低空で飛行しながら何かを探しているような様子を観察していましたので味を占めていたのでしょう。
それにしても25日以降に親子の姿が見られなかったのが気がかりです。
早々にハヤブサにやられてしまったのかもしれないとも思いますが、自然の中の子育てはやはりなかなか厳しいものだと実感しました。

写真:19日のハヤブサの低空飛行。













写真:19日のハヤブサの低空飛行。

そんな中、無事に成長し親から離れひとりで生きている鳥の姿もあります。
11日にはツバメチドリの若鳥を初めて観察する機会に恵まれました。
すごく珍しい種というわけではないようですが、私は今までで初めての遭遇でした。
10日にも根本海岸で遠目に姿を見ていて、大きなチドリだな?と思いつつ遠すぎて確認できなかったのですが、同じ場所に次の日もいてくれて観察できたのでした。
大きな黒い目と飛んだ時の名前の通りのツバメのような形がとても印象的でした。
大きく育ってまた南房総に寄ってほしいものです。

写真:根本海岸に数日滞在したツバメチドリの幼鳥。













写真:根本海岸に数日滞在したツバメチドリの幼鳥。

27日以降は浮石(軽石)の漂着がとても増えています。
いずれもエボシガイなどの付着生物が見られないもので、それほど遠くないところからのものではないかと思っています。
黒潮の流れの変化?人知れず噴火している海底火山?いずれにしても海のこういう変化は面白いものです。
そういえば、国立科学博物館が行っていた3万年前の航海徹底再現プロジェクト、館山で進水式を行い、その後も館山で試行と訓練を繰り返していた丸木舟「スギメ」が無事に台湾から与那国島に渡りきりましたね!
45時間も漕ぎ続けた漕ぎ手の5人と、それを支えた人たち本当に素晴らしいです。
そしてスギメが館山で育ったことは、ずっと昔に丸木舟の海であった館山湾を漕ぐ人間として誇りに思います。
3万年前の人達が丸木舟に乗っていたとしたら、どんな人達だったんだろう?会って話ができたら楽しいでしょうね〜。

写真:休息のひと時。もう水に入らずにはいられない季節です。















写真:休息のひと時。もう水に入らずにはいられない季節です。

涼しい日が続いていた海岸はずっと空いていて、静かな夏だな〜と思っていましたが、梅雨が明けて急速に気温が上がりましたので海も賑やかになるでしょう。
海辺や海の中の生き物もなんだか騒がしいなあと思いつつ人間に住処を貸してくれています。
あまり迷惑をかけすぎないように楽しませてもらいましょう。



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