カヤック日記


2018年11月の出来事



魚をめがけてダイブ!したのに空振りで飛び去る姿もかっこいいミサゴ。













写真:魚をめがけてダイブ!したのに空振りで飛び去る姿もかっこいいミサゴ。

海鳥を見るには良い季節になりました。
ミサゴも今月は運よく出会える機会が多く、個体識別に利用できそうな翼の模様がいくらか撮影できました。
ミサゴを探して移動していたところ今月はハイタカを3回も見ました。
いずれも違う場所で、南房総の東岸、南岸、西岸とでした。
珍しい鳥ではないはずですが、南房総の海岸線で見ることはほとんどありません。
東岸の時にはカラス2羽と空中戦をしていて、南岸の時にはハヤブサとお互い意識することもない感じで近くを飛んでいたりしました。

カラスに追い掛け回されていたハイタカ。




















写真:カラスに追い掛け回されていたハイタカ。

私がミサゴを探している範囲は結構広くて、内房から外房までの海岸線で大雑把に70qくらいの距離があります。
その中でポイントポイントで今までに偶然遭遇したミサゴの来る可能性の高い場所としていくつかピックアップして、その周辺を含めてできるだけ足を運びます。
移動手段はポイント毎の地形や交通の便を考えて、クルマに自転車を積んで行って現地で自転車で探したり、クルマで行って歩いたり、カヤックで漕いで行って探したりという感じです。
海面の状態でミサゴが空中から魚を探しやすい条件の場所で採餌が活発になるだろうと考えて水面を乱しやすい風浪の起きていないポイントを風向きから考えて選んだりしていますが、実際のところ風浪の量と採餌の活発さとはあまり関係ないような感じもしてきています。
今月は暖かく比較的、風が穏やかで水面の穏やかな日が多かったのでカヤックでの海上での探索もしやすかったですし、やはりミサゴも魚を探すのに都合がよく活発だったような感じもします。

写真:カヤックの前方で魚を探索しながら泳ぐウミスズメの群れ。













写真:カヤックの前方で魚を探索しながら泳ぐウミスズメの群れ。

26日にはミサゴがよく見られるポイントでカヤックツアーをしたところ、今季初めてのウミスズメに遭遇しました。
全体で20羽以上はいると確認し、この時にはツアーだったのでコンデジしか持っていなかったため、次の日に早速同じ場所に行きウミスズメの観察をしてきました。
ウミスズメは午前中から夕方まで終日ほぼ海岸に沿って数キロの範囲で行動し、岸から20mから300mほどに留まりながら、2-24羽の群れに離れたり合流したりを繰り返しながら、休息と採餌をしている様子でした。
またユリカモメ、ウミアイサと行動を緩やかに共にしていて、離れたところでウミアイサが魚群を見つけて活発になると上空でユリカモメが騒ぎ出し、それに気づいたウミスズメたちが飛んでその混群に加入して魚を採餌する、またその逆といった場面が見られました。
ユリカモメはウミスズメを脅かして魚を吐き出させようとしているような行動が見られ、一部のウミスズメは警戒している様子でしたが、一方で魚群の場所を離れた場所にいるウミスズメに知らせる役にも立っているという関係でした。

写真:近くでゆったりウミスズメを観察できるのはシーカヤッカーの特権?













写真:近くでゆったりウミスズメを観察できるのはシーカヤッカーの特権?

ウミスズメの群れはサイズが大きければ大きいほどカヤックが近くても警戒が薄れるようでした。
近い時には数メートルの距離で観察が可能で、その真っ黒な瞳がこちらを怪訝に見つめる姿をじっくりと観察することができました。
もっと毎日のように通えれば次第にカヤックに慣れてきてもっと穏やかな行動が観察できるようになりそうですが毎日出かけるには経費が掛かりすぎるので、時折出かけてどのくらいここに留まるのか記録できればと思います。
もしかするとほんの数日の滞在で次回に行った時にはもういないかもしれないとも思っていますが。
とにかく今回のようなサイズの群れに出会ったのは久しぶりでしたので非常に嬉しい出来事でした。

写真:とても久しぶりなイボダカラ!















写真:とても久しぶりなイボダカラ!

2014年には勝山沖で船が沈み重油が漏れ出した後にウミスズメとの遭遇が減ったように感じていました。
水面で暮らす海鳥にとって海面の重油は直接生命にかかわるものでしょうから、少なくとも不快に感じればその海に飛来しなくなるでしょう。
ウミスズメとの遭遇頻度はその頃から急に減って、それ以降回復している感じがしていませんでした。
そんな中での今回の大きな群れとの遭遇でしたので、個人的にとても嬉しい出来事でした。
彼らが子孫を増やしてまた南房総にも頻繁にやって来てくれるようになればと願っています。

写真:ベタ凪の多かった今月の館山湾は正に鏡ケ浦。















写真:ベタ凪の多かった今月の館山湾は正に鏡ケ浦。

遡りますが4日には対岸の城ケ島沖でクジラが見つかったという情報を海上保安庁の緊急情報配信サービスで知りました。
三浦半島の先端にいるクジラが東に向かったら、房総半島にぶつかります。
三浦半島の岸に沿って北上して東京湾奥で困ってしまうというクジラもいますが、多くは房総半島にぶつかって岸に沿って南下するんじゃないかと考えて、次の日に勝山の海岸線でカヤックを漕ぎながら待ち構えてみることにしました。
以前にはシャチが同じような経緯で現れてやはり海上を探し回ったことがありましたが、今回は種も分かりません。
そもそもこの広い海でバッタリ逢えるなんてどれほどの確率なのか…と考えるより行動してみる方が面白いので。

写真:人の滅多に来ない静かな岩場にひっそりと群落をつくっていたワダン。




















写真:人の滅多に来ない静かな岩場にひっそりと群落をつくっていたワダン。

それでやっぱり今回もクジラには逢えなかったのですが、代わりに岸に沿って漕いでいるときに昨年の台風21号で消滅したと思っていたワダンという一見キャベツのような海浜植物が復活していて、更には少し離れた今までワダンを見たことがなかった海岸でいくつもの株が見つかるという幸運に恵まれました。
ワダンは海岸に近い岩場に見られますが、南房総では少なくて僕が知らない群落があるかと思いますが、多くはないと思います。
今回の広範囲の復活と拡大はなんだか台風被害も自然界では何か良い影響が結構あるんだなということを改めて感じさせました。
岩場の波が届かないような場所に種子が流れ着くのには滅多にないような高潮が便利なのかもしれません。

写真:淡く透き通るような紫のルリガイ。















写真:淡く透き通るような紫のルリガイ。

8日頃には南岸、西岸でルリガイの漂着が見られました。
夏季に漂着する印象が強いですが、こういう時期にどれくらい揚がっているのか、少ないだけに記録するのが難しそうです。
南寄りの風さえ吹き続ければ年中可能性があるのでしょうか?
15日には内房で最大長さ260pのグンバイヒルガオを発見しました。
東京湾内でこのサイズまでになったのを見たのは初めてですが、夏季にもっと動き回れれば実は多数あったりするのではないかと今回感じました。
夏にもっと動き回るにはウミガメの調査かカヤックツアーをやめないと無理です…。
特にウミガメの調査が南岸から東岸なために内房での行動が少なくなります。
カヤックツアーではできるだけいろいろな海岸を漕ぎたいと思いますが、夏季には海水浴場という制限が働いてどうしてもある程度限られた海岸に行くことが多くなってしまうので、夏季にしっかり全体を見渡せないということになりがちです。
そんなわけで夏の内房をちゃんと見るのは難しいわけなのですが、あまり欲張っても良くありませんので。

写真:内房で見つかったグンバイヒルガオ。無事に冬を越すか、そして来年の開花は!?















写真:内房で見つかったグンバイヒルガオ。無事に冬を越すか、そして来年の開花は!?

冬も近づいて気温が下がってきましたので、内房では蜃気楼がハッキリとしてきました。
冬でも大して水温の下がらない南房総では気温との温度差が大きく蜃気楼が出やすくなっています。
さらに内房では対岸に三浦半島、東京湾に出入りする大型船舶や漁船が多数ありますから、蜃気楼を見やすいのです。
冬の南房総に来たら是非水平線を眺めてみてくださいね。

蜃気楼の沖ノ島と魚を捕まえたミサゴ。













写真:蜃気楼の沖ノ島と魚を捕まえたミサゴ。

2014年3月のカヤック日記
勝山沖沈没船舶からの重油被害について書いてあります。



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