写真:この房総半島で一番白い砂浜で新たにスナビキソウ群落が見つかりました!
本日は令和初日、そして10連休という大型ゴールデンウィークの真っ只中という日ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
自然界ではそういうヒトの決まり事とは関わり無く過ぎてゆくでしょうから、昨日までと変わらず今日もどこかでクジラが泳ぎ、ウミガメが草を食んでいるのでしょう。
(と思っていたら本日5/1館山の海岸にミンククジラ♀の死骸が流れ着くという初日早々悲しい出来事もありました)
自然界の生き物たちとは違い、ヒトはいろいろな時代の移り変わりに影響を受けて動き、そして結果としてヒト世界の時代変化は自然界にも影響を与えてきました。
小さな単位で言えばゴールデンウィークの過ごし方もそうですし、元号が変わった事でヒトの心、そして行動に変化があれば、それが自然の変化の一部になるでしょう。
つまり、ひとりひとりの行動が自然界に積み上げられていくわけですから、それを時々見に行く必要があると思います。
良い方向にヒトが動いていれば、ヒトが自然の中に入った時にも何か良い事が見つけられると思います。
一方、悪い方向にヒトが動いていれば、何か良くないものを自然の中で見たり感じ取ったりするかもしれません。
それらはそのうち拡大していき、自然とは触れることなく街だけに住んでいたはずのヒトの目にもメディアを通して、強調された狭いスポットを当てられて映ることになったりします。
写真:館山市でもスジイルカの死骸が見つかりました。
昨今のマイクロプラスティックの話題はヒトの反応として分かりやすいですが、そのヒトが創った物質が自然界にあふれて「他の生物を殺してしまっているかもしれない」という視点が中心ではなく、むしろヒトへの影響が最大の心配事であるという点が非常に残念です。
マイクロプラスティックが吸収、混入する可能性をゼロにした養殖魚や海塩を開発すれば、それでその問題が解決したような話には本来なりませんが、恐らくその時点で概ね解決といった話になりそうな気がします。
街の中まで、ヒトの身体の中まで、その害が及ばなければそれは無いのと同じというような感覚があるように感じます。
街の中やモニタの中だけを見て暮らしていると、そういう自然界の緩やかな変化が感じ取りにくいですから、何か大きな環境変化が起きた時にも、ある日突然その変化が起きたように感じてしまうのかもしれません。
マイクロプラスティックは僕が知る限りでも何十年もずっと前から海岸に落ちていました。
僕がパタゴニアのお気に入りの化繊のニット帽を海で失くしてしまった時に、それを撒いているのも自分だと気づいていました。
裏地が起毛しているネオプレンのベストを買ってすぐに風呂場で洗った時に凄い量の繊維が流れ出ているのにも気づいていました。
これを海で着れば、それは海に流れていくと分かりますから、繊維がほとんど出なくなるまで洗いましたが、無駄な作業だったかもしれません。
そういうことは昔からあって、そういうことに気付きながら僕にはそれを変えたり伝える力が不足していただけなのです。
世界中の情報が入る時代ではありますが、一方で科学的に分析された結果の数字だけを見ていても感じ取れないことが多い世界でもありますから、一番大事なのは日常的に身近な自然の中に入ってメディアや科学者、専門家任せにすることなく自分自身で何かを感じ取って過ごす事だと感じています。
写真:カヤックなら見ることができる貴重な場所もたくさんあります。
週に1日でも周囲を完全に自然物で取り囲まれるという事が日常になれば、結果として地球が健康であることが自身の健康と直結していることを体感できると思います。
例えば、カヤックで海に浮かぶ時に水質には敏感になります。
カヤックに乗る時には板で隔てられて普通は身体が水に浸かっていないのに、その水の状態がとても気になります。
モニター越しではなく、触れる距離で実際に見るということが「自分と関係のあること」だと実感を与えるためにとても大きな影響があるのだと思います。
そうなって初めて水道の水と、海の水とが同じ繋がったものとして感じられるようになると思います。
スーパーで買う袋詰めの海塩が、カヤックに乗った時に自分の袖で波飛沫が乾いて作られた塩と同じだと実感できると思います。
口に入るまでにフィルターをかけて安全にした自然物は結局ヒトというフィルターを通して汚染されて自然界に返しているという事にも気づくかもしれません。
結局今でも海は低い場所にあるということでゴミ捨て場や浄化装置としての役目を負わされているのだな…とカヤックに乗った時に感じて頂けるかもしれません。
しかし、それでカヤックに乗った人がひとりずつ変わっていけばプラスティックでカヤックを作るという矛盾も少しは取り返すことができるかもしれません。
写真:潮が退いた大潮の磯の窪みに生成された南房総産天然海塩。美味しかったです。
ゴールデンウィークに入った28日には太陽の周りに発生する気象光学現象が多くの場所で観察され話題になりました。
私も富津市でカヤックツアーを行っていましたが、最初、環水平アークに気付き、見上げると日暈も同時に出ていることに気づきました。
私は見晴らしの良い海上や海辺にいることが多い為か、環水平アークを幾度か見ていますし、環天頂アークも幾度か、日暈は頻繁に、現実も随分見ていますが、それらが重なって同じ太陽に見たことはあまりありません。
その中で特に印象深いのは2015年の5月のものでした。
この時も環水平アークから日暈と幻日が同時に見られて、夕方になって環水平アークが消えつつ今度は環天頂アークが入れ替わるように見えたというものでした。
かなり長時間で午後の間中見られたような記憶があります。
写真:写真:富津市でも見られた環水平アーク。
それで今回の現象からそれを思い出してカヤック日記を読み返してみたところ、その2015年の現象の後には東京湾でシャチの群れが現れたり、噴火や大きな地震が続いたという事が書いてあって「ああそうだったな〜」と思っていたところです。
空に出る現象とそういう地上での事象が関連付けられるわけではないですが、珍しい出来事は続いて起きる場合があるという事が確認できました。
今回も珍しい現象が見られたのですから、もしかしたら何か珍しい、できれば楽しく貴重な出来事が起きたら良いなと思いました。
2015年の時にはカンムリウミスズメの親子との遭遇という貴重で楽しく珍しいこともありましたし、シャチにとっては良いことだったのか分かりませんが身近な海に憧れのシャチが来訪してくれたという事も私にとっては素晴らしい良い出来事でした。
ですからこの1週間は用心も必要だけれど、楽しみもあるという感じで過ごしています。
ただヒトが自然界に行ってきた事を考えれば良いことばかりを願うのも虫の良い話ではありますが…。
具体的な内容は
2015年5月のカヤック日記
を読んでみてください。
写真:写真:ハマダイコンの花に群がるミツバチたちも忙しそうです。
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