カヤック日記


2024年4月の出来事

2日に見つかった今年初めてのシロチドリの巣.こんなところに卵があるのを知らない人がまだまだ多いのが現状です.しかもアカウミガメと変わらないレベルランクの絶滅危惧種です.




















写真:2日に見つかった今年初めてのシロチドリの巣.
こんなところに卵があるのを知らない人がまだまだ多いのが現状です.
しかもアカウミガメと変わらないレベルランクの絶滅危惧種です.

以下は今月のX(旧Twitter)投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.

2日

今日は今年初のシロチドリ卵(巣)を発見!
毎年おなじみの場所で全く警戒されず気温もちょうど良かったのか抱卵していない状態で見つけにくい状況でしたが無事発見できました.
今年も本格的に始まったなあという感じでした.
これら卵や隠れている雛を誤って踏み殺してしまわないよう砂浜海岸に行かれる際には可能な限り波打ち際での移動をお願いいたします.
当日の投稿

3日

NYC Plover Projectというニューヨークの海岸でチドリを保護しているグループのInstagramでの投稿ですが,繁殖期は犬を連れて繁殖地海岸に入ることを禁じてました.
シロチドリは犬が海岸に登場するとまだかなり離れているのに凄く警戒して体力も消耗していそうだし,抱卵やヒナの保護が休止される時間が多くなって大変そうなんです.
人が少ない海岸だとリードを外す人も多いので,これは南房総でもなんとかしたいです.
愛犬家の方,ご協力お願い致します.
この投稿への反応は意外と愛犬家の方から複数頂きました.
愛犬家の方々の中でリードの利用についての議論があるのだろうと想像しました.
砂浜海岸ではリードを外して犬を自由に走らせている場面をかなり見ますが,私自身走って来た犬に靴の上からですが噛まれましたし,幼少期には犬に長距離追いかけられた怖い経験をしている事から,犬が他人に危害を加えなかったとしても心理的負担を他人に与えている問題を感じています.
海岸で大型犬が自由にしている姿を微笑ましく感じている飼い主と周辺の人のそれぞれの経験での感じ方の違いについて十分に配慮するべき必要があります.
また,海岸で放されていた犬がそのまま車道に飛び出して轢かれたケースもありましたので,その犬自体にも交通事故の問題などがあります.
そして,この投稿での主題でもありますが最も懸念される事は砂浜海岸での希少種へのストレス増加と雛,卵,親鳥全てへの実害の可能性です.
近年リードが何メートルもの長さで繋がれている場合が多くなっていますが,それについても管理が不足していると言える状況があります.
当日の投稿

4日

4/6のスライド講演のイベント「海岸生物に配慮した次世代ビーチクリーンの可能性〜南房総の砂浜海岸に生息する絶滅危惧種を含む貴重な動植物〜」のご紹介を改めてしました.
ご参考に上映で使うスライドをいくつか載せてあります.
本ページ更新作業中の現在(5/30)ですが,第3回目の同イベントが6/14に一宮のパタゴニアサーフ千葉で行われる事が決まったところです!
詳細はこちらご覧ください.
今後も繰り返し場所を変えて行っていくつもりのイベントですが,九十九里方面や千葉県の北の方にお住まいの方には是非この機会にお越し頂ければと考えております.
どうぞよろしくご参加ください.
当日の投稿

写真:那古で確認後北条海岸方面へ南下しつつ館山城を背景に優雅に飛ぶオニアジサシ.













写真:那古で確認後北条海岸方面へ南下しつつ館山城を背景に優雅に飛ぶオニアジサシ.

5日

この日館山湾でバカデカいアジサシが飛んでいました!
以前館山湾内で見たオオアジサシよりデカいんです!!
帰って調べたらオニアジサシでした!
これで今年の運を使い果たしたかもしれません...
ちなみにオオアジサシを観察できたのは2008年5月でした.
坂田沖でカヤックに乗っている時に定置網のブイの上に2羽がのんびりしていました. あまりこちらを怖がらず結構近くで観察できました.
オオアジサシを見た2008年5月のカヤック日記
当日の投稿

6日

この日スライド講演のイベント「海岸生物に配慮した次世代ビーチクリーンの可能性〜南房総の砂浜海岸に生息する絶滅危惧種を含む貴重な動植物〜」にご参加頂いた皆さま、イベント情報を共有して下さった皆さま、本当にありがとうございました!
お陰様で50名弱ほどの方に参加して頂き、無事終了いたしました。
当日の投稿

8日

一昨日のイベントの際,チドリの繁殖期の海岸清掃の件で頂いたご意見で「530(ゴミゼロ)を5/30にやらなければ良いんだよね」という方と「5/3は市全体で決まった日なので」というご意見があり,その時僕が言ったのは「新しい語呂合わせがあれば良いんですよね〜」でした.
その話が気になって仕方がなく,今日は別の事やりながらずっと頭の隅で気になってましたが,やっと思いついたのはビーチクリーンへGo(チドリの繁殖活動の前の3/5)でした.
分かりにくいし「Go」とかあまりにダサいのでイメージでカッコ良くできないかと思ってこんなデザインを考えてみました.
530と違ってビーチクリーン(海岸清掃)専用の日付という意味で青空の水色と海の青に海浜植生の黄緑といったイメージですが,やや派手過ぎ?
しかしインパクトも必要だし...本当はもっとナチュラルな色が好みだけど.
というわけでBC5(ビーシーファイブと読んでください)拡散お願いいたします!
当日の投稿

写真:枯れて消滅した親群落の痕跡の中から芽を出したハマナタマメ.















写真:枯れて消滅した親群落の痕跡の中から芽を出したハマナタマメ.

13日

過去に観察を続けていたハマナタマメ群落の痕に沢山の芽が出ているのを確認しました.
ハマナタマメは数メートルサイズの群落までになっても,あまり何年も持続しないのですが,その親群から落ちた種子が数年後に発芽する可能性は高いので,群落が消滅しても数年は追わないとダメと今日も実感しました.
当日の投稿

13日

この日はミツユビカモメの死骸を発見しました.
全体像の写真は閲覧注意なのかなと思ったので特徴的な色合いの翼先端だけをアップ.
南房総の海岸で見る事は少なめですが,猛烈な風の日に館山湾で凄い大群が紙吹雪のように舞っていた事もありました.
カヤックだと海上にいるのを時々見かけますが,思い返してみると最近ずっと見てないです.
このページの「ミツユビカモメ」にカモメ紙吹雪の写真あります.
凄い昔でした2005年...
当日の投稿

16日

館山湾内でコチドリの卵(巣)が見つかりました.
コチドリは今シーズン初です.
その他に求愛中のツガイもいて,ゴールデンウィークまでに新たな巣やら雛の孵化などで忙しくなりそうです.
南房総のどの海岸でチドリが卵を産んでいても不思議ではありません.
あらためて足元に気を付けてお願いいたします.
写真を見て頂くと分かりますが,海浜植物や石ころや漂着物は巣や雛にとってカモフラージュにも重要な素材です.
当日の投稿

追記:フォロワーの「まいける」@tabi_katoriさんより嬉しいご報告コメントをいただきました.
「去年、南房総の海岸で石混じりの中で危うく踏みそうになりました。こんな場所でも巣を作るのですね。」
私返信「踏まなくて良かったですね!
コチドリはシロチドリと比べるといろいろな条件で産むようです。
以前、コンビニの隣の空き地という条件の場所で産んでいた時もありました。」

写真:求愛行動中のコチドリ.求愛中のオスもメスも本当に動作が可愛らしく,そしてちょっと可笑しいので大好きな場面です.愛情というものの根源的な姿なのかなあと感じます.













写真:求愛行動中のコチドリ.
求愛中のオスもメスも本当に動作が可愛らしく,そしてちょっと可笑しいので大好きな場面です.
愛情というものの根源的な姿なのかなあと感じます.

16日

私の生き物に関する師匠、秋山章男先生の1983年の本を読み直していました。
現在に続く問題、純自然海岸の減少、プラスチック等非分解性ゴミ漂着と投棄の問題、釣人による海浜汚染、生物による打揚物の本来的な利用、自然公園の観光リクリエーション開発重点の矛盾、観光過剰利用による自然破壊についても書かれてます。
海に関わって生きる人,海の環境に興味のある人たちに是非読んで頂きたい内容が満載です. https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001625189#store
当日の投稿

20日

釣りを根本的にデザインし直せないかなあと感じる今日この頃です.
糸と針を使わない方法で釣りが出来れば良いだけのこと.
簡単に言うな!という内容ですが発想を変えることが出来ればきっと簡単に変わるとも思っています.
生きものへの害が大きすぎるために遊漁自体が世界中で禁止される可能性さえあると思います.
それまでに魚釣りが趣味の人ほど真剣に考えてほしい事です.
それはもしかすると漁業自体を変革できる可能性を秘めているかもしれません.
収穫量を多少抑えても持続的な方法に切り替える重要なタイミングが迫ってきていると感じています.
根本的に全く違う漁の仕方を新たに考えたい.
そっちの方が今までの釣りより楽しいとなれば,一気に変わるはず.
それは商売人にとっても良い話なはず.
先日のビーチクリーンに関するイベントの時に釣り糸が絡まって死んでいた海鳥の事を画像と共に話したら,同じく糸が絡んで瀕死だった海鳥を保護したけれど3日目に死んでしまった経験を話して下さった参加者の方いました.
水中はもっと酷いことになっている筈なので.
当日の投稿

21日

この日,砂浜で遭遇したキノコ.
え!?砂浜に???という反応もあるようですが,無いと考える方が考えてみれば不思議でもありますよね.
当日の投稿

22日

海浜植生の中で見かけた初見のハエトリグモ.
ハエトリグモハンドブックで調べたらマミジロハエトリ♀っぽいです.
普通にいる種類らしいですが,海岸では初めてでした.
先月の写真です.
当日の投稿

写真:ミツユビカモメ特有の翼先端の黒い部分.ミツユビカモメは南房総では稀にしか見る事がありません.













写真:ミツユビカモメ特有の翼先端の黒い部分.
ミツユビカモメは南房総では稀にしか見る事がありません.

24日

海や海辺でクモを観るようになったのは,富津の海の上で歩いていたこの子のお陰でした.
視野を広げてくれてありがとう.
当日の投稿

24日

海浜植物とシロチドリ.
両方が当たり前に存在する海岸は結構少ないです.
2024/03/27南房総某海岸にて.
当日の投稿

26日

再び海岸でキノコに遭遇.
また偏った方向に興味が...
これがスナジクズタケだとしたら千葉県で要保護生物指定でした.
「1128 大型菌類 スナジクズタケ ナヨタケ科 C 新規追加 個体数や生育地の減少がみられる。」千葉県レッドリストより
千葉県の海岸砂地に見られる菌類は5種と以下の文章にありました.
「コナガエノアカカゴタケ、ウネミケシボウズタケやナガエノホコリタケ、スナヤマチャワンタケ、スナジクズタケなど」
[平成 30 年度千葉菌類談話会講演会 講演録]博物館ときのこ 30 年
当日の投稿

写真:なんだかやけに涼しい4月,海岸のキノコが多産していました.しかしこれ温暖化ではなく寒冷化に進み始めたんではないでしょうか?















写真:なんだかやけに涼しい4月,海岸のキノコが多産していました.
しかしこれ温暖化ではなく寒冷化に進み始めたんではないでしょうか?

27日

スライド講演のイベント「海岸生物に配慮した次世代ビーチクリーンの可能性〜南房総の砂浜海岸に生息する絶滅危惧種を含む貴重な動植物〜」の第2回をゴールデンウィークの真ん中,4月30日夕方から行う告知.
海辺の生き物,植物がお好きな方にも知って頂きたい内容です.
ビーチクリーン,ビーチコーミング,シーカヤック,サーフィン,SUP,キャンプで南房総においでの方もついでにご参加頂きたいなと思いました.
当日の投稿

29日

前日,海でUFOに遭遇.(UFO=unidentified floating object 笑)
お客さんとカヤックを漕いでいたらウミネコの若者が海面に5羽ほど集まって何かを食べていました.
こういう場合は大抵魚の死骸なので,珍しい魚だったりしないかな?と見に行くと不思議な物体でした.
それを見て思い浮かんだのは胎盤.
関東の海に棲む胎生の生き物っていえばイルカと思い「海棲哺乳類大全」を見たら「鯨類と半数類の羊膜と臍帯には羊膜斑という呼ばれる散在性の隆起が認められる」とあって写真も載っていました.
今回見たのも良く見ると黒い点が多数あって似てるなあ〜と感じました.
シーカヤックはこういう海の上のいろいろが手軽に見られるというところが素晴らしいんです.
結論は出ないですが,海棲哺乳類大全やっぱり一家に一冊ですね!
著者で国立科学博物館の田島先生にご要望頂き、わたくし撮影の写真も載っています!
2002年波崎のカズハゴンドウのマスストランディング現場の写真です。
初めての調査現場参加の時でした。
個人的には非常に懐かしい写真です。
海棲哺乳類大全〜彼らの体と生き方に迫る〜緑書房(版元ドットコム)
当日の投稿

写真:5月になってからXに投稿した写真ですが,文面の影響もあってか高評価頂きました.とにかく貴重な海岸が無数に眠っているのが南房総の凄いところです.特に館山市の海岸線は保存にシフトしないといけないタイミング!













写真:5月になってからXに投稿した4月撮影の写真ですが,文面の影響もあってか高評価頂きました.
とにかく貴重な海岸が無数に眠っているのが南房総の凄いところです.
特に館山市の海岸線は保存にシフトしないといけないタイミング!

上記写真での問題としての海岸利用についての知識を得るために有用な図書をいくつか挙げておきますので,ご参考にしていただければ幸いです.
「海岸と人間の歴史〜生態系・護岸・感染症」(THE LAST BEACH)」Orrin H.Pilkey & J.Andrew G.Cooper 著 須田有輔 訳 築地書館 2020.
「THE WORLD'S BEACHES〜A GLOBAL GUIDE TO THE SCIENCE OF THE SHORELINE」Orrin H.Pilkey,William J.Neal,Joseph T.Kelley,and J.Andrew G.Cooper 2011.
「砂浜海岸の生態学(Ecology of Sandy Shores)」A.C.Brown & A Mclachlan 著 須田有輔・早川康博 訳 東海大学出版 2002.

お知らせ



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文章では書ききれなかった事なども録音時に思い付きで加えてあります.
その他に波音などの海辺の環境音,海に関わる人のお話しなどもご紹介しております.
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