カヤック日記


2024年11月の出来事

写真:先月もご紹介した根本海岸で久しぶりに見つかったグンバイヒルガオでしたが,一般的に言われるパターンで越冬には至りませんでした.細かい状況としては枯れたのが先か大風の後に砂に埋没し行方不明になったのが先か分かりませんでしたが.もしも埋まっただけであれば,もしかするとまた芽を出す可能性があると思いますので暖かくなった頃にはまた再追跡調査しなくては.















写真:先月もご紹介した根本海岸で久しぶりに見つかったグンバイヒルガオでしたが,一般的に言われるパターンで越冬には至りませんでした.
細かい状況としては枯れたのが先か大風の後に砂に埋没し行方不明になったのが先か分かりませんでしたが.
もしも埋まっただけであれば,もしかするとまた芽を出す可能性があると思いますので暖かくなった頃にはまた再追跡調査しなくては.

11月の日記ではありますが,これを書いているのは2025年1月半ばです.
昔は月が替わる前に準備して月が替わった時に更新していたのですが,いつからか徐々に遅れてしまい現在ほとんど2か月半くらい遅れての更新となってしまっています.
昔を知っている人からすると随分堕落したな...と,お感じかもしれません.
コロナ禍の頃に徐々に時間間隔が崩れていったのがいくらか影響を強めたようですが,近年観察対象が広まって現場での調査や撮影した写真の量の増加での後処理にかかる時間がかなり膨れ上がって来ていた事,あとは去年までkayakという季刊誌で連載していた「カヤック乗りの海浜生物記」が先に書いたような状況の中でかなり負担になってきた事がありました.
そんな中,長年観察を続けながら未だ記録として公開していないものが溜まって来ていて,それをこのページなどで一部紹介する程度ではなく,自分が死んで,このページが無くなっても,その生き物のあった姿(事実)が記録として永続的に残るようにするために外部の出来れば紙になる研究関係の媒体に出しておく事を真剣に始めたいと思っていました.
それで昨年長年続けていた雑誌の連載を終わりにさせてもらったのですが,その結果がまずはひとつ出せたのでご報告しておきます.
このページは2024年の11月の日記なので,このページのその他の背景になる時期にはまだ受理されていないのですが.

写真:十分なサイズになって越冬を繰り返しているグンバイヒルガオなら11月にまだ花も咲いている群落もあります.花びらの縁からつんつん出ている棘状の部分は別に硬い訳ではなく何の役に立っているのか大変気になります.解明されているのでしょうか?















写真:十分なサイズになって越冬を繰り返しているグンバイヒルガオなら11月にまだ花も咲いている群落もあります.
花びらの縁からつんつん出ている棘状の部分は別に硬い訳ではなく何の役に立っているのか大変気になります.
解明されているのでしょうか?

写真にグンバイヒルガオを先月含め多用したのは,実はグンバイヒルガオの越冬と繁殖(開花)北限更新とこれまでに記録して来た大小の個体(群)の記録を以下の研究誌に公開をしたからでした.
「グンバイヒルガオの越冬繁殖分布の北限新記録と千葉県南部における生息状況」藤田 健一郎・藤田 直子 観音崎自然博物館研究報告たたらはま No. 28(2024)
これまでは将来発表する内容なので,あまり詳細は書かないようにしていたのですが,既に公開された内容に関しては徐々にここでもご紹介していきたいなと思っています.
文面はもちろんここでペーストするわけにいかないので,原文を探して読んで頂きたいと思いますが,紙の本になったものを購入して頂くか,観音崎自然博物館の会員になっていただいてオンラインの文を読んで頂く形です.
観音崎自然博物館の 関連ページ を貼っておきます.
この紙面には同館の山田和彦さんと共著の館山市の海岸で漂着していたイカについての報告も載っています.
「東京湾で採集されたホウズキイカ(軟体動物門,頭足綱)」山田 和彦・藤田 健一郎 観音崎自然博物館研究報告たたらはま No. 28(2024)
このイカはグンバイヒルガオの論文でも共著になっている妻の直子が見つけ,私が拾って山田さんに報告し郵送,調査されたものです.
小さな美しいイカでしたが,東京湾で初とは驚きました.
漂着したイカは是非山田さんに問い合わせしてみる事をお勧めします.
新たな発見が見つかるかもしれません!

写真:グンバイヒルガオ群落の中に左右対称に齧られた葉が多数ありました.どうやって食べたらこんなになるんだろう?と思いながら見ていたら閉じた葉がいくつか周辺にあって,その状態で食べたのだと分かりました.しかし食べたのが誰なのかが分かっていません.以前には砂の中から顔を出して葉を食べているイモムシを見たことがあるので,それが潜んでいるのかもしれません.















写真:グンバイヒルガオ群落の中に左右対称に齧られた葉が多数ありました.
どうやって食べたらこんなになるんだろう?と思いながら見ていたら閉じた葉がいくつか周辺にあって,その状態で食べたのだと分かりました.
しかし食べたのが誰なのかが分かっていません.
以前には砂の中から顔を出して葉を食べているイモムシを見たことがあるので,それが潜んでいるのかもしれません.

そんなわけでグンバイヒルガオとイカの報告についてまずはご紹介いたしました.
南房総で暮らしている生き物の存在と,その生き様を記録するためにはこういうページでの公開も大切ですが保全まで影響を与えるには科学ベースであることが大切と考えて,わたしの実力では難しいのは分かっていながらそういう場所に掲載されるよう試みています.
今回のグンバイヒルガオも少なくとも日本での最北限越冬,繁殖群落がいくつもありながら,しかし北限であるがゆえに非常に数少なくか細い厳しい状況での生息を保つ努力がなされていません.
それを訴えるために書いたのが主題でしたので,最後にそれについて書いてあります.
千葉県が繁殖と越冬の北限であるものは多々あると思いますが,グンバイヒルガオが関東では越冬できずに繁殖しないというのが通説のようになってしまっている状況では細々と分布を広げようとしている,目立たない種が定着する前に様々な要因で排除されている可能性があります.
つまり実態が知られていないがゆえに県は保護対象として検討していないわけなのですが,植物の専門家の方々が参加して行われている調査でも十分でないのは仕方がありません.
千葉県全土の植物の全てを見られるはずがありませんから.

写真:グンバイヒルガオの種子.こんな毛むくじゃらで水を弾きます.なので海面浮遊の術で遥か遠くから流れ着くことが出来るという事のようです.素晴らしい自然物に備わったデザインの不思議.















写真:グンバイヒルガオの種子.こんな毛むくじゃらで水を弾きます.
なので海面浮遊の術で遥か遠くから流れ着くことが出来るという事のようです.
素晴らしい自然物に備わったデザインの不思議.

その点で一般の人々が見たものを記録し報告していく事が現在非常に大切なこととなっています.
南房総のウミガメの産卵も私が20年と少し前に見つけて報告を始める前には記録がなく,しかし地元の海辺で働く人々には昔から当たり前の存在であったという状況があり,更にはそういう人の中にも「昔はカメが卵を産んでいたけど最近は見ないね」という昔話と化してしまいそうな状況でした.
しかし実際に毎日通って足跡を探してみると当たり前にウミガメが産卵にやって来ていたのでした.
今回のグンバイヒルガオとは経緯が違いますが,「知られていないと無いのと同じ扱いを受けてしまう」という点では一緒です.
「ない」ということになってしまえば,その生息地をどうしたってかまわないという風にもなってしまう可能性があるのです.
だからと言って,それがあるからといって過剰な保護を行う必要は無いと私は考えています.
むしろ自然のままの状況を保ってあげれば良いだけなのですから.
そこに人が影響を与えないで少し離れて住み分けられるようにしてあげるという余裕がこれからの南房総の自然を豊かにし,結果としてヒトの求めるもの「自然豊かな景観」,「豊かな産物」,「豊かな観光資源」というものになっていくはずと考えています.

以下は今月のX(旧Twitter)投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.
写真はいつも通りこの月に撮影したものを文面の流れとあまり関係なく貼ってあり,それぞれ説明を入れてあります.

写真:こちらはハマナタマメの種子.先月の日記ではまだ青々ふっくらな姿の写真があるので見比べてみてください.















写真:こちらはハマナタマメの種子.
先月の日記ではまだ青々ふっくらな姿の写真があるので見比べてみてください.

2日

2003年根本.
海岸道路にあった野島崎灯台を模した街灯.
この街灯が実はウミガメに問題があって2005年に橙色の灯りに変えてもらった経緯があります.(現在は形も変わってLED化)
海側からの写真で街灯が見えますが,これが子ガメを山側に誘導して海に到達できずに死ぬという事が度々起きていました.
灯台は横方向の遠くに光御届かせるための形なので,つまり「灯台下暗し」街頭にはそもそも向いていないのです.
球替えについての状況は当時のブログにあります.
2003年のファイルを引っ張り出したついででの投稿です.
現在のLED街灯も白浜町エリアのウミガメ光害がある位置のものにはルーバーを仕込んでもらい、できるだけ海側に光りが行かないようにしてもらってあります。
当日の投稿

3日

今日海岸で拾った右から左へ文字時代のなんだかわからなかった遺物がなんだか分かりました.
以下参考になりました.(感謝)
「高岡式の開閉型電気スイッチ」
「安全器というのは、昔、ブレーカーの代わりに使用されていた配線器具」
当日の投稿

7日

面白かった!
先生だから何でも知ってるっていう態度じゃなくて、分からないことがあるから研究してるんだっていう事を素直に言える感じが田島先生は良いですね〜。
国立科学博物館YouTubeチャンネル【前編:動物研究部編】異分野の研究員によるクロストーク〜最近って何年前?〜
当日の投稿

写真:11月は一年で最もシーカヤックに適した季節と昔から言ってますが,嘘ではないのが分かる感じの写真.しかし近年の強風の日が多いのには少し参ってます.写真のお客様は開業間もない頃からの20年以上のお付き合いをしてくださっている方で,昔は必ず晴れて穏やかな日に漕いで頂ける晴れ男なのですが,近年風で中止になる日があったりします.気候変動って地球が生きているうちには当然あるものと考えて付き合っていく気持ちが大切と思います.今まで穏やかな時代が続いていたんだなあと,そちらに感謝して.















写真:11月は一年で最もシーカヤックに適した季節と昔から言ってますが,嘘ではないのが分かる感じの写真.
しかし近年の強風の日が多いのには少し参ってます.
写真のお客様は開業間もない頃からの20年以上のお付き合いをしてくださっている方で,昔は必ず晴れて穏やかな日に漕いで頂ける晴れ男なのですが,近年風で中止になる日があったりします.
気候変動って地球が生きているうちには当然あるものと考えて付き合っていく気持ちが大切と思います.
今まで穏やかな時代が続いていたんだなあと,そちらに感謝して.

8日

漂着物の中でハエを捕食していたスナハマハエトリ.
今年はあまり観察してないですが印象からすると少ないような?
潮間帯で採餌する事については以下で短く報告しました.
千葉県南部におけるスナハマハエトリの分布 藤田 健一郎・藤田 直子 観音崎自然博物館研究報告たたらはま No. 27(2023)
観音崎自然博物館に行って買うか会員にならないと読めないのですが,機会あれば読んでみてください.
観音崎自然博物館研究報告たたらはま No. 27(2023)
当日の投稿

8日

10月15日発見のグンバイヒルガオの様子を確認してきました.11/7撮影日
まだ青々しています.
当日の投稿

10日

昨日はシックスドーサルズ開業間もない頃からのお客様Wさんご夫妻にご参加頂き,館山湾大房岬を久しぶりに漕いで頂きました.
テレマークスキーもされるWさんご夫妻,自然を観ながら自分のペースで移動を楽しむ点で共通の楽しさが感じられるそうです.
いつも無理して距離を漕がず楽しまれています.
シックスドーサルズのカヤックツアーは1日1組で催行していますので,参加者の経験度,希望に合ったツアーを無理なく楽しんで頂けます.
また自然相手ですので海況,天候から無理なくルートプラン,決行,中止,など判断しておりますので,初心者の方もお気軽にご参加ください.
当日の投稿

写真:ミサゴがちゃんと魚を捕っている姿を見ると海にはまだ魚がいるんだなあと安心します.













写真:ミサゴがちゃんと魚を捕っている姿を見ると海にはまだ魚がいるんだなあと安心します.

13日

立派なアリソガイの貝殻.
危うくキャタピラに踏まれてしまうところでした...
当日の投稿

14日

9月に撮った写真でクマバチがハマゴウの花を抱え込んで蜜を吸っていて「なんだか可愛い動作だな〜」と眺めていたですが,吻がおかしなところに入り込んでいることに気づき気になって調べたら,これが盗蜜というのをしてるところだと分かりました.
でも花粉を運ばないからって泥棒扱いは可愛そう.
しかし,この素早い動きで花を抱え込んで吻を刺して蜜吸って次!ていうのはなかなか忙しそう.
動画ではそういう様子は全然分からないですね.
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18日

今日のウミネコ
最近センサーを掃除してなくてゴミが右上に写り込んでます.
Leave the Leaves(Xerces Society ホームページ)
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写真:越冬地ではミユビシギを主体にシロチドリと,この日はオバシギも1羽仲間入りしていました.みんな仲良し.でも行動が微妙に違います.ただ,人が来たり天敵が来た時に一緒にいれば少し安心という感じ.ビーチコーミングの時に気づかずに群れを蹴散らしてしまう場合が私もあります.波打ち際にいる時は活性している時なので逃げるのも早いですが,植生の中や漂着物に隠れて休んでいる個体もいるので,そういう場所を避けてあげて波打ち際だけでビーチコーミングをする習慣をつけて頂けると,繁殖期にも産卵した卵を踏んでしまうという最悪のケースを防げます.どうぞご協力ください.















写真:越冬地ではミユビシギを主体にシロチドリと,この日はオバシギも1羽仲間入りしていました.
みんな仲良し.
でも行動が微妙に違います.
ただ,人が来たり天敵が来た時に一緒にいれば少し安心という感じ.
ビーチコーミングの時に気づかずに群れを蹴散らしてしまう場合が私もあります.
波打ち際にいる時は活性している時なので逃げるのも早いですが,植生の中や漂着物に隠れて休んでいる個体もいるので,そういう場所を避けてあげて波打ち際だけでビーチコーミングをする習慣をつけて頂けると,繁殖期にも産卵した卵を踏んでしまうという最悪のケースを防げます.
どうぞご協力ください.

19日

いつも根本海岸のウミガメ,チドリ調査で大変お世話になっている,波音日和の松井さんの絵の個展です.
とてもきれいな色づかい.
南房総が好きな人にはおすすめ.
11/22-12/23野島崎灯台下の白浜海洋美術館で無料だそうですので是非!
波音日和
当日の投稿

20日

船が座礁した勝山浮島のあの浅瀬はうねってる時にカヤックを漕いでると海面がドーンと盛り上がって結構迫力があるんですよね、潮も早いですし。
隣の洞窟×3があるきれいな湾状の場所は初めて漕いだとき千葉県って凄い!と思いました。
あの素晴らしい海に油が漏れないよう願ってます。
当日の投稿

21日

今日はミサゴが3羽!(全部一緒に写ったのはこんな写真だけですが)
当日の投稿

写真:たそがれのウミネコ.ずっと向こうの海岸線は砕ける波が風で内陸に向かって霧のように運ばれている様子が見えています.海の栄養分が地上に運ばれて塩分が内陸の植物の進出を抑える役割をして海浜植物の暮らす場所を創り出してくれます.













写真:たそがれのウミネコ.
ずっと向こうの海岸線は砕ける波が風で内陸に向かって霧のように運ばれている様子が見えています.
海の栄養分が地上に運ばれて塩分が内陸の植物の進出を抑える役割をして海浜植物の暮らす場所を創り出してくれます.

23日

カヤック日記更新致しました.
2024年9月のカヤック日記です.
Bloggerにも掲載してあります. スマホで表示に不具合がある場合は横画面でお願いします.
投稿の写真は漂着した大量のカジメの中のトウネン.
当日の投稿

26日

今日はミサゴが5羽一緒の場所にいました!
数が増えてきたのなら良いなあと思います.

1枚目は全体,あとの3枚はそれぞれのクローズアップです. 当日の投稿

26日

昨日はしばらく見に行っていなかったハマナタマメ群を観察しに.
すると17m離れて新たな個体発見.
周辺にはイソギク満開でした.
海岸散策に良い季節.
当日の投稿

30日

今日はシロチドリを観察できました.
休息中だったので出来るだけ離れて撮影しました.
ずっと暴風だったし疲れていそうでした.
やっと風も止んで暖かな日差しの中でほっとしてるんでしょうね.
7羽写ってます.
探してみてくださいね.
当日の投稿

写真:イソヒヨドリのメス.いつものところにいつもいるという感じのかわいい海辺の主です.ご挨拶を忘れずにどうぞ.




















写真:イソヒヨドリのメス.
いつものところにいつもいるという感じのかわいい海辺の主です.
ご挨拶を忘れずにどうぞ.

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