写真:水を見ているだけでも癒されます。
今年もゴールデンウィークですが、いかがお過ごしでしょうか?
気温も上がって水に濡れても冷たいよりも気持ちが良いという方が多くなる時期です。
まずは海に浮かびたい!という気分ですが、ここのところ風がやけに強い日が多くなっています。
まあ、しかしGWは大抵そうなのですが…。
残念ながらツアーも中止が多くなります、そういう時はカヤックにこだわり過ぎず、自転車ツアーに切り替えていただいて楽しんでみてください。
房総の海岸線はカヤックで漕ぐ時のように楽しめる、のんびり楽しい道がありますのでご案内させていただきます。
潮が十分退く季節でもありますから、砂浜を走れるルートも楽しめます。
おすすめです!
写真:ユリカモメたちは黒マスク姿で北への旅の途上です。
東京湾内湾ではクジラの目撃情報が続いています。
海上保安庁のメールサービスからの情報を辿ってみると、3月3日に「京浜港、横浜区、八景島東方において、生きたくじら(長さ約10メートル)が存在しています。」という情報が最初だったと思います。
その後、同じく3/3に横須賀港、3/8第二海保東方、3/12横浜ベイサイドマリーナ東南東約2マイル、3/18八景島東方、3/21八景島沖、3/21京浜港、横浜区、福浦沖、(これは長さ約5メートル)、4/16八景島沖、4/17根岸湾海釣り公園前(これは2頭!)、4/17第二海保東方300-400m、4/21第二海保東側付近、4/21富津岬北側付近(3頭位!!)、4/23富津岬付近(1頭)、4/23台に海保東側付近、4/25東京湾中ノ瀬航路内(1頭)、4/25川崎沖(1頭)という高頻度で情報がありました。
海上保安庁としては東京湾という高密度航路での事故を防ぐために情報をアップしているのですが、私としてはそれが「クジラを探しに行かないの?」という誘いのメールにしか見えなかったのですが、実際には低いであろう遭遇率や富津まで通う経費や時間とタイミングを考えると思ったようにクジラ探しに出かけられずにいました。
その情報を見ながら、必ず南下して来て南房総沿岸を通ってくれるだろうと期待して待つような状況です。
写真:海岸ではハマダイコンの花が満開です。
しかし、このクジラたちは東京湾で一体何をしているのでしょう?
大きな船舶が水中に放つ膨大な騒音や、船舶との接触の可能性、良いとは言えない水質、沿岸には大型のクジラをも簡単に捕らえることのできる定置網がいくつも張られています。
以前にも希少なコククジラなどが東京湾奥に入り込んで死んでしまった事例がありますし、定置網に入って死んだクジラは何頭もいます。(最下リンク参照下さい)
身近な千葉県沿岸の海にクジラたちがやって来ると、いつも複雑な心境になります。
定置網で混獲というかたちで捕獲されたり、船舶との接触で死んでしまうのは、どれもヒトとの接触により起きる無駄な死という感じがして、捕鯨でクジラが死ぬのとは全く異質なものを感じます。
道路で轢かれているネコのように、なんだか無駄に死んでしまう命がまた増えるのかなと悲しくなります。
このクジラたちが、迷い込んだのではなく意図的にエサを求めて東京湾にやって来たのだとしたら、十分に食べた後にはどうにか無事に東京湾から出て行ってくれたらと願っています。
それにしても目の前の館山湾の中でクジラに逢える可能性が十分にあるという事実は私が館山に越して来た25年前には想像もできなかった事です。
心配ではありますが、やはり一度カヤックで間近にお目にかかりたいという期待もあります。
写真:夕景が美しい季節ですのでお帰りはのんびりどうぞ。
ところでクジラは決して珍しい生き物ではありません。
冬に小笠原に行けばザトウクジラが普通に見られますし、銚子の沖にはマッコウクジラがいて、北海道ではシャチだっています。
イルカの仲間なら御蔵島、天草、房総でも九十九里に行けばスナメリが普通に見られます。
ただ生き物を見る時に、「ここにいるのは珍しい」という考え方があります。
「東京湾にいるのは珍しい」ということで今回のクジラたちは話題なのですが、そもそも東京湾の勝山では捕鯨をしていましたから、種類は違いますが昔の東京湾ではクジラは珍しいものではなかったと言えるでしょう。
本当は豊かな東京湾にクジラがいないという事が不自然と言えるのかもしれません。
それほどヒトが東京湾を変えてしまったのかもしれません。
5日の日、館山の自宅で私の車の窓ガラスに見かけない昆虫が降り立ちました。
携帯電話で撮影していたところで飛び去ってしまいましたが、後で調べてみるとオキナワイチモンジハムシという種でした。
その分布はなんと南西諸島以南ということで、房総半島に本来いるはずもない「珍しい」虫だったということが分かりました。
これは3日の日に合宿で案内を担当させて頂いた丹誠塾の子たちが白浜で目撃していた虫と同じだということが確認できました。
インターネットで調べてみるとどうやら南房総に定着している様子だそうです。
写真:トビはもう巣を構えました。ハヤブサはまだ見つけられず。
この虫の場合は先のクジラたちと全く逆のケースでヒトの影響を受けている可能性があります。
クジラの場合は棲む場所を改変されて、生息地を追われたり、過剰に捕獲され数を減らし、祖先が時には寄っていたかもしれない餌場の一つに入ってみたところヒトは「珍しい」と反応しています。
オキナワイチモンジハムシの場合は本来の生息地から何らかのヒトの輸送の影響を受けて、偶発的な便乗か、人為的な移植によって本来の生息地からかなり離れた場所で姿を見せて、そしてヒトが「珍しい」と言っている状況です。
どちらのケースも実際の経緯は確認できませんが、そのような事例は多々ありますから、ヒトがどれほど気軽に自然の状況を混乱させているかを知るには十分な状況です。
生き物は自然な生息地でその生き物の移動能力の範囲で暮らしているから、その場所に行って初めてその姿に触れることが楽しいのですし、珍しい地域で確認された場合には彼らそれぞれの移動能力の限界を垣間見る楽しさがあるわけで、そこにヒトが介在してしまっているかもしれないと考えるとそれらを簡単に楽しめなくなってしまいますし、何より問題ばかりが目について自然を見るということが楽しめない世界になってきているように思います。
東京湾で安心してホエールウォッチングができたなら、どんだけ楽しいでしょう!
オキナワイチモンジハムシが南房総で見つかった時に、ヒトによる移植の可能性がない状況であったなら、どれだけそれは珍しくワクワクするできごとだったでしょう?
もっといろいろな事に配慮していかないと楽しみが減ってしまったというだけでは済まされない状況がやって来ると思います。
なんだかじんわりと心配です。
写真:アカウミガメの漂着死骸。繁殖の季節を前に…。
昨年夏のウミガメ調査中に拾った南方種のニッパヤシは無事に私の自宅で越冬し育ち続けています。
ニッパヤシが見られるのは日本では西表島のいくつかの個体だけという、ちょっと驚くような実際がありながら、南房総にもその種子が漂着し、さらには発芽していたというのは驚きです。
先のオキナワイチモンジハムシのような小さな虫の移動能力では南房総への自力での到達は想像できないのですが、海流という大きな乗り物に乗ることで自身に移動する能力がない植物がこれほどの距離を移動してくるのですから、オキナワイチモンジハムシも何かの漂流物に乗ったまま運よく数個体が到達したという可能性も捨てきれないのかもしれないと考えさせられます。
しかし反対に考えればニッパヤシも庭木として販売されているのですから、誰かがどこか東京の川かどこかに捨てたものなのじゃないだろうか?と考える必要もあるわけです。
それもまた確認のしようがないわけです。
なんともややこしく、盛り上がりにくい自然界になってしまったものです。
そして何より私がそのニッパヤシを育てるということについて考える必要があります。
遥か南方のこのマングローブ植物を育てたなら、決して自然界に戻してはいけません。
もちろん気温などの関係から自力で自然の中で生き続けることは難しいとは思いますが、十分に育ってからは耐性がどれほどか分かりません。
生涯、ヒトの管理のもとに見守り続けることができるよう十分注意したいと思います。
今号のKayak誌ではそんなニッパヤシについていろいろ書かせていただきました。
ぜひご覧いただければ幸いです。
写真:風が吹く前の貴重な午前の凪。
丹誠塾 https://tanseijuku.jimdo.com/
ニッパヤシを拾った月の日記
2016/8
東京湾コククジラ混獲の日記
2005/5
東京湾ニタリクジラ調査の日記
2007/5
2008/7
参考にさせていただいたオキナワイチモンジハムシについてのリンク
虫ナビ
房総の山のフィールドミュージアム
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