カヤック日記


2024年12月の出来事

写真:細長いダツの仲間を捕まえたミサゴ.表層を泳ぐ事が多いようですし(カヤックで時々水面を群れでジャンプしているところを見ます),何より掴みやすそうです.













写真:細長いダツの仲間を捕まえたミサゴ.
表層を泳ぐ事が多いようですし(カヤックで時々水面を群れでジャンプしているところを見ます),何より掴みやすそうです.

この月の内容ではないですが、今これを書いている2025年3月初めのことです.
世の中いろいろと変化が激しく、それに合わせるかのように天候も目まぐるしい日々ですが、そんな中「南房総うみはま研究会」なる「会」を始めました.
このブログも「カヤック日記」から「うみはま日記」にしようかなと思ったりもしましたが、しばらくはカヤック日記のままとしておきます.
かといってシックスドーサルズ・カヤックサービスを終わりにするわけではなく、並行して続けていくつもりです.
今回のことはカヤックツアーをしながら継続してきた自然物の記録活動を分離したという感じで、分離することで活動の形を変えていきたいという目的があります.
ツアーに付随して調査研究をしていくのは営利に繋げるための活動と捉えられがちだと思いますが、実際ツアーを行う際のフィードバックが当初の目的のひとつですので、そうに違いないのですが、営利目的ならもっと他の事をすべきなので...むしろ出費を増やしてしまっている状況だったりします.

写真:海岸を歩く人に驚いて飛び立った越冬中のシロチドリの群れ.波打ち際を歩く分には植生の中や砂丘の麓などに逃げられるので植生を避けて歩いてあげられると彼らも穏やかに過ごせますね.













写真:海岸を歩く人に驚いて飛び立った越冬中のシロチドリの群れ.
波打ち際を歩く分には植生の中や砂丘の麓などに逃げられるので植生を避けて歩いてあげられると彼らも穏やかに過ごせますね.

生き物や海岸環境の記録は将来のための記録として考えて行ってきたもので、それをしなければと感じた理由のひとつはウミガメの産卵調査を始めた時にありました.
根本海岸ではじめてウミガメの産卵に気づいた時に過去の記録がないことがわかりました.
一方で根本の海女さんなどに聞けば昔からの当たり前のもので、90歳前後の方の幼少期の記憶にそれが刻まれているという事も分かりました.
つまり「当たり前」ほど記録されないという事で、それはウミガメの前に観察をしてきたイルカについても言えました.
漁師さんから「沖に行けばイルカは普通にいる」という情報がありながら、その種や頻度は分からないので写真ひとつでもあればと思ったものでした.
そういった昔の出来事を、もし100年位前から市民科学が普通のものとして定着していたとしたら、漁師さんや海女さんがノートを残すことで研究記録として正式に文献化されていたなら、この海での本来の姿が汚染や開発、気候変動といった変化に対してどう変わっていったのかが分かったはずで、本当に残念だったのです.
だから素人の自分が敢えてツアーのガイドをしながらその海に暮らす生き物を記録し、海岸の変化も記録し、慣れない人にとっては難しい壁となっている研究報告の仕方をなんとかしながら、これまで記録してきたことを報告にしていきたいと今少しずつやっているところです.
これにより「私でも出来たのだから皆も出来る」という形にしていきたいですし,何よりその入り口を小さくても用意しておくことが大切と感じました.
これは結局私が研究者の方々に助けて頂いた事を私なりの立場で受け継いで,私と同じ素人である市民科学者を特にこの南房総で増やすことが結局土地の自然を見守る目となると考えています.

写真:南房総市太平洋岸の河口に現れたイカルチドリ.今まで観察したことがなかったのですが、私が主に記録している砂浜では見たことがないですが、河口には来ていたのかもしれません.採餌している様子を見る限り、河口の環境条件もかなり自然的な場所でなければ好まなさそうです.













写真:南房総市太平洋岸の河口に現れたイカルチドリ.
今まで観察したことがなかったのですが、私が主に記録している砂浜では見たことがないですが、河口には来ていたのかもしれません.
採餌している様子を見る限り、河口の環境条件もかなり自然的な場所でなければ好まなさそうです.

南房総に定着したイルカの件を昔報告で書いた際にはイルカのおかげで知り合うことが出来た様々な素晴らしい研究者の方々に大変お世話になりました.
その先生方は全くの素人でもともとの基礎的な自然科学に関する知識も不足している私に対して大変おおらかに受け入れてくださり、実際に海で見たものを形にするという作業に協力してくださいました.
その時の経験がなければ研究者の中に首を突っ込んで発表するという事には今もなっていなかったと思います.
今回の「南房総うみはま研究会」のサイトには「みんなの研究発表」というページを設けました.これはまさに自分が「研究」とその発表という事に関して感じていた敷居の高さを排除したいという目的があります.
もしもその昔、海女さんが気楽に、休みの日にでも海で見た珍しいものを書いたメモ程度のものを気楽に「研究」として公表できていたら、今の南房総の海辺や海の上での様々な出来事の記録の無さを嘆かずに済んだはずという事を今からでも変えたいという気持ちです.
さらには小さな将来を担う子供たちにも気楽に研究を行う気持ちを育てる必要に対しての場にもなることを望んでいます.
このページに書き込むのはSNSで投稿するのとそれほど変わらない気分で、しかし中身は見る人が見たら基調と思える内容になるのではないかと考えています.
それを見たプロの研究者が「見つけ」本当の研究発表に?がる可能性が十分にあると思います.
私が御蔵島から来たイルカを記録できたのもそんなレベルの出来事でした.
それを研究者の方々が受け止めてくださったからそれが記録として残りました.

写真:富士山を背景に沖合で魚を探していたミサゴ(中央の小さな点).岸から数十メートル程度の範囲で魚を捕っている印象がありますが,よく観察するとかなり沖でも餌を捕ります.カヤックで沖合でその場面を見る事もありますが,じっくり観察するには岸からの望遠がやっぱり良いです.













写真:富士山を背景に沖合で魚を探していたミサゴ(中央の小さな点).
岸から数十メートル程度の範囲で魚を捕っている印象がありますが,よく観察するとかなり沖でも餌を捕ります.
カヤックで沖合でその場面を見る事もありますが,じっくり観察するには岸からの望遠がやっぱり良いです.

そのような気楽な発表の場を用意して、もうひとつは同じように気楽に「勉強」できる場所をつくることで、それは毎月の勉強会として基本的に無料で継続していくつもりです.
できればそのうち研究者の方などをゲストに来ていただいて特別な回も設けたいと考えていますが、まずは毎月の参加者を少し安定していくことが必要かなと感じています.
またこの「勉強会」も本当に学校のようなムズカシイベンキョウとならないようにしていきたいと思っています.
私自身学校でのベンキョウは大の苦手でしたので、何がその苦手な気分を生み出しているのかはかなり実感しているので、それを避けつつ楽しく真面目にしかし好奇心に?がり、結果として海岸の環境理解に繋がるように努力していきたいと考えています.
もちろんなかなか難しいことなのは良く分かっていますので、無理なくやっていきたいと思います.
そのようなわけでシックスドーサルズではできなかった広がりを創り出していくことを目的としていますので、ご参加よろしくお願いいたします.
特に砂浜環境は今大変な厳しい状況にあります.何が厳しいのかというと主にはそこに暮らす生き物の状況ですので、多くはそこに時間を割いていきます.
また「会」といいましても会員制でもなく会費も徴収しません.一期一会な「会」で良いという感覚で、毎回時間の都合や今日の対象によって離合集散する「会」としたいと思います.どうぞお気軽にご参加いただければ幸いです.
詳細はホームページを開設してありますのでご覧いただければ幸いです.
南房総うみはま研究会リンク

写真:南房総市の海岸で越冬をしているのを確認し継続観察をした3羽.ダイゼン2羽とムナグロ1羽の組み合わせで間違いないようです.夏羽は独特の模様で両種とも似たような姿で紛らわしいのですが,地味な冬羽は尚更でしばらく判然としませんでしたが,一緒にいるところを見てみると1羽が明らかに褐色がかっていてやや小型であることから,そちらがムナグロ(写真中央)と判断しました.種は違いますが同じムナグロ属ですし,それほど違和感が無いのでしょうか?ダイゼン2羽に小さなムナグロはくっついて安心している様子です.















写真:南房総市の海岸で越冬をしているのを確認し継続観察をした3羽.
ダイゼン2羽とムナグロ1羽の組み合わせで間違いないようです.
夏羽は独特の模様で両種とも似たような姿で紛らわしいのですが,地味な冬羽は尚更でしばらく判然としませんでしたが,一緒にいるところを見てみると1羽が明らかに褐色がかっていてやや小型であることから,そちらがムナグロ(写真中央)と判断しました.
種は違いますが同じムナグロ属ですし,それほど違和感が無いのでしょうか?
ダイゼン2羽に小さなムナグロはくっついて安心している様子です.

以下は今月のX(旧Twitter)投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.
写真はいつも通りこの月に撮影したものを文面の流れとあまり関係なく貼ってあり,それぞれ説明を入れてあります.

6日

昨日行った時々しか行けない某所海岸でミサゴとシロチドリとハマボウフウを観ることができました.
皆さん変わらず元気で何よりでした.
千葉県内だけでも行きたいところに行きたいだけ行けるわけではないので毎回の観察が大切です.
当日の投稿

8日

去年新装オープンした沖縄の 名護博物館 で2010年1月に沖ノ島に打ちあがったザトウクジラの骨格が展示されてました.(科博のデータベース内のこの個体
投稿の写真は当時に沖ノ島での国立科学博物館による調査に参加した時で、青い上着が私です.
他はほとんど血だらけの解剖の写真なので省きましたが現場は見物の人も多かったです.
南房総でザトウクジラ漂着はまだ珍しかったころで、その後毎年のようにザトウクジラが打ちあがるようになります.
この時は大変苦労して肉をきれいに骨から剥がし、標本にする時のことを考えてきれいに並べて埋めたのですが,当初標本化を言っていた館山市で展示されなかったのは本当に残念でしいた.
しかし、まさか沖縄での展示という展開があるとは想像もできず、やっぱり苦労して作業した甲斐がありました.
今年のはじめには和田とか鴨川沖漂流→勝浦の打ち上げがありましたし,この冬もまた打ちあがりそうですね.
この月の ブログ に漂着時の写真もあります。
当日の投稿

写真:ゴミだらけの海岸の何もない景色という不思議な写真に見えると思いますが,実はこの漂着物に隠れて風を凌ぎ,天敵から隠れて過ごしている鳥が5羽写っています.













写真:ゴミだらけの海岸の何もない景色という不思議な写真に見えると思いますが,実はこの漂着物に隠れて風を凌ぎ,天敵から隠れて過ごしている鳥が5羽写っています.

写真:上の写真の中でもは特に目立っているミユビシギ.この他にシロチドリが4羽いますが茶色で目立ちません.この写真の状況が実際の砂浜での状況で,漂着物の役割のひとつが砂浜に暮らす鳥類の隠れ家,そしてこの状況での目立たなさが彼らの存在を無いものとしてこれまで砂浜利用をしてきた実情と言えます.ミユビシギは千葉県一般保護生物













写真:上の写真の中でもは特に目立っているミユビシギ.
この他にシロチドリが4羽いますが茶色で目立ちません.
ミユビシギは千葉県一般保護生物 (D),シロチドリは絶滅危惧U類 (VU),千葉県最重要保護生物 (A)に指定されています.
この写真の状況がそのまま実際の砂浜での状況で,現場では更に見つけにくい状況です.
こうした漂着物の役割のひとつが砂浜に暮らす鳥類の隠れ家,そしてこの状況での目立たなさが人にとって彼らの存在を無いものとしてこれまで砂浜利用をしてきてしまった理由で実情と言えます.

15日

先日古いハードディスクを開いている時に出てきた2016年のウミネコ救出写真を動画化してYouTubeにアップしました.
海洋大のカヤック実習で漕いでいた館山湾湾奥での出来事です.
釣り糸の問題点について考えてみる一例となれば良いなと思った次第です.
是非ご覧ください.
「釣り糸の絡まったウミネコ幼鳥のカヤックでの救出例 千足耕一様撮影 2016年8月11日 館山湾」6DORSALS YouTube
当日の投稿

18日

オーバーハングの堤防に張り付いていたスナガニ.
すぐ下の砂だまりに巣穴があるけれど,ここに登って来た訳はなんだったのだろう?
クライミングを趣味とする個体だったのかな?
(10月撮影)
当日の投稿

18日

今日のミサゴ.
ゆっくりと滑空して行った先には魚の群れがいてミサゴに驚いて慌てて逃げています.
そして,魚たちが危険を感じて群れをギュッと小さくしたところで再度襲撃して捕獲したように見えました.
そしてせっかくデカいのを捕ったのに魚を落としてしまって今度はミサゴが慌て気味?
当日の投稿

19日

ブログ更新致しました.
2024年10月のカヤック日記です.
http://6dorsals.com/column/column.htm
Bloggerにも掲載してあります.
https://6dorsals.blogspot.com
スマホで表示に不具合がある場合は横画面でお願いします.
写真:産まれた海岸にひとり残ったシロチドリ幼鳥.
この12月の日記もそうですが、どんどん遅れ気味で、このままだと半年以上古い記事をアップする時代が来てしまいそうです….
当日の投稿

写真:冬は長年観察を続けている事もあってどうしてもミサゴの写真が増えます.そして近年複数で見られる機会が増えてきたようです.













写真:冬は長年観察を続けている事もあってどうしてもミサゴの写真が増えます.
そして近年複数で見られる機会が増えてきたようです.

19日

「The Last Observers」良い映画でした!
鳥好き,自然の中での暮らしが好きな人におすすめでした.
(設定で日本語翻訳テロップで見れます)
The Last Observers | Patagonia Films(YouTube)
最後の言葉は特に共感しました.
「今いる場所が幸せなら、そこに留まるだろう。
そして、経験することがたくさんある。
そして毎日、新しいことを学ぶことができる。
今いる場所で生き、そこにあるものを楽しむ。
それが私の一番のアドバイスだ。」
”If you're happy where you are, you'll stay.
And there's so much to experience.
And to learn, every day, new things.
Live where you are and enjoy what's there.
That's my best piece of advice.”
私は南房総に住んでからあまりに豊富な自然に圧倒されて「他の地域の自然を観ている余裕はないのかも」と気づいてしまいました.
いろいろ行きたいところ,見たいものとある中で,やっぱり自分の住んでいる場所の特に海辺の自然をもっと深く観る方が楽しいですし、日常的に観察できるという点で貴重な記録を残しやすくなると考えました.
その経験が今回の南房総うみはま研究会に?がりましたので,この物語の中で表現されているものがとてもよく分かる感じがしました.
当日の投稿

21日

昨日のミサゴです.
ダツの仲間を捕獲して海から真っすぐこちらに来て上空を旋回後山の方へ.
自慢しに来たのかな?
魚が捕れた時の動きに嬉しさが感じられるのは気のせいだと思いますが,やっぱりそう見えます.
当日の投稿

写真:開きそうで開けない感じのグンバイヒルガオの花.この群落は越冬し種子を結ぶ群落としては千葉県太平洋岸で最北になっています.つまり恐らくは日本の太平洋岸での最北となりますが12月に花がある状況です.東京湾岸にはさらに北に位置する越冬し結実する群落があり、東京湾を太平洋の中に含めて考える場合にはそちらが北限です.




















写真:開きそうで開けない感じのグンバイヒルガオの花.
この群落は越冬し種子を結ぶ群落としては千葉県太平洋岸で最北になっています.
つまり恐らくは日本の太平洋岸での最北となりますが12月に花がある状況です.
東京湾岸にはさらに北に位置する越冬し結実する群落があり、東京湾を太平洋の中に含めて考える場合にはそちらが北限です.

22日

東京湾湾奥に入り込んだザトウクジラがいろいろ心配です。
2005年に袖ヶ浦に入ったコククジラはやっと東京湾外湾まで下ったと思ったら定置網に入ってしまったという事例を思い出します。
無事に出てくれたら良いですね。
当時の ブログに少し書いてあります。
2005年コククジラの経緯はここに詳しいです。
「2005年に東京湾に出現したコククジラの観察」南部et
定置網は岩井海岸沖でした。 当日の投稿

22日

ちょっと珍しい写真が古いハードディスクから出てきたのでご紹介.
館山市沿岸で遭遇したカンムリウミスズメの雛です.
なんと千葉県では2例目という珍しい出来事でした.
海鳥好きな人にはシーカヤック絶対的にお勧めです.
こういうことがあるとカヤック漕ぐのがまた楽しくなっちゃうんです.
この2006年頃は成鳥は時々見ていて,でも珍しいので見つけると写真記録してたんですが,この明らかに雛!ていう個体を見た時は千葉での雛観察例があるのかも知らなかったんですが後で2例目と分かり,山階鳥研に連絡していろいろアドバイス頂きながら報文を載せて頂きました.
「千葉県館山市沿岸で観察されたカンムリウミスズメの雛」
当日の投稿

写真:根本海岸の南端に広がる御神根という名の岩場に休むウミウなどの海鳥と遥か水平線には伊豆諸島の利島、そして潜水艦.写り込む乗り物ひとつで平和な風景の空気が変わります.潜水艦に用のない時代が来たら良いですね.













写真:根本海岸の南端に広がる御神根(おがみね)という名の岩場に休むウミウなどの海鳥と遥か水平線には伊豆諸島の利島、そして潜水艦.
写り込む乗り物ひとつで平和な風景の空気が変わります.
潜水艦に用のない時代が来たら良いですね.

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