写真:富津市の新舞子海岸で人生2回目のミヤコドリに遭遇!
有機漂着物と海浜植生に大変恵まれた上に人のアクセスに自然な限界が設けられている素晴らしい海岸です.
ミヤコドリもそれを評価したのでしょう.
以下は今月のTwitter(Xともいうらしいですね...)投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.
1日
『<海や大陸を渡るチョウやトンボ>「渡り鳥」は良く聞きますが,意外なことに昆虫のチョウやトンボにも「渡り」をするものがいます。移動距離が3000km以上に及ぶこともあるとか。中には日本に飛んでくるものもいるため、この秋に見られる地域もあるかもしれません。』
上記のようにウェザーニュース@wni_jpのTwitterにアサギマダラが取り上げられていました.
お天気のサイトで生き物の渡りについて書かれているの良いですね.
生き物の移動にも「お天気」は凄く重要な要素ですし.
生物には天気予報が無いし観天望気は命がけです.(シーカヤッカーもですよ)
シーカヤックを漕いでいるとかなり沖で,更に沖から飛んでくる昆虫が結構います,それを見るために漕ぎ出すというのも面白いですよ.
カヤックを漕いでいる時にアサギマダラが沖から海岸のスナビキソウにまっすぐに飛んで行く場面を見たことがありますが,数百メートル沖からスナビキソウを既に嗅ぎ取っているんだと分りました.
当然もっと沖から嗅ぎつけているのでしょうけど凄い能力ですね.
見つけやすいものではスズメバチ,ミツバチ,モンシロチョウ,シジミチョウ(ウラナミシジミっぽい)などが主にカヤックの近くを飛んで行きます.
写真に撮るのが難しいのが難点.
種確認のための採取は試した事が無いです.
写真はブログより.(Twitterの投稿で過去の海上での昆虫との遭遇の写真をいくつか拾い出し貼ってあります)
本文に関連記事も多少あります.
関連カヤック日記リンク
2004/10 ウラナミシジミ
2013/9 スズメバチ
2014/5 アサギマダラ
「3000km以上も移動! 海や大陸を渡るチョウやトンボを知ってる?」ウェザーニュースホームページ2023/10/01 05:00
ウェザーニュース@wni_jpの午前9:03 ・ 2023年10月1日投稿
当日の投稿
3日
館山市立博物館の特別展「関東大震災と館山」に行ってきました.
Twitter上の写真は今回の特別展の冊子から.
あらためて隆起が凄まじかった事を実感しました.
特に隆起の激しかった白浜の根本海岸には岩の窪みで暮らしていた状態のまま隆起して死んでしまった貝が,今ではそれこそ津波でもなければ水が来る事の無い高い位置の岩にまだ付いてて生々しいです.
ちなみに館山市立博物館は城山の麓にあります.
住んでる人以外は意外と知らないのかも?
こじんまりですが,昔の民家を再生した展示なども素晴らしいです.
館山市立博物館館山市ホームページ
令和5年度企画展「関東大震災と館山」館山市ホームページ
当日の投稿
写真:関東大震災の前までは本物の島だった沖ノ島,最近なにやら若い人々に人気です.
海から見たこの景観は昔から「映えスポ」だし「エモ」かったのですが,今流行っているのは専ら地上からの視点.
海からも是非見て頂きたいです.
10日
次号kayak誌の原稿のための探し物があって昔の写真を引っ張り出してました.
投稿したのは館山湾に浮いていたザトウクジラの死骸と千倉に打ちあがった別のザトウクジラの写真.
そして,それに集まった鳥たちの姿.
クジラの天辺に乗っかって皮をついばんでいるのは,いずれもシロカモメでした.
そしてどちらも2016年の1月なのでした.
詳細は当月のブログ「カヤック日記」をご参照ください.
ちなみに次号kayak誌の連載「カヤック乗りの海浜生物記」はカモメ編です!
千倉の漂着場所は鯨場と呼ばれていると,写真の人と区長さんが教えてくれました.
昔に幾度かクジラが打ちあがった場所だそうです.
その後,カヤックでここを漕いだ時に入り組んだ岩場の関係か不思議な流れがあり,クジラがここに打ちあがるのは潮の流れが関係していそうでした.
漂着位置(Google map)
当日の投稿
11日
館山湾で漂着したウミガメの死骸にサメが齧ったと思われる跡が3か所もありました.
甲羅の縁を齧られただけとはいえ,人間だったら大怪我ですが生き延びてちゃんと治癒していて凄いですね.
治るまでとても痛かったでしょう.
そして,しかしここで何故死んでしまったのか?
やっぱり海でひとりで生きるのは大変なのですね.
ウミガメの死骸を見つけたら,私の方かELNAまでご連絡お願いいたします.
私は解剖できませんので,近所であれば(さらに動ける状況であれば)現地確認してからELNAに引き継ぎと日本ウミガメ協議会への報告をします.
後日,今回このウミガメを調査をされたELNAの井ノ口さんから興味深いお話を聞かせて頂きました.
公開許可いただきましたので,メールを引用させていただきます.
サメではなく人工物の影響の可能性ありとのお話でした.大変興味深いお話です.
死骸を調べる事で珍しい問題事例が見つかる場合がある例ですね.
「このような形状のものは初めてです。
左中央の傷を見ると、窪みと共に縁甲坂(甲羅の一番外側=縁の甲羅)も一緒に曲がっています。
ただ齧られたのであれば一緒に曲がらないはず&左右に大きく凹んでいるのも妙でして…おそらくですが、何かに挟まったまま成長してしまった時の名残りなのかなと。
例えば小笠原ではP箱(瓶ビールなどのプラスチックケース)にはさまったまま抜けなくなったまま生き延びている個体を2回発見されてます。
そのカメ達は発見されて海洋センターの方で保護しましたが、発見されない場合&生き延びたらこんな甲羅の形状にな?ケースも想定されるかと思いました。」
ELNAホームページ
当日の投稿
写真:上記で紹介したウミガメの死骸.
甲羅中央両脇に異常なくびれがあります,後部左側はサメかと思います.
12日
先日の海岸植物探しで新たにハマナタマメ群落を発見.
自然度の高い海岸線はかなりチェックしてるのですが,こういう水辺の奥の人工的な場所は調べが甘いので,まだまだいろいろ見つかりそうです.
こういう時の移動には自転車が最適ですね.
当日の投稿
14日
再読していた本に横浜の人工砂浜の砂が房総半島の山から買って運ばれたものと書かれていて,その量は110万立方メートルとのことでした.
前に読んだ時にそれが房総のどこから運ばれたのか気になっていたのを思い出しました.
山が削られて酷い姿になってるのは少し内陸に入ればよく見かけます.
熱海でも痩せた砂浜に補充するための砂を房総半島から買ったとのこと.
この本の中では「失われた自然を取り戻す試み」という章にこの記事があって,痩せた砂浜に砂を補充したり,埋め立てたその前面に人工砂浜を造る事例を挙げているんですが、それでもやらないよりは良いのかが謎です.
環境のためのような顔をして実のところ経済とか人のためで,結果的に「自然界にも少しは良いかも」っていう程度のなんだか偽善的なものを感じずにいられないです.
しかもそれで房総とか砂を売った地域の環境まで犠牲になってしまっていたら,広い視点で言えば自然を取り戻したとは言えないと思うのです.
どんな場所でどんな風に採取された砂なのかについても書いてほしかったですが,紙面の限界があったのでしょうか?
日本中の海岸環境改変について読みやすく書かれたとても良い本です.
横浜の海岸線,終戦直後と現在との比較 今昔マップより.
「海岸とつきあう(自然環境とのつきあい方 5)」 小池 一之 著
海の公園のHPにも砂を房総から持ってきたとありました。
当日の投稿
18日
最近,スケグ(カヤックの底に出てくるフィン)のプレート(そのフィンつまり板ですね)を外したら,その板が入る分のスペースに溜まるようになった雨水でいつもお風呂に入っているアマガエルさん.
カヤックを出す時に謝りながら出てもらうのですが,きっとまた帰ってくる(カエルだけに)
そして,今期初ウェットを着ました.
このウェットは
メンズ・R1ライト・ユーレックス・ロングスリーブ・トップ
の少し古い型で,「ネオプレン不使用のユーレックス天然ラバー85%/合成ラバー15%(ポリマー含量)製」「天然ラバーの供給元はレインフォレスト・アライアンスによるFSC(森林管理協議会)認証済み」と,重ねているのは
メンズ・ロングスリーブ・RO トップ
の少し古い型.「リサイクル・ポリエステル85%」
いずれも環境に配慮した素材が選択されている点が他と比べた時の長所となっています.
Patagoniaの製品はプロセールスプログラムに加入させていただいている事もありますが,同社がリサイクルポリエステルでフリースを作り始め,その後コットン製品を全てオーガニックに切り替えた時からの長年のファンでもあります.
そして50周年という長い年月に渡って続く会社でありながら,未だに衰えない環境への配慮と先進性に対して,最も興味深い会社として注目し続けてきました.
またビジネスを環境に還元する為の手段とするという同社の考えに私の活動の方法論も大変な影響を受けています.
ところでウェットの上にラッシュガード的なウェアを重ねるのはおかしくない?と思われるかもしれないですが,カヤッカーはその上にPFD(ライフベスト)を重ねるので,それとウェットとの摩擦でウェットの特定の部分だけが痛むのを防ぐのと紫外線防止との為という個人的な考えによる選択であります.
※上記製品リンクはアフェリエイトにはなっていませんが,当方活動にご協力いただける方は
6DORSALSホームページトップページ
もしくは
当方Bloggerサイト内
のPatagoniaアフェリエイト入口ボタンからのご購入お願いいたします.
当日の投稿
写真:漁港の近くに網干場がある場合,その奥には大量に積み上げられ草で覆われながら徐々に朽ちていく網が積み上げられている場合が多々あります.
Patagoniaでは漁網を回収しリサイクル素材として自社製品化に成功しています.
日本での回収活動が始まる兆しがあり大変期待しています.
「ネットプラス・リサイクル漁網」パタゴニア日本ホームページ
25日
「海岸でウミガメが見えるとこんな感じ」というのが分かる動画が録れたのでアップしました.(画質悪いです)
2頭が海面で呼吸します.
一瞬ですから瞬き禁止ですよ.
気長な人しか見ない動画になってます.
気長じゃないとカメを見るのは難しいので...
当日の投稿
25日
ポッドキャスト南房総海音日記に「2023年6月のカヤック日記」をアップしました.
今回もホームページ内とBloggerで掲載している毎月1回更新のブログを読んでご紹介させていただきます.
え?6月の?という感じで,もう10月も終わりに近いのですが...
本文,写真も見ていただく場合はBloggerからがおすすめです.
Spotify
当日の投稿
31日
いつもギリギリですが,本日締め切りの日本ウミガメ協議会への産卵上陸・漂着記録の今シーズン分の報告を済ませました.
漂着情報の報告,発見してくださった方,本当にありがとうございました.
当日の投稿
写真:南房総で初めてオシドリのツガイを見ました.
少なくとも海岸にいる記録は少ないのでは?
ちょっと酷い写真ですが記録として載せておきます.
Twitterの引用は以上です.
10月の写真を整理していて思い出したのですが,29日にモンキアゲハを見ました.
場所は館山市の太平洋岸に面する山腹で,安房神社に接する千葉県立 館山野鳥の森の山道内でした.
大雑把な記憶ですが,モンキアゲハは南房総では2000年代初頭くらいまでは数が少なくて,しかし夏に大房岬に行くと見られるという感じの蝶でした.
あくまで個人的な記憶レベルなので,内陸の情報も私は少ないので海辺での,モンキアゲハにそれほど興味を持ってもいない状態での遭遇の記憶といったレベルですが.
私は東京で育ちながらも,昆虫採取が大好きでしたので,その貧しい自然環境の中にいる数少ない昆虫を見つけて見分けることは日々行っていたので,その中にいなかったモンキアゲハについて「子供時代に東京では見た事が無かった黒いアゲハ」という点では興味を持っていましたので,南房総の海岸線に限って言えば「大房岬になぜか多かった」というのは間違いではないと思います.
ただ時期があまりにぼんやりとしていて,メモのひとつも残していないのが残念です.
どこかに写真はあるのだと思うのですが,フィルムをひっくり返さないと・・・.
南房総の海辺の記録を意識して残すようになるより前なので,初めてモンキアゲハを見たのは1990年代の中頃までであったという事になると思います.
しかし当初はイルカやウミガメなど完全に海に関連している生き物に絞っていた事もあり,なんとも定かでないことが悔やまれます.
そして,ともあれモンキアゲハが徐々に南房総のどこでも見られるようになって,当たり前の種類となっていったのを記憶しています.
我が家にある古い図鑑(昭和41年発行※)には「本州では神奈川県(海岸地帯)から以南の暖地に多いが,これより北に向かうにつれて次第に少なく,宮城県仙台付近が分布の北限といわれている.」とあります.※「標準原色図鑑全集1 蝶・蛾」白水 隆・黒子 浩 著 保育社
南房総は「神奈川より北」ではないですが,東であるという事で神奈川より遅れて定着した地域だったのでしょうか?それともやはり私の目がモンキアゲハをちゃんとピックアップできていなかったのか?
写真:10月29日にモンキアゲハを見ました.
館山市太平洋岸の山腹(野鳥の森内)でした.
主に暖かな地域に生息している種なのですが.
いずれにしてもその昔,暑い時期にしか見かけなかったモンキアゲハを11月も近い時期に見かけたことがなんとも違和感があって書いてみた次第です.
もしかすると以前にもこの時期に見ていたかもしれませんし,やはり何でも少しでも簡単にでもメモなり写真なりを残すべきだなと反省しています.
この時期にモンキアゲハが館山市で元気そうにしている姿はやはり今年のこの異常な暑さに関連させてしまいます.
しかしそれで何故縄文海進ならぬ令和海進が起きないのか?いろいろとまだまだ勉強が必要ですが,研究者の方もそれについて説明しきれない部分があるようで,なかなか簡単に未来は予想できないものだなと楽しくなります.
こんな大変な時に何が楽しいのかな?と思われる方もいるかと思いますが,私の性分なのですが,分からない事があるという事が楽しいというところがあります.
「分からないと怖い」という風に考える人が普通は多いのだと思いますが,なんでも分かってしまっている世界が面白いとは思わないのです.
反対に考えた場合ですと「分かっていれば怖くない」という事になるはずですが,そうではない場合もあります.
怖い事が起きると分っていてもそこに向かわなければならない場合がそうです.
多くの人は怖い事がある場所には進まないで済ます事で危険を回避します.
しかし未来に向かっていく場合にそれを回避する方法は早めに死んでしまうことくらいで,むしろその方が怖いです.
分かっている怖い未来に向かわざるを得ない状況が「怖くない」と思えるようにするにはどうしたら良いのか?
それはアウトドア,特にシーカヤッキングをすると見えてきます.(なんだかうまい具合にマーケティングに追い込まれてるぞと感じた方もいそう...)
シーカヤッキングはそもそも現代では命を張って行うべきものではありません.
ただ,それは実は無理な事で,シーカヤッキングにはいつも命がかかってきています.
そういう矛盾があります.
ベタ凪の館山湾でほんの数キロを岸から100mもない沿岸で漕ぐとして,「命がけ?」と思われる方の方が多いでしょう.
恐らくシーカヤッキングを既に繰り返し行って来た筈のシーカヤッカーと言われる人の中にもそういう風に考える人が沢山いるのかもしれません.
一方で,十分にシーカヤッキングを自分の責任において,自分の命をかけて,自分自身が充足する為に行って来たシーカヤッカーの中には「そんなのあたりまえ」と思いながら読んでいる方も沢山いるのではないでしょうか?(そもそもここを読んでいる人数に問題があるかもですが...)
まあシーカヤックを海で漕ぐという事はそういった類の活動なのです.
「遊び」とか「レジャー」といった言葉でシーカヤッキングを表現するのは無理があります.
近年事故の多くなってしまったハイキング,登山といったものに通ずるものですが,遊びは真剣にやって初めて遊びになるという代表的なものがアウトドアアクティビティなのです.
長くなりつつありますが,書いていきます.
写真:こんなベタ凪の海で事故る訳が無いでしょ〜という油断は禁物.
アウトドアアクティビティに対して,人工環境で人を相手に競う事を目的としたスポーツがあります.
またアウトドアで更に人と競うというものもあります.
それらに共通しているのは「真剣に」それを行う目的が勝つことにあります.
人相手ならば勝てるかもしれませんが,自然相手に,その懐に入り込んでいながら勝てるはずがないのがアウトドアとの違いです.
つまりアウトドアアクテビティは「死ねる遊び」なのです.
コートで球技をしていて死ぬ事もあるかと思いますが,それは多分日常の中での出来事と感じられるはずです.
車を運転していたり,風呂に入っただけでも死ぬ場合があるのですから.
ただそれがいわゆるアウトドアと呼ばれる類の,つまり自然の中での出来事であった場合は「日常の中」とは言われないはずです.
そして「そもそもそんな危ないところに行かなければよかったのに」という意見が遠い外側から聞こえてくるでしょう.
最近,熊が人里に出没し問題が大きくなっています.
これも以前のように山の中に入っている場合であれば,「そもそも…」で多くの都市部の人々には片づけられていたのですが,家の敷地に入って人を襲う段階になったことで「日常の中」での脅威として取り上げられるようになってきました.
「山の中に入らなければよかったのに」という意見を持っていた都市部育ちで都市部で暮らし続けている人が持つ意見を今の状況に当てはめると「そんな田舎で住まなければよいのに」となりかねない状態です.
そして近い将来,都市が過疎化で廃墟や放置された空き地とそこに広がった林が点在するような時代が来た時に,もしも熊がまさかという地域で出没し始めた時,都市部の人がどう対処するのかは興味深いと思います.
話が逸れているようなので,戻していきます.
写真:海岸沿いで遭遇したハヤブサの若鳥.
どこで産まれたのか気になります.
つまりアウトドアアクティビティをなんがしかやっておけば,自然物しかない空間での,デリケートで厳しく,そして貴重で多くの経験を与えてくれる場所での礼儀が身につくという事になります.
これによって自然を尊重する基盤が自然と養われ,それが結果的に自身の身を護るという事に繋がります.
私自身が20代の初めにシーカヤッキングを始めて,多少痛い目に遭いながらも地味に経験を積んできた結果がそれでした.
まだ50代ですから(「まだ」です!),これからまだまだ習得しなければならない事が沢山あるのを大前提にしておいて,少なくともこの30年で分かった事は「自然に勝とうとすると怖い目に合う」という事でした.
簡単に死ねる場所が家から見えるすぐそこにあるという事も理解しました.
海の上に出た事が無い人はその空間の何が怖いのかを知らないので,「へっちゃら」だったり「なんだか怖い」だったりと人ぞれぞれですが,その点で当初の「分からないと怖い」というところに至ります.
その反対に「分かったら怖くない」とはならないと書きましたが,これはシーカヤッキングでもそうですが,そもそも様々な事例をいくら参照しても実際に自分が出くわす状況がそれのどれかに当てはまるはずがないのです.
それではどうしたらそれが克服できるのか?と考えた時に,それを疑似的に体験していくしかないのです.
頭でいくら考えていてもダメで,しかし情報も得ずにただ闇雲に突っ込んでいくのでは無駄死にするだけですから,少しずつ,少しずつ楽しみながら小さなサバイバルを繰り返していく事で,何が起きるかも分からない怖いかもしれない未来の世界に自分が進んでいくしかないその状況での経験値を積み上げていく,そのための場としてアウトドアアクティビティがあると思います.
死ぬかもしれない状況で生きてみるという経験をするだけでも死に対する考えが少しまとまってくるかもしれないですし,もしかしたら死ぬ事に対しての納得感のようなものが芽生えてくるかもしれません.
それは私もまだ修行中なわけですが.
それを全部楽しみながらやってしまう.
それがアウトドアアクティビティであり,シーカヤッキングなのだと私は考えています.
結局「何が怖いのかを知る」という事が第一歩で,そして永遠の課題の始まりでもあるという感じだと思います.
実際のところ,まだ私にもよく分からないのですが.
写真:こういう自然そのままという海岸が貴重になってしまっている時代.
というわけで非常に長くなりましたが,温暖化が進んでいくことが怖い事であるという前提となってしまっている考えの中に「現代の人の暮らし方は変えられない,変えたくない」という思いがあると思います.
それは多分,海面でシーカヤッキングをしている時に地面でしていたように過ごす事はできないのと同じで,しかしシーカヤックを漕いで海上に出て自由にその空間を移動する楽しさを経験できるという事があるから,その「不自由」に耐えられるわけです.
つまり,それを「耐える」と考えるか,それを含めて新しい体験として「楽しむ」のかという前提の違いで全てが変わってきます.
カヤックのツアーに参加してくださる方はそれを楽しむために来てくださっています.
そして楽しんだり,思ったよりも多少辛い場面を体験したりしながらも自身の経験を積んでいく事を「愉しんで」陸の生活に帰って行かれます.
つまりシーカヤッキングを「楽しそう」と思うより前に「怖いよ」と誰かから繰り返し聞かされたうえで,しかし学校の授業のような中でカヤックに乗る事を避けられないという人がいたとしたら,それはもう地獄でしょう.
また元々は「楽しそう」と思っていたのに,あれは「怖いよ」と繰り返し擦り込まれていたらどうでしょう.
温暖化する未来に適応して生きていくのは難しく危険で怖い事として考えていれば,それは怖いはずで,しかし良い面を出来るだけ見ていく努力をしてみたら今よりも良い事が沢山あるのではないでしょうか?
それにはもちろん辛い経験をする場面もあるでしょうし,失うものも多々あるはずです.
しかしどうせ漕ぎ進むのであればそれを出来るだけ前向きに知り,それにどうやって対処していくのかをひとつひとつの波のように超えていく方が,後になって「怖かったけど楽しかった!」と思えるのではないかな?とシーカヤッカーの私は考えるのでした.
そのための知識を集め出来るだけの準備をしたうえで海(未来)に向かうのは当然の事です.
だれも準備はしてくれません.(まあカヤックを一緒に運んでくれる人くらいは見つけられるでしょう)
同じように縄文時代の人々は海がどんどん岸に迫って来る時代を生き延びてきたのですし,モンキアゲハも環境に適応して北への進出を進めてきたはずなのですから.
地球がバージョンアップしていくのをユーザーとして楽しみにして見守る気持ちでいる事が何より大事なのかもしれません.
「2023年の夏は過去最高を大きく上回る圧倒的な暑さ」2023/09/02 11:51 ウェザーニュース
写真:以前はよく拾えたサンゴの化石.
そして最近は生きたサンゴが増えている館山湾です.
暖かな時代に戻りつつあります.
「kayak〜海を旅する本」Vol.82 発売中
店頭希望小売価格=840円(税込み)
藤田連載の「カヤック乗りの海浜生物記」は64「カモメ」編です.
どうぞ宜しくお願い致します.
詳細 (6DORSALSお知らせのページ)
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